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掃き溜めに鶴
第24話 実は嘘の奥にあり
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捕縛された盗賊の統領は、一言も言わず拷問にも負けず唯、真実を何も言わず処刑をされるのを待った。
カリン達被害者は、囚われた盗賊たちが公開処刑されるのを見守った。
あまりにも残虐故、最も重い刑罰を受けることになった。
四肢を四頭の馬の脚と縄で括り付けられ、四頭の馬が走り出すと、馬の脚力で四肢は無残にちぎれるという極刑だ。
これにはカリンも驚きのあまり少年を思わず真実なのかと見やったが、少年は無機質な無表情な端正な顔で、「当然の報いなんだよ。カリン。あの無惨に殺された女や被害者のためにもね。」淡々と少年は呟いた。
カリンは思わずぞっとした。少年はあの地獄を味わって何かが変質したような気がする。
カリン達、女たちは地獄を味わったが少年程変質していない気がする。
「カリンったら。心配性だな。ぼくは大丈夫だよ。唯、ほんの少し、鬼が目覚めたんだよ。僕の中の古い血がね。」
思わず、カリンはそれは貴族の血なの。だとしたらとても怖い血ね。と呟いた。
「貴族よりも古い血だよ。お母様は古い神を祀る巫女だったんだ。お母様は敵に敗れて、娼婦に堕とされたと言ってだ。最後に冗談よ。と嘘だと言ってたけど、お母様は酒を飲む度、その話を繰り返していた。なんの神だったんだろうね。ぼくはお父様がお母様に惹かれてあれほど寵愛しているのもお母様が神の加護を得ているからだと思う。
でなければ、美しく聡明なだけの女がお父様をいつまでも寵愛するはずがない。他にももっと若く美しく気高く魅力的な女はいっぱいいたもの。
「実は嘘の奥にあり」とお父様が言ってたよ。お父様がお母様に惹かれたのは何らかの力を感じたからだよ。
本能で力になると思ったんだよ。お父様はそういう冷徹なところがあった。実の息子だからわかる。」
カリンはそれを聞いてなんとなく不安になった。少年とは地獄を味わった同士として仲間として望まぬも契りを結んでしまった。「ねえ。あたしはただの高級娼婦よ。それを聞いて怖くなったわ。あんたとは同士や仲間とは思っている。でも男と女としては・・」
少年はいきなり不安を吹き飛ばすように大笑いした。
「何言ってるの。カリンも十分に不思議な力を持っているじゃない。巫女みたいだよ。真偽を見分ける力。
変な黒いモノが見える力。顔がのっぺらぼうに見える事やなんでもぼくはカリンの秘密を聞いた。
君が僕に縋り付いて秘密を話したんだ。これは運命だと思ったよ。
お母様は巫女だったし、カリンも特別な力を持っている。共に生き延びられたのはカリンのお陰だよ。
カリンが居てくれたから僕の心は壊れなかった。カリンも何かの力。心を守る力もあるんだよ。」
自分にそんなたいそれた力があるだろうかとカリンは当惑しながらも頷いた。
「カリンは既にぼくの妻だよ。お父様お母様にも話している。カリンの秘密も。」
「カリンの真偽を見分ける力は役に立つよ。」
「お父様が疑っている真犯人。黒幕をさがすためにカリンの力は必要だ。」
「ついてきてくれる?」心配そうにエドはカリンに尋ねた。
カリンは自分の力が復讐の力になるのならと了承した。
たまには勧善懲悪があってもいいではないか。神様。愚かな女のとんでもない試みをお許しください。
エドの底知れない血は怖かったが、それ以上にカリンは復讐したかった。エドもカリンを利用しているしカリンもエドを利用している。それでいいではないか。
僅かな情と恋慕は抑えた。
盗賊の公開処刑が始まった。民衆は興奮して面白がって罪人が八つ裂きにされるのを待っている。
民の底知れない心と、貴族の怖い心、全てが公開処刑に向けられていた。
カリンは眩暈がしそうだったが、耐えた。
盗賊がもがき苦しんで死ぬのをカリンは唯見守った。無惨に殺された人たちを思い浮かべながら。嗚呼因果応報だわ
カリンは奇妙に冷徹な意識で唯見守った。
少年は処刑とカリンの様子を観察するように見つめた。
カリンは少年の冷徹な愛を感じた。これが彼の愛なのだろうか?
奇妙にも心地よかった。
カリン達被害者は、囚われた盗賊たちが公開処刑されるのを見守った。
あまりにも残虐故、最も重い刑罰を受けることになった。
四肢を四頭の馬の脚と縄で括り付けられ、四頭の馬が走り出すと、馬の脚力で四肢は無残にちぎれるという極刑だ。
これにはカリンも驚きのあまり少年を思わず真実なのかと見やったが、少年は無機質な無表情な端正な顔で、「当然の報いなんだよ。カリン。あの無惨に殺された女や被害者のためにもね。」淡々と少年は呟いた。
カリンは思わずぞっとした。少年はあの地獄を味わって何かが変質したような気がする。
カリン達、女たちは地獄を味わったが少年程変質していない気がする。
「カリンったら。心配性だな。ぼくは大丈夫だよ。唯、ほんの少し、鬼が目覚めたんだよ。僕の中の古い血がね。」
思わず、カリンはそれは貴族の血なの。だとしたらとても怖い血ね。と呟いた。
「貴族よりも古い血だよ。お母様は古い神を祀る巫女だったんだ。お母様は敵に敗れて、娼婦に堕とされたと言ってだ。最後に冗談よ。と嘘だと言ってたけど、お母様は酒を飲む度、その話を繰り返していた。なんの神だったんだろうね。ぼくはお父様がお母様に惹かれてあれほど寵愛しているのもお母様が神の加護を得ているからだと思う。
でなければ、美しく聡明なだけの女がお父様をいつまでも寵愛するはずがない。他にももっと若く美しく気高く魅力的な女はいっぱいいたもの。
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本能で力になると思ったんだよ。お父様はそういう冷徹なところがあった。実の息子だからわかる。」
カリンはそれを聞いてなんとなく不安になった。少年とは地獄を味わった同士として仲間として望まぬも契りを結んでしまった。「ねえ。あたしはただの高級娼婦よ。それを聞いて怖くなったわ。あんたとは同士や仲間とは思っている。でも男と女としては・・」
少年はいきなり不安を吹き飛ばすように大笑いした。
「何言ってるの。カリンも十分に不思議な力を持っているじゃない。巫女みたいだよ。真偽を見分ける力。
変な黒いモノが見える力。顔がのっぺらぼうに見える事やなんでもぼくはカリンの秘密を聞いた。
君が僕に縋り付いて秘密を話したんだ。これは運命だと思ったよ。
お母様は巫女だったし、カリンも特別な力を持っている。共に生き延びられたのはカリンのお陰だよ。
カリンが居てくれたから僕の心は壊れなかった。カリンも何かの力。心を守る力もあるんだよ。」
自分にそんなたいそれた力があるだろうかとカリンは当惑しながらも頷いた。
「カリンは既にぼくの妻だよ。お父様お母様にも話している。カリンの秘密も。」
「カリンの真偽を見分ける力は役に立つよ。」
「お父様が疑っている真犯人。黒幕をさがすためにカリンの力は必要だ。」
「ついてきてくれる?」心配そうにエドはカリンに尋ねた。
カリンは自分の力が復讐の力になるのならと了承した。
たまには勧善懲悪があってもいいではないか。神様。愚かな女のとんでもない試みをお許しください。
エドの底知れない血は怖かったが、それ以上にカリンは復讐したかった。エドもカリンを利用しているしカリンもエドを利用している。それでいいではないか。
僅かな情と恋慕は抑えた。
盗賊の公開処刑が始まった。民衆は興奮して面白がって罪人が八つ裂きにされるのを待っている。
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カリンは眩暈がしそうだったが、耐えた。
盗賊がもがき苦しんで死ぬのをカリンは唯見守った。無惨に殺された人たちを思い浮かべながら。嗚呼因果応報だわ
カリンは奇妙に冷徹な意識で唯見守った。
少年は処刑とカリンの様子を観察するように見つめた。
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