猫に変えられた王子と姫

栗菓子

文字の大きさ
1 / 3

第1話 我儘で傲慢な王子と姫

しおりを挟む
とある小国にとても我儘で傲慢な王子と姫が過ごしておりました。

侍女が少しでも粗相をするようなものなら、金切り声で責め立てる鬼のような姫と、拷問を与えて追放する悪魔のような王子が居ました。

王子と姫は、実の兄妹です。容姿は美しくても、中身はゴブリンの様に醜悪で凶暴でした。

王妃である母親は温厚で、どうしてこんな子に育ったのかいつも心配しておりました。

必死でその凶行を諫めようと柔らかく時には厳しく叱責しましたが、彼らはあまりにも幼稚で愚かでした。

他人は自分の玩具として思い、壊してもいいと思い込みの激しい子どもでした。

子どもだからまだいいが、このまま育つと・・王妃はぞっと戦慄しました。とんでもない暴君や悪女が生まれるかもしれません。
彼女は悩んだ挙句、王で或る父親に嘆願しました。

子ども達をどうしたらいいかわからない。何とか良くなってほしいと涙ながらに頼みました。

王は王妃にだけは甘かったのです。王は知っていました。王もそういう凶暴な面があります。でも上手く隠蔽して
良き王として演じています。子ども達を見ると冷ややかによく似てきたなと思うだけです。

王は生来の非情さを発揮して、従えている魔術師に、子ども達を猫に変えろと命じました。

1か月です。その間、放置して生き延びろと子どもたちに宣告しました。

王妃には、子ども達には矯正施設へ連れて行った。とうまく騙して安心させました。

その間、生き延びられるか見ものです。 王は残虐非道な性格をしていましたが、幾重にも猫を被って良き王を演じています。 鈍感な木の精霊みたいな素朴だが心根の優しい王妃だけは愛していました。

その間、王は今まで王子と姫が虐待した従者や侍女に、王子と姫は猫に変身させた。
何をしようと1か月は無罪とすると王妃には内緒で宣言しました。

王はスパルタな性格をしていました。この間に死ぬのならそれだけの奴だったことだと冷ややかに試練を与えました。

子どもなど、王妃や愛妾や愛人に産ませればすむことです。

かくして王子と姫はかつてない試練を与えられました。

王子は、醜い心そのままに、凶暴な目つきをした醜い汚い色をした猫になりました。スラムの野良猫の三下の様でした。
姫はヒステリックで神経質な心そのままに、骨と皮のような猫になりました。目だけは据わっていました。
毛並みもどこか荒れていて禍々しい猫でした。

彼らは傲慢にもまだ自分たちは大丈夫だと思って居りました。いくら何でも実の子どもをそんなにひどい事をしないだろうと父親である王を侮っていました。

だが父親は子どもより残虐でした。 

虐めていた侍女や使用人がわらわらと木の棒や、鋏を持ってやって来るのを見て、王子と姫は顔面蒼白になって猫の毛を逆立てました。

姫はフーフーと威嚇しながら、人間の声で怒鳴りつけました。
「こ、こんな事したら只では済まないわよ。お母様やお父様に言ってやるから。下賤な者のくせに。使用人のくせに。主人の言うことが聞けないの! あんなこと大したことはないでしょう!わたくしは悪くないわよ!」

或る使用人がぶはっと笑いました。
「本当に愚かなお姫様だなあ。俺の親父はほんの少し物を落としただけで両手を切られたよ。親父は職人だった。
王族に献上する工芸品を生み出す名工だったんだせ。なのにあんたはその素晴らしい腕を・・」
「わたくしのせいではないわ!それはお兄様が・・。」
侍女は冷たく言い切りました。
「あんたも同罪なんだよ。あんたは笑いながらお兄さんのやっていることを見ていたじゃないか。」

或る下女が言いました。
「わたしの妹は何もしていませんでした。唯、お姫様より綺麗な瞳と髪をしていただけです。なのに、貴女は無様にも嫉妬して、美しい髪を無惨に鋏で切りました。瞳も潰されて可哀相に。妹は自殺しました。」
淡々と彼女は虚ろに真実を事実を述べました。あんなに可愛かったのに・・虚ろに下女は呟きました。
お姫様は逆上しました。
「な、なによ。わたくしは悪くないわ。下賤な者のくせに美しいからよ。あんな女に惑わされるやつが居なくなって良かったじゃない!わたくしは悪くないわ。わたくしは良い事をしたのよ!」

余りにも身勝手な暴言に下女は呆然となりました。
「本当に・・何も悪いと思ったことはないんですね・・。」
彼女は虚ろに姫であった猫を見ました。
こんな悍ましい化け物見たくないと顔をしかめながらわたしが愚かだったと後悔しました。
世の中にはどうしても理解できない化け物がいるのだと下女は思い知ったのです。

王子であった猫は他人事のように姫と下女のやり取りを傍観していました。

それが我慢ならない下男がドスのきいた声で王子を脅しました。
「まてや。おいコラ。他人事のように見て何様だ。でめえ。わかってんのか。自分のやったこと。
お前の父親は何をしても無罪と宣言したぞ。分かるか。おまえらは見放されたんだぞ。」

流石に、王子も目を見開いてあわあわとなりました。まさかそこまで父がやるとは思わなかったからです。
うんざりと厭な顔をして、下男はどうしようもなく愚かな王子と姫であった猫たちを見ました。

「どこかの国に法があった。目には目を。歯には歯を。 その通り、お前らがしたことを返そう。
もう誰も守ってくれねえよ。お前の母親は何も知らないけど大丈夫だ。事故で死んだと言ってやる。」

「ま、待て待ってくれ・・悪かったから。あやまるから・・。」

王子は必死で弁解して自分の身を守ろうとしたが遅かった。遅すぎたのだ。


苛烈な報復と復讐の嵐が王子と姫であった猫に降りかかった。

ほとんど瀕死の状態になった姫はそれでも、ぶつぶつと「わたくしは悪くない・・。」と呟いた。
それを聞いた下女は本気で狂っている。異常者と悟った。
王子はもっとひどかった。赤いダルマのように血まみれになりながらも減らず口を言った。
「お前ら下賤な者が高貴なぼくたちに報復するのはおかしいんだよ。ぼくはもうあやまらないよ。
必ずお前らを殺すからな。」

それを聞いた下男は嗚呼・・こいつは生きてはいけない生き物だと解りました。
下男は止めをさそうと王子と姫に農家の鍬を振りあげました。

王子と姫であった猫二匹は息絶えました。

それを陰で見届けた魔術師が急いで駆け寄りました。なけなしの良心を持った魔術師が、下男や下女にもういいだろう。後はわたしが処理すると言いました。
下男も下女も頷きました。報復はしたからです。彼らは立ち去りました。
魔術師は慌てて治癒回復の魔法を王子と姫に授けました。
もう無理だろうなと諦めながらかけていたら、なんと驚愕することが起きました。

とんでもない回復力が息絶えた王子と姫を蘇生させたのです。
これには魔術師も初めての経験で呆然となりました。

不意に、猫は七つの命をもっていると魔術師は昔の迷信を思い出しました。
「「遅い!遅すぎる!」」
二匹の猫は二重にはもって魔術師に怒鳴りました。どうやらその腐った根性は一度死んだぐらいでは治らなかったようです。
魔術師は後悔しました。放置しておけば良かったと悩みました。

でも地獄から蘇った二匹の猫はより凶暴に醜くなりました。
「あいつら許さない。」
「まあ。待て。まずはお父様からだ。僕たちを見放したお父様を殺さなければ・・」
王子は最大の敵を知っていました。
魔術師は青ざめました。まだ報復しようとしているのか。自業自得のくせに。

それだけではない。王子は一度死んだせいか地獄の神様からとんでもない力をもらったようです。
制止しようとする魔術師を金縛りにしました。

嗚呼。地獄の神様め。悪魔に余計な力を与えたなんで・・魔術師は動かない体を必死で動かそうとしました。
「安心しろ。ぼくも、ぼくと妹を助けようとした恩人を殺すなんて無体なことはしない。唯、そのまま彫像となって
なにもするなよ。これは僕たちとお父様の戦いなんだ。」


魔術師は彫像に変えられました。王子と姫を猫に変えた魔術師が彫像に変えられたなんて皮肉なもんです。

かくして、お父様と子ども達の壮絶な復讐劇が始まりました。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...