深淵の村

栗菓子

文字の大きさ
2 / 11

第2話 目覚め

しおりを挟む
パンが焼けた匂い いつもの木の実の白い汁 かすかに甘味があるものをここではサシと呼ぶ。
栄養を補うため、昆虫をむいた身を塩で煮込むのは村人にとって貴重なものだ。

穀物や野菜は極僅かな畑で実っている。しかし強風や台風が多いためなかなか大量は取れない。

ここはなにもない。しかしとても時間がゆっくりしている。

外界では、戦乱など様々な歴史とやらは瞬間瞬間刻々と変容しているようだ。

性については、とてもおおらかだ。 嫉妬はなく淡々とした日常がある。

そんな中、無関心に彼女はこの閉鎖的な村で生きていた。

なんとなしに女は、家事や、料理をしたり、服をつくったりしている。 姉は木でできた織機でいつも布を織っている。そんな中、彼女はふとこの模様は姉が考えてつくったのかと思い、姉に尋ねた。
姉は違うと首を振って、いいからと手を振って仕事の邪魔をするなというように妹を追い払った。

よくよく見れば、奇妙な文字が書かれていた。 かすかに読めそうだったが読めない。

古代文字だ。これはここの文字だろうか?

そういえば物心ついたころから文字はあまりみない。 長老や大人たちはなんか長い長い紙を巻き付けたものを持っていた。あれになにか文字でも書いているのだろうか?


大人はずるい。 いつも子どもに大事なものは隠す。

妹は、月のものがでたら、通過儀礼で或ることをするらしい。 姉は?と聞いたら、わたしは機織機のものだから

大人にはなれないのよ・・と寂しげに俯いた。


大人になれない?なんだ。それは? 月のものがくると、股から赤い血が出ると、どうなるのだろうか?


こどもをつくって男と夫婦になるのだといわれたが大丈夫だろうか?


だれがわたしの夫となるのか? 妹は疑問が尽きることがなかった。

イドルだろうか。彼はわたしより年は重ねている。 イドルは確かに穏やかで村に貢献しているいい男だ。

しかしイドルは、村の一番美しい花のようなアドレアを溺愛していた。


わたしなどは歯牙に欠けなかった。いや、村が集まって祭りをしたとき、わたしは姉の織った見事な衣装で神様への舞をした。

あの時は、奇妙にも誰かに突き動かされるようにわたしは踊っていた。

たぶん精霊だ。先祖が乗り移ったのだ。

姉が言うには、いつもより美しく超然として見えたと神様があんたの身体を借りたのだとはじめてあんな踊りをみたのはおどろいたと興奮して喋った珍しく紅潮した姉の顔が忘れられなかった。


その時、イドルもアドレアを視ずに、私をずっと見ていたらしい。


かすかにわたしは嬉しくなった。女の芽生えであった。わたしは少しずつ、石からバナナへ、柔らかい女へと成長していった。
わたしは目覚めつつあった。

姉は石のように固くなであった。姉を柔らかくするのは誰だろうか?


わたしは時折水浴びをする。その時、だれかが覗きみするようになった。男だ。わたしの身体が気になるらしい。

そんなに珍しいだろうか? わたしは少し膨らんだ胸をさわる。

あそこはまだ毛ははえていない。 布で拭いていると、どのぐらい膨らんだと私の胸を指さした男が居た。

わたしは溜息をついて堂々と見せた。

性器もみせた。 わたしに恥は無かった。 彼が女のホトを見せろと言ったので、わたしは頷いて股を拡げた。


ほおと男は感嘆したように見た。これは綺麗なもんだな。生娘だ。

男は残酷な遊びを見つけたように、わたしのあそこをまさぐった。痛みはあったがわたしはこらえた。

わたしは無言で男の手を触った。それ以上は止めろと意志を示した。

男は渋々と手をひらひらとして遠さがった。もしかしたらあの男がわたしの夫になるのだろうか。かすかな不安がよぎった。

わたしの身体は、長ずるにつれて、良く触られるようになった。それも男どもばかりだ。 わたしだけじゃない。他の娘も、胸をまさぐられたり、執拗にあそこをいじくられるようになった。尻も食べ物のように舐められたり齧られる。


女の身体は男の嗜好物らしい。 果実のように喰らうのだ。


それを喜んでいる女もいれば、微妙な顔をしている女も居る。 適応するかしないかだ。


拒否はできない。したらなにか魔物がとりついたと言われる。そんな女は追放や、虐待される。

わたしはその道は歩みたくなかった。わたしは従順に男のままとなった。

わたしにはあまり感情はなかったし、わたしはこの世界の平凡な娘だった。

あえて過酷な道を選んだ女はいないだろう。ここでは男が主体的だった。

わたしは先祖がこれがいいとしたのだから今更 異論を唱える気はなかった。幸いにもわたしは男にあまりひどい目にはあわなかった。

わたしは恋をしたことはない。

親に言われて生きている愚かな女だ。

激しい気性をもった男と女はここにはあわない。ここは茶色の土と、緑の森、清浄な池に囲まれた単調な村だからだ。


わたしはここに不満はなかった。唯生きるのだ。

しかし時々疑問は浮かぶ。 文字や姉のこと。親はどうなったのか。わたしは何も知らない。知らされない。

わたしは無知な子どもとして生かされたのだ。

時折、ここが檻のようにもみえた。


あと数年わたしは通過儀礼を経て、夫を得る。 そして子供を産むのだ。

それがわたしの道だ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...