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第25話 寵妃の死
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発端は些細な事だった。
とあるガリア大陸のある貴族は、麗しい妃を寵愛していた。
妃も位が高い貴族の娘であり、有力者の娘であった。
流れるような美しい金の髪、紫と青が混じりあったような水晶の瞳、たおやかな肢体、教養溢れる御方は、貴族や、その周辺の領土に様々な知恵や、父の人脈によって、支援していた。
そのお陰で、救われた人々は数知れない。妃は、女神とも崇拝されていた。
しかし、妃は次第に病を得て、弱っていった。懸命の介抱にも関わらず、妃は呆気なく死んだ。
寵愛していた貴族にはなかなか信じられない現実だった。
しかし現実は無情だ。 貴族は無理やりにでも寵妃の死を受け入れ、葬儀をし、執務に携わった。
それからその貴族は、現実逃避をするように執務に没頭した。
それを心配した貴族の父親が新たな妃を探した。息子の傷心を癒す女を求めたのだ。多くの女が妃として、心を慰めるために斡旋された。
だが、心の中にいる死んだ寵妃には叶わなかった。生きているだけでも十分に価値のあった女は、死んで余計美化される。もはや息子にとって一番の女はあの妃であろう。
父親はそう分析して、深い溜息をついた。惜しい事をした。何故価値ある女が消えて、あまり価値のない女は生き続けるものか?勿体ない事だ。
父親にとって、女は価値があるかないかそれだけだった。
毒物の疑いもあったが、証拠は無かった。やはり唯の病死か・・しかしなんの病が気になった。医者でも今は原因不明という。役立たずめ。明確な証拠があったら息子も納得するものを・・。
だが、この死は終わったのだ。父親は不可解な死を過去に葬る気だった。
しかし、その後、妃と同じように、突然死や病が流行って、亡くなる人が大勢になった。
これには流石に、冷酷な父親も、流行り病だと危機感を抱いて、病の解明と、特効薬の発明を家臣たちに命じた。
重度の患者は黒い斑点をしていた。目も充血して、目から血が出ていた。
解明しないと、家臣や医者たちも処罰される。
藁をもつかむ思いで、彼らは、隣国や、周辺各国へ病に関する情報を求めた。
報酬ははずむと、研究者や、どんな些細な事でもいいから、解明につながり情報を血走った眼で探した。
しかしどうしても結果は芳しくなかった。このまま終わるのか・・と彼らは血相を変えて呻いたが、或る研究者が突飛な事を考えた。
病には体に菌や、毒素が混入しているからなることは分かっている。じゃあ、その菌に別の菌を加えたらどうなるのか?毒には毒で抹殺できないかと彼は思った。
或る研究者はこの事を他の医者や研究者に伝えた。 その事を聞いたある者は冷笑したりしたが、そうしてみようと愚直に試し続けた愚か者たちが、無数もの実験を繰り返し、やっと、抗体できる菌が見つかった。
【黒い病】と名付けられたこの流行り病は、死に物狂いで発見し、発明した抗体の薬でなんとか抑えられた。
これは世紀の発明であった。
黄金の髪の寵妃の死が発端であったことから、その名をとった。「カーリー病」と言われた。
その対抗できる薬を創ったのはシャヌという遠い異国からの交換留学で医学を学んでいた学者であった。
この薬は「シャヌ薬」と呼ばれた。
その薬で、流行り病は終息した。
しかし、各国の大きな痛手はあった。中には完全に崩壊して盗賊しかいない国家になったケースもある。
大幅な人口削減、優秀な人才もいない。ほとんど全てを失った国家もある。
信念も信仰も、文化も廃れた国家もあり、生き残りは、弱肉強食の世界で奪い奪われる世界で育つようになった。
ガリア王家はこれをいたく喜んだ。 まるで古代の戦の時代に戻ったようだ。
まもなく食料や領土や水を生きるために求めて、戦が始まるだろう。
狂った王家は喜ばしい事だと歓喜した。 それを恐れた知識人や、まっとうな感性をもった人たちは、慌てて避難、疎開した。大事な資料は狂人に渡すと何をするかわからないので信用おける者たちに渡した。
聡明な人たちも逃げようとしたが、囚われたり、半数の人は囚人として働かされた。
多くの無辜な人々達にとって受難の時代が始まった。
とあるガリア大陸のある貴族は、麗しい妃を寵愛していた。
妃も位が高い貴族の娘であり、有力者の娘であった。
流れるような美しい金の髪、紫と青が混じりあったような水晶の瞳、たおやかな肢体、教養溢れる御方は、貴族や、その周辺の領土に様々な知恵や、父の人脈によって、支援していた。
そのお陰で、救われた人々は数知れない。妃は、女神とも崇拝されていた。
しかし、妃は次第に病を得て、弱っていった。懸命の介抱にも関わらず、妃は呆気なく死んだ。
寵愛していた貴族にはなかなか信じられない現実だった。
しかし現実は無情だ。 貴族は無理やりにでも寵妃の死を受け入れ、葬儀をし、執務に携わった。
それからその貴族は、現実逃避をするように執務に没頭した。
それを心配した貴族の父親が新たな妃を探した。息子の傷心を癒す女を求めたのだ。多くの女が妃として、心を慰めるために斡旋された。
だが、心の中にいる死んだ寵妃には叶わなかった。生きているだけでも十分に価値のあった女は、死んで余計美化される。もはや息子にとって一番の女はあの妃であろう。
父親はそう分析して、深い溜息をついた。惜しい事をした。何故価値ある女が消えて、あまり価値のない女は生き続けるものか?勿体ない事だ。
父親にとって、女は価値があるかないかそれだけだった。
毒物の疑いもあったが、証拠は無かった。やはり唯の病死か・・しかしなんの病が気になった。医者でも今は原因不明という。役立たずめ。明確な証拠があったら息子も納得するものを・・。
だが、この死は終わったのだ。父親は不可解な死を過去に葬る気だった。
しかし、その後、妃と同じように、突然死や病が流行って、亡くなる人が大勢になった。
これには流石に、冷酷な父親も、流行り病だと危機感を抱いて、病の解明と、特効薬の発明を家臣たちに命じた。
重度の患者は黒い斑点をしていた。目も充血して、目から血が出ていた。
解明しないと、家臣や医者たちも処罰される。
藁をもつかむ思いで、彼らは、隣国や、周辺各国へ病に関する情報を求めた。
報酬ははずむと、研究者や、どんな些細な事でもいいから、解明につながり情報を血走った眼で探した。
しかしどうしても結果は芳しくなかった。このまま終わるのか・・と彼らは血相を変えて呻いたが、或る研究者が突飛な事を考えた。
病には体に菌や、毒素が混入しているからなることは分かっている。じゃあ、その菌に別の菌を加えたらどうなるのか?毒には毒で抹殺できないかと彼は思った。
或る研究者はこの事を他の医者や研究者に伝えた。 その事を聞いたある者は冷笑したりしたが、そうしてみようと愚直に試し続けた愚か者たちが、無数もの実験を繰り返し、やっと、抗体できる菌が見つかった。
【黒い病】と名付けられたこの流行り病は、死に物狂いで発見し、発明した抗体の薬でなんとか抑えられた。
これは世紀の発明であった。
黄金の髪の寵妃の死が発端であったことから、その名をとった。「カーリー病」と言われた。
その対抗できる薬を創ったのはシャヌという遠い異国からの交換留学で医学を学んでいた学者であった。
この薬は「シャヌ薬」と呼ばれた。
その薬で、流行り病は終息した。
しかし、各国の大きな痛手はあった。中には完全に崩壊して盗賊しかいない国家になったケースもある。
大幅な人口削減、優秀な人才もいない。ほとんど全てを失った国家もある。
信念も信仰も、文化も廃れた国家もあり、生き残りは、弱肉強食の世界で奪い奪われる世界で育つようになった。
ガリア王家はこれをいたく喜んだ。 まるで古代の戦の時代に戻ったようだ。
まもなく食料や領土や水を生きるために求めて、戦が始まるだろう。
狂った王家は喜ばしい事だと歓喜した。 それを恐れた知識人や、まっとうな感性をもった人たちは、慌てて避難、疎開した。大事な資料は狂人に渡すと何をするかわからないので信用おける者たちに渡した。
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多くの無辜な人々達にとって受難の時代が始まった。
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