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掃き溜めに鶴
第25話 勧善懲悪
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お父様は運の良さもあって、ついに大貴族の尻尾をつかんだ。弱みだ。
お父様は何故か、疑惑の大貴族をずっと監視していた。
「どうしてお父様はあの大貴族を真犯人と思ったのですか?」
お父様は冷や汗を流して、それは、あの大貴族は本来ならお父様の正妻の夫になるはずだった人だからだ。
元々、お父様と正妻は正式な婚約者ではなかった。お父様のほうが位が低く、大貴族と正妻は正式な婚約者であるはずだった。正妻がある日高熱を出して重篤な病を得るまで。病が言えるのには1年かかった。その間に正妻は治ったが、不妊状態になった。石女うまずめとなったのだ。これは貴族の女には致命的である。養子をもらう手もあったが
そのころには、もう新しい婚約者が用意されていた。要するにお払い箱として正妻はお父様へ下賜された。
正妻はもう病で心身ともボロボロで冷徹なお父様もさすがに哀れみ、結婚した。
勿論、見返りは要求した。多額の慰謝料と、正妻が十分に暮らせるように図らった。
正妻は自尊心が高く無表情であったが、かすかにお父様にありがとうと小さな言葉で呟いた。
正妻は疲れ果てたので、安らかな生活を送りたいと隠遁を願い立てた。お父様はそれに応じた。
正妻はお父様に感謝していた。だからお父様が寵愛するお母様とぼくを害するわけがないとエドは言っていた。
でも正妻の元婚約者はどうだったのだろう。同然のように新しい婚約者を受け入れたのだろうか?
わからないことばかりだ。
不意にカリンの脳裏に嫉妬、逆恨みが浮かんだ。正妻が?まさか彼女は感謝していたはず。もしかして元婚約者だろうか?
カリンはエドに思うことを言った。「もし、もしよ。元婚約者がまだ正妻を自分のモノと思っていたとしたら
お父様は不遜にも自分のモノを奪った下賤なものとなる。まして、お父様にはほかに寵愛しているお母様とエドがいる。恵まれた家族。白い結婚をした正妻。お飾りの正妻。彼女はその境遇に甘んじていたみたいだけど、元婚約者は
引き裂かれた恋人のようにしか思えなかったのかも。 妬みがあったのかも。自分にはない家族をつくったお父様に。」
エドはあんぐりと口を開けた。
「まさか・・でもそれが動機なら。」
彼は庭園を歩き回った。ついに決意したように、大貴族にあってくれ。それとなく真実をあぶりだしてくれとカリンに願いたてた。
カリンも接待用の女として化けて大貴族にあった。それとなくお酒を用意して、一番良い酒がごさいますと勧めた。
大貴族も嬉しそうに酒を飲んだ。実はその酒には本音を吐露する薬をいれている。
「大変でしたわね。初めての婚約者とはいかがでしたか」
「う、うむ。素晴らしい人だった。美しい金髪、青い瞳 赤い唇 童女のようでありながら妖艶であった。
誰よりも教養があり、もうしぶんのない姫だった。わしは一目で気に入った。あれとなら長く付き合えるとな。」
「だが、あれにはほかに思い人がいた。騎士のセデスという男だ。将来は将軍となれるぐらいの器であった。
セデスも姫の気持ちに気づいていた。」
「だが、その時点では一介の騎士だ。姫に手を出せるひとじゃない。」
「姫は一度見初めたら一途でな。セデスに求愛した。彼女は誰よりも純粋であった。あの狂女王ファルナのようにな。誰かを一途に愛してしまうと何をしでかすかわからないひとであった。」
「セデスも姫を愛していたが、やはり野心溢れる男であった。将軍の位を捨てらなかった。仕方がない。男とはそういうものなのだ。」
「これは私が介入しなくても別れるなと思っていたのだが・・姫はセデスに毒杯を渡した。そして自分も毒杯を飲み干した。これは心中だな。姫にとっては男の愛が将軍の位より下ということが耐えられなかったのだろう。」
とんでもない暴露を大貴族は話した。カリンは呆れた。無理心中?
「勿論、二人とも医者の手配で毒を抜いて助かったよ。しかしそのせいで姫は不妊状態になった。
さすがにわしもあの一途な女が怖くてな、格下の貴族に下賜した。厄介払いだな。彼女は精神不安定だった。
どうも他の人をセデスと思い込むようになっていた。なにをしてかすがわからんから隠遁させたよ。」
わしは、彼女の事情を格下の貴族に話したよ。精神療養させてくれって。
彼はしぶしぶと頷いたよ。彼は彼女は私をセデスと呼んだと苦々しく呟いたよ。
「わしは、わしなりに姫を愛していた。わしももう寿命だ。命が長くない。狂った哀れな姫の望みを叶えてやりたかった。あの大きな宴は、セデスが姫を裏切った罰として開催した。姫は他の女が嫌いだった。セデスを奪われるとずっと思いこんでいた。格下の貴族にも寵愛する家族がいた。こともあろうに高級娼婦だ。姫とは比べ物にもならない。姫は嘆いた。セデスという幻影の男に苦しめられていた。奪う女たちを罰したかったのだろう。
わしはその望みを叶えた。まさかあんな大火をおこすとはな。そこまではわしも読み切れなかった。
もうひとつある。あの超高級娼館は、狂った王族や奇形の子どもを幽閉する館でもあったんだ。
そこには盗賊と懇意にして悪童になっている子どももいた。
彼らにはモラルや秩序はなかったよ。唯面白がって殺したりする子どもがいるだけだった。
まさか、優秀な子どもが盗賊を引き入れてあのような災いを起こすとは思わなかった。
復讐かもな。こんなところで一生を終える子どもには耐えがたいことであったろう。優秀であればあるほど
人生の不条理に気付く。
あの災いはわしが姫の望みを叶えてふしだらな下賤な女を罰してあげようと思った。姫の望みを叶えたからだ。
そしてもう一人の子どもが復讐のために館を燃やしたのだろうな。
大貴族の暴露は全て真実だった。カリンは震えた。
貴方たちの思惑で殺された人は数知れず。いかに大貴族であろうとも赦せない。
そんなくだらない事のために私たちは地獄を味わったのか。
カリンは震えて傍らにいるエドに全て真実を言っているといった。エドは表情がこわばった。
あの超高級娼館や、お父様と正妻の関係は複雑だったらしい。
何もかも新しい真実だった。
ユルセナイ。エドは呟いた。いかに権力を持ってもオレが裁いてやる。
エドは急いで仲間を募った。真実をしらせるために。
嗚呼とカリンは思った。勧善懲悪が始まるんだ。
お父様は何故か、疑惑の大貴族をずっと監視していた。
「どうしてお父様はあの大貴族を真犯人と思ったのですか?」
お父様は冷や汗を流して、それは、あの大貴族は本来ならお父様の正妻の夫になるはずだった人だからだ。
元々、お父様と正妻は正式な婚約者ではなかった。お父様のほうが位が低く、大貴族と正妻は正式な婚約者であるはずだった。正妻がある日高熱を出して重篤な病を得るまで。病が言えるのには1年かかった。その間に正妻は治ったが、不妊状態になった。石女うまずめとなったのだ。これは貴族の女には致命的である。養子をもらう手もあったが
そのころには、もう新しい婚約者が用意されていた。要するにお払い箱として正妻はお父様へ下賜された。
正妻はもう病で心身ともボロボロで冷徹なお父様もさすがに哀れみ、結婚した。
勿論、見返りは要求した。多額の慰謝料と、正妻が十分に暮らせるように図らった。
正妻は自尊心が高く無表情であったが、かすかにお父様にありがとうと小さな言葉で呟いた。
正妻は疲れ果てたので、安らかな生活を送りたいと隠遁を願い立てた。お父様はそれに応じた。
正妻はお父様に感謝していた。だからお父様が寵愛するお母様とぼくを害するわけがないとエドは言っていた。
でも正妻の元婚約者はどうだったのだろう。同然のように新しい婚約者を受け入れたのだろうか?
わからないことばかりだ。
不意にカリンの脳裏に嫉妬、逆恨みが浮かんだ。正妻が?まさか彼女は感謝していたはず。もしかして元婚約者だろうか?
カリンはエドに思うことを言った。「もし、もしよ。元婚約者がまだ正妻を自分のモノと思っていたとしたら
お父様は不遜にも自分のモノを奪った下賤なものとなる。まして、お父様にはほかに寵愛しているお母様とエドがいる。恵まれた家族。白い結婚をした正妻。お飾りの正妻。彼女はその境遇に甘んじていたみたいだけど、元婚約者は
引き裂かれた恋人のようにしか思えなかったのかも。 妬みがあったのかも。自分にはない家族をつくったお父様に。」
エドはあんぐりと口を開けた。
「まさか・・でもそれが動機なら。」
彼は庭園を歩き回った。ついに決意したように、大貴族にあってくれ。それとなく真実をあぶりだしてくれとカリンに願いたてた。
カリンも接待用の女として化けて大貴族にあった。それとなくお酒を用意して、一番良い酒がごさいますと勧めた。
大貴族も嬉しそうに酒を飲んだ。実はその酒には本音を吐露する薬をいれている。
「大変でしたわね。初めての婚約者とはいかがでしたか」
「う、うむ。素晴らしい人だった。美しい金髪、青い瞳 赤い唇 童女のようでありながら妖艶であった。
誰よりも教養があり、もうしぶんのない姫だった。わしは一目で気に入った。あれとなら長く付き合えるとな。」
「だが、あれにはほかに思い人がいた。騎士のセデスという男だ。将来は将軍となれるぐらいの器であった。
セデスも姫の気持ちに気づいていた。」
「だが、その時点では一介の騎士だ。姫に手を出せるひとじゃない。」
「姫は一度見初めたら一途でな。セデスに求愛した。彼女は誰よりも純粋であった。あの狂女王ファルナのようにな。誰かを一途に愛してしまうと何をしでかすかわからないひとであった。」
「セデスも姫を愛していたが、やはり野心溢れる男であった。将軍の位を捨てらなかった。仕方がない。男とはそういうものなのだ。」
「これは私が介入しなくても別れるなと思っていたのだが・・姫はセデスに毒杯を渡した。そして自分も毒杯を飲み干した。これは心中だな。姫にとっては男の愛が将軍の位より下ということが耐えられなかったのだろう。」
とんでもない暴露を大貴族は話した。カリンは呆れた。無理心中?
「勿論、二人とも医者の手配で毒を抜いて助かったよ。しかしそのせいで姫は不妊状態になった。
さすがにわしもあの一途な女が怖くてな、格下の貴族に下賜した。厄介払いだな。彼女は精神不安定だった。
どうも他の人をセデスと思い込むようになっていた。なにをしてかすがわからんから隠遁させたよ。」
わしは、彼女の事情を格下の貴族に話したよ。精神療養させてくれって。
彼はしぶしぶと頷いたよ。彼は彼女は私をセデスと呼んだと苦々しく呟いたよ。
「わしは、わしなりに姫を愛していた。わしももう寿命だ。命が長くない。狂った哀れな姫の望みを叶えてやりたかった。あの大きな宴は、セデスが姫を裏切った罰として開催した。姫は他の女が嫌いだった。セデスを奪われるとずっと思いこんでいた。格下の貴族にも寵愛する家族がいた。こともあろうに高級娼婦だ。姫とは比べ物にもならない。姫は嘆いた。セデスという幻影の男に苦しめられていた。奪う女たちを罰したかったのだろう。
わしはその望みを叶えた。まさかあんな大火をおこすとはな。そこまではわしも読み切れなかった。
もうひとつある。あの超高級娼館は、狂った王族や奇形の子どもを幽閉する館でもあったんだ。
そこには盗賊と懇意にして悪童になっている子どももいた。
彼らにはモラルや秩序はなかったよ。唯面白がって殺したりする子どもがいるだけだった。
まさか、優秀な子どもが盗賊を引き入れてあのような災いを起こすとは思わなかった。
復讐かもな。こんなところで一生を終える子どもには耐えがたいことであったろう。優秀であればあるほど
人生の不条理に気付く。
あの災いはわしが姫の望みを叶えてふしだらな下賤な女を罰してあげようと思った。姫の望みを叶えたからだ。
そしてもう一人の子どもが復讐のために館を燃やしたのだろうな。
大貴族の暴露は全て真実だった。カリンは震えた。
貴方たちの思惑で殺された人は数知れず。いかに大貴族であろうとも赦せない。
そんなくだらない事のために私たちは地獄を味わったのか。
カリンは震えて傍らにいるエドに全て真実を言っているといった。エドは表情がこわばった。
あの超高級娼館や、お父様と正妻の関係は複雑だったらしい。
何もかも新しい真実だった。
ユルセナイ。エドは呟いた。いかに権力を持ってもオレが裁いてやる。
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