深淵の村

栗菓子

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第3話 違和感

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わたしは唐突に何も知らないことに気づいた。

ああびっくりした。 わたしはいつものように、お水を汲んで甕に溢れるほど満たし、わたしでも運べるほどの重さでほっとし、家まで一時間かけて歩く。

わたしはふと、この水が家まで繋がって、すぐそばにあったらなと思う。

儚い夢だ。 しかしそれにしても空はなんで青いのか。 白い雲が美しくわたしは手を伸ばして食べて見たかった。


わたしは友人に「あの雲を食べれたらね 美味しいかも」と言った。

友人はキャラキャラと笑ってエナったら食いしん坊さんねと大人びた表情で言ったのでわたしは少しドキリとなった。


友人は2年前に結婚した。以前より格段に垢ぬけて滴るような色気を放つようになった。 樹林の密やかな花のように妖艶になった。

「女の一生は短命だよ。花はいつかは枯れるのよ。唯咲き誇りあとはパッと落ちるのよ・・わたしの母もそうだったわ。」


嗚呼そうだ。確か友人の母は、友人を産み落として数年でなくなった。

ここでは女は短命だ。何故だろう。 それが神様が命じた事だろうか?

なのに、男たちは長命だ。 どうしてだろう?

男たちは、或る日、女達を食い散らかして、種を植え付けて、なにか畑や何かをつくる。

なかには、溺愛されている女もいるが、あまり長生きしない。

わたしにとって男はわからない存在だった。


ある日、わたしは小さな祠がある山で清掃を命じられた。

ウットオシイほど繁茂している蔦たち。 むせかえるような匂いでわたしは友人と汗を流しながら、祠の周りを刈って美しく整えた。

祠かあ・・祠って一体?

わたしはふと、祠を開けてみた。いつもなら神様のいるところだと注意されていたのに、何故かその時だけはゆるされた感じがした。気の迷いだろうか?


わたしは小さな木の祠を開けた。 なかは空んどうだった。

なあんだ。かっがりしながら閉めようとしたら、今度は隅が気になった。

あれ?あそこだけなんか違和感があったわ。


そっとわたしは隅を触った。すると、えっと目を凝らす間もなく、変な文字が蛇のように長く密集してあり、その文字は生きているかのように光り輝きながら空中に映った。

 【ようこそ。ココは融合の場所。アナタは、ココで新しく変容するのです。ココは実験場です。】 


変な文字。変な意味。 わたしは首を傾げながらも、そっと触ると、また変化した。


瞬く間に、祠の周囲が変わった。空間が歪んたかと思えば、わたしは、茶色と泥に満ちた地上がパカっと黒い穴になったのを垣間見た。

わたしは祠に吸い込まれた。 

わたしの名前を悲痛な声で叫んでいる友人が視えた。嗚呼わたしは死ぬのだ。


わたしは気を失った。

頭がぞっとするような痛みを抱えてわたしは辛うじて目を開いた。


亡霊みたいな白い姿があった。だって透けているもの。


わたしはおかしなおかしな空間にいた。


【このエリアは、ある偉大な科学者 ノアの実験場です。 貴方達は、ノア様の被験者です。貴方達の殆どは敗者や
罪人達の末裔です。 ここはいわば隔離の島であり、実験の場でもあります。

このシステムは、半永久的に稼働します。 偉大なお方は既にこの島を去っています。 ワタシはこの番人アと申します。

貴方の脳内や、遺伝を調べました。 貴方は、奴隷種族ですね。 実験体111189の末裔です。

植物の遺伝子や、動物の遺伝子が組み込まれています。

貴方は、その遺伝子をもって、寄生や、繁殖を有利に持っていくことができます。 適応力も高いです。

男と言う種族は、科学者の男性の遺伝子を組み込んでいます。ゆえに、貴方と男たちの関係は主と奴隷です。

貴方は良い孕み袋となるでしょう。】


【その昔、孕み袋として創られたモノが出産を拒否した異例のケースがありました。 信じられない事ですがこれは
遺伝に逆らっています。主は怒り狂って、モノを処分しました。そして新しいサンプルを創造しました。

結果的に、現在まで上手くいっているようで良かったです。】


よくわからないけど、嗚呼・・奇妙にも遠い男たちの存在がはっきりと分かったような気がした。

わたしは奴隷種族だったのだ。どこかで納得していた。

その反乱したモノは凄い・・とわたしはぼんやりと羨んだ。

わたしはこれからどうなるのだろうか?

【何も問題ありません。貴方はこれからも孕み袋として機能し続けるのです。男を惹きつける魅力性は備えています。しかし、モノの我儘に辟易した主が、意図的に貴方達の遺伝子を子を産んだら数年後に死ぬように設定されています。自然の摂理にみせかけた仕掛けです。】



仕掛け・・仕掛けかあ・・嗚呼謎や疑問や違和感がすうっと解消された。

奇妙にもすっきりとした。 嗚呼わたしだけではなかったのだ。 反乱したのは・・。

この自然や世界に微妙な違和感があったのは・・。そうか。そこまでコントロールしたかったのか・・。だからどうしても男に拒絶があったのか・・。

わたしは正しかったということか・・。
 
わたしはいつも通り、記憶を消去され、元の世界に戻るだろう。

これで何回目だろう。だって既視感があったもの。


いつかわたしは、男に刃を向けるかもしれない。わたしにはその予感があった。


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