いかでか

栗菓子

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掃き溜めに鶴

天道、是か非か

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娼館の主人は、この大きな災難が人為的なものであるとしたら計画的なものであるとしたらどうしても許せないとかつてなく思っていた。
かつて、祖父が言っていた。「天道。是か非か。」何の事だろうと思っていたら、後に、商売の客に意味を教えられた。
天の道理では、善人に幸福を、悪人には懲罰を与えられなければならないのに、現実には善人が不幸で悪人が繫栄していることも多い。
一体天は正しいのか正しくないのかと思い、悩まざるを得ないという意味だった。
それを今、災難にあって主人はかつてなく祖父の言葉が脳裏に蘇った。
現実には、弱肉強食のほうが多い。弱いから負けたのだ。
主人は、生きるために女を商品として売っている商売をしている。これは必要だと思っている。
決して綺麗ではないが、現実はそんなものと割り切っていた。そのつもりだった。あの深夜の悪夢が起きるまではだ。主人は自分が善人ではないことを知っている。どこにでもいる普通の人間だ。生きるために商売しているありふれた人間だ。善行などしたこともない。だがとても悪いこともしたことはない。
なにもしていない女が無惨に盗賊に面白がって殺された瞬間や自分が深く傷つけられた時、かつてない憤怒が主人に芽生えた。
これは敵だ。自分たちの生活、安全を脅かす獣。
盗賊が憎くてたまらなかった。悲鳴を上げて攫われて行く女たち。
女たちもそれなりに馴染んていたのに。
神様。善人じゃないけどね。おれは本当に心の底から天道を望んたよ。いつかあいつらが裁かれる時を待っている。
祖父もこういう時があったんだろうか。だからあんなことを呟いたのか。
やっと、盗賊団が追手に滅ぼされたと聞いたとき心底嬉しかった。やはり、攫われた女たちはほとんど殺されたらしい。生き残りはほんの僅かだった。カリン。あの不思議な女。アサミは盗賊の女にさせられ敵の子を身ごもったらしい。男と行方知らずになっている。
居なくてよかった。敵の子などおぞましい。そのまま消えてくれ。悪いが殺しそうだ。
この時ばかりは、神に感謝する。子殺しなどごめんだ。
カリンは同じ攫われた貴族の少年にひきとられた。生き残った女もだ。
アイラが教えてくれた。カリンも娼館の主人や生存者はいるか聞いていたわ。
懇意の貴族の男や、他の貴族にも嘆願して館や街の立て直しのお金を用意してくれた。アイラは女神だ。
俺だけじゃない。どうしようもない怒りをアイラも持っている。他の災難にあった奴らも表面上は普通に過ごしているが、憎悪も宿している。やるせない思いも。

神様ろくでもない試練をありがとうよ。天に唾を吐きたい思いだったがこらえた。

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