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掃き溜めに鶴
第2話 珍しい拾い物
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鋭い眼光と、辛酸を舐めたような人生を彩る顔に皺がよった男は、老人にもみえたが、覇気はあった。
実際にはまだ若いのだ。男は、奴隷として育ったが、幸いにも寛容な主人を得て、男は主人の元で、厳しくも生きる知恵と、商才を得た。男は必死に主人に仕えた。寛容な主人は数年後、十分に独立できる男と見込み、奴隷から解放し、隊商をしてみろと言われた。十分な資金はもらった。男への投資だ。
馬車や馬で、あちこち必要な商品を運搬し、お金持ちや、商人や、王族や貴族などへ様々な人へ金と引き換えに売るという商売だ。
それには、多くの使用人もいる。途中で金だけ持って逃げ出す使用人もいる。その際には苛酷な刑がある。
鞭打ちと悪い手を切るのだ。生き延びるのは極わずかだ。
だから、あまりそんな愚か者はいない。
苛酷だが、生死がかかった危険な商売だ。どんなへき地でも要望があったら行かなければならないのが男の商売だ。
長い旅を経て、ある国に、貴重な食料と水、王族や貴族には希少な宝石など美しい品物を運び、金と引き換えに差し出した。
やっと商談が終わって、男はほっと安堵した。
あとはノウルという地へ行かねばならない。商品や食材が豊富に満ちている町。様々な国の文化と品物が交流している場所。そこは隊商の集合場ともなっている。そこは商売に大切な情報もある。
うやうやしく、王族の機嫌を損なわぬよう彼らは適切に運搬を終えた。王はつまらぬげに大儀であったと言った。
王はなにもかもつまらなさそうであった。何もかも得ているのに何故と男は首を傾げた。
高貴な人の心は解らない。男は不可解だった。
男は頭を下げて、隊商は王国を出た。
しばらくして隊商はノウルへ目指して出発した。王国が遠さがっていく。男は王国を振り返りながら真っすぐにいこうとした。目の片隅に何かが見えた。小さい人影。目の錯覚か?いや違う。なぜこんなところに?ありえない。
荒野の岩陰に子どもの手が見えた。男は興味を覚え、岩陰へ近寄った。
やはり、小さな子供が倒れていた。スラムの子だろう。薄汚い恰好をしていた。
親が捨てたのだろうか? 逃げたのだろうか?
男は「 おい。」といいながら、気まぐれに手を差し伸べた。
子どもは当惑気に目を開いた。綺麗な瞳だった。金と茶と緑の虹彩が入り混じった珍しい瞳だった。
髪は凡庸な茶色だったが、瞳だけは美しく魅力的だった。
「こいつはまた珍しいものを拾ったものだな。」
男は、なんだか自分だけの宝石を見つけたようにわくわくした。
「連れていく。死ぬよりましだろう。」
子どもを抱えた。あまりに軽くて男は驚いた。こりゃあ肥えさせないとな。
隊商の隊員は、男が抱えたものをみてびっくりしていた。
「子どもですかい。捨て子でしょうか?迷い子でしょうか?」
「これも何かの縁だ。連れて行こう。面倒は見よう。」
「いいんですかい。子どもは大変ですよ。」
「役に立つかもしれないだろ。商品として売れるかもしれない。こんなに美しい瞳をしているから。」
隊員は目を覗いてなるほどと納得した。「これは綺麗に磨いたら売れるかもしれない。」
彼らは奴隷も売っていた。罪悪感はない。男も奴隷だったし、生きるための手段だと思っている。
子どもはよくわからないことばかりだった。
麗しき女と絶世の美猫を探していたら、いつの間にか、男に拾われていた。
子どもは夢うつつに、なぜ、どうしてこんなことになったのかと思った。
なす術もなく、子どもは男の所有物となった。
実際にはまだ若いのだ。男は、奴隷として育ったが、幸いにも寛容な主人を得て、男は主人の元で、厳しくも生きる知恵と、商才を得た。男は必死に主人に仕えた。寛容な主人は数年後、十分に独立できる男と見込み、奴隷から解放し、隊商をしてみろと言われた。十分な資金はもらった。男への投資だ。
馬車や馬で、あちこち必要な商品を運搬し、お金持ちや、商人や、王族や貴族などへ様々な人へ金と引き換えに売るという商売だ。
それには、多くの使用人もいる。途中で金だけ持って逃げ出す使用人もいる。その際には苛酷な刑がある。
鞭打ちと悪い手を切るのだ。生き延びるのは極わずかだ。
だから、あまりそんな愚か者はいない。
苛酷だが、生死がかかった危険な商売だ。どんなへき地でも要望があったら行かなければならないのが男の商売だ。
長い旅を経て、ある国に、貴重な食料と水、王族や貴族には希少な宝石など美しい品物を運び、金と引き換えに差し出した。
やっと商談が終わって、男はほっと安堵した。
あとはノウルという地へ行かねばならない。商品や食材が豊富に満ちている町。様々な国の文化と品物が交流している場所。そこは隊商の集合場ともなっている。そこは商売に大切な情報もある。
うやうやしく、王族の機嫌を損なわぬよう彼らは適切に運搬を終えた。王はつまらぬげに大儀であったと言った。
王はなにもかもつまらなさそうであった。何もかも得ているのに何故と男は首を傾げた。
高貴な人の心は解らない。男は不可解だった。
男は頭を下げて、隊商は王国を出た。
しばらくして隊商はノウルへ目指して出発した。王国が遠さがっていく。男は王国を振り返りながら真っすぐにいこうとした。目の片隅に何かが見えた。小さい人影。目の錯覚か?いや違う。なぜこんなところに?ありえない。
荒野の岩陰に子どもの手が見えた。男は興味を覚え、岩陰へ近寄った。
やはり、小さな子供が倒れていた。スラムの子だろう。薄汚い恰好をしていた。
親が捨てたのだろうか? 逃げたのだろうか?
男は「 おい。」といいながら、気まぐれに手を差し伸べた。
子どもは当惑気に目を開いた。綺麗な瞳だった。金と茶と緑の虹彩が入り混じった珍しい瞳だった。
髪は凡庸な茶色だったが、瞳だけは美しく魅力的だった。
「こいつはまた珍しいものを拾ったものだな。」
男は、なんだか自分だけの宝石を見つけたようにわくわくした。
「連れていく。死ぬよりましだろう。」
子どもを抱えた。あまりに軽くて男は驚いた。こりゃあ肥えさせないとな。
隊商の隊員は、男が抱えたものをみてびっくりしていた。
「子どもですかい。捨て子でしょうか?迷い子でしょうか?」
「これも何かの縁だ。連れて行こう。面倒は見よう。」
「いいんですかい。子どもは大変ですよ。」
「役に立つかもしれないだろ。商品として売れるかもしれない。こんなに美しい瞳をしているから。」
隊員は目を覗いてなるほどと納得した。「これは綺麗に磨いたら売れるかもしれない。」
彼らは奴隷も売っていた。罪悪感はない。男も奴隷だったし、生きるための手段だと思っている。
子どもはよくわからないことばかりだった。
麗しき女と絶世の美猫を探していたら、いつの間にか、男に拾われていた。
子どもは夢うつつに、なぜ、どうしてこんなことになったのかと思った。
なす術もなく、子どもは男の所有物となった。
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