猫に変えられた王子と姫

栗菓子

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第2話 お父様との仁義なき戦い

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一度死んで、ゾンビの如く蘇った二匹は悪鬼より禍々しくなりました。
地獄の神に気に入られて、二匹は全能感を得て、この力でわたしたちを苦しめた憎い父を倒そうと正義をかざしました。
下民や、多くの人には賛成できない正義でした。
色々と、王族の横暴に苦しめられた被害者は多かったからです。

母親はそんなこともつゆ知らず、父親である王に命じられて、王妃としての視察という遠方の領地へと旅に行かされました。父親は母親を巻き込みたくなかったのです。

紅いじゅうたんに敷き詰められた豪華な部屋。その上座に重厚な椅子。 
玉座に相応しい椅子があり、王はそこにふてぶてしく座っていました。


バアンと荒々しく、部屋の扉が開かれました。 王はこの事を予期していました。
くいとめようとした護衛や使用人の死体を蹴り上げながら、地獄の二匹は爛々と目を光らせて、獰猛な獣となり
父親の姿を見て、息を荒げました。唸りました。

「いたな。よくも実の子どもにこんな仕打ち。お前なんて父親じゃない。成敗してくれる。」

父の前にもやもやと雲ができました。その雲はたちまち無数の刃となり、父を八つ裂きにしようとかかってきました。
父は余裕の顔で、唯座っていました。なんと、無数の刃がなにかに遮られたように遮断されてボロボロと落ちていきました。
「すまないねえ。わたしは王の加護を神から授かっているんだよ。
わたしに危害を与える者が居たら自動的に結界や加護が発動するのだよ。」

王はパアンと両手をあわせました。
すると、二匹のいた場所だけ底が崩れ、下には無数の槍とそれにささってぶら下がっている白骨死体が見えました。
二匹はあまりにも唐突でパニックになり、悲鳴を上げて落ちました。
辛うじて、力で槍に刺さる直前に浮遊しました。いえ、姫は既に槍に何本か刺さって、体が貫通していました。
猫の串刺し。焼き鳥のようだと下民は思ったでしょう。しかし焼き鳥などみたこともない王子と姫は唯、槍に貫かれたと思うだけでした。

「嗚呼・・妹よ。煩い女とだけ思っていたがこうやって死んだお前を見ると・・兄として可哀相に思うよ・・。」
悪魔のような兄は少し悲しそうに呟きました。

「ちょっとお。なあに。それ!そんなふうに思っていたのお!」

血塗れになりながらも妹である姫は串刺しのまま喚き散らしました。妹は不死者になっていました。
すぐ傷は塞がり、再生能力が凄い姫は、自分で槍をぬんと女らしくない雄たけびを上げて折りました。

「うわあ。だんだん雄々しくなっていくなあ。妹よ。昔はもっと姫らしかったんだけどなあ。」
兄は(・・?と不思議がりました。いいえ。姫の本性が死ぬ度に露わになっていくだけですよ。地獄の神からもらった力も増幅してより、雄々しく禍々しくなりました。

妹は素晴らしい猫の身体能力の高さで、瞬発能力を得て、底から一気に跳躍して、お父様のいる部屋まで着地しました。くるりと一回転して着地するのはサーカスの団長も思わずスカウトしたくなるほど見事でした。

兄は妹の一回転に感動して凄い。僕もと思いましたが、兄は残念ながらどんくさい猫だったようです。着地に失敗して、また奈落に落ちそうになりました。兄は慌てて雲を足元に敷き、なんとか妹の後を追いかけました。

そのごろは妹は果敢にも、父親を傷つけようと跳びかかかっていました。
でも駄目でした。結界が電流を放ちました。兄には妹の猫の骨が見えたぐらいビリリと焦げた匂いを放ちながら真っ黒になって倒れました。

「嗚呼・・妹よ。」
今度こそ妹姫は死んだと兄は合掌しました。しかし驚くべきことに、再度妹は蘇りました。
煤からべろりと白い肌が見えました。今ので、魔術師の猫に変化する呪いが解けたようです。
蛇の抜け殻のように、猫の焼死体はぺらぺらになり、美しい人間の娘が現われました。

妹姫は力で姫らしく美しいドレスで体を覆いました。
しかしほっそりとした手には、似つかわしくない棍棒がのっていました。
妹姫はふっと笑って、「地獄の鬼から頂いた棍棒よ。力は十分にあるわ。」と父王と兄に説明して
力一杯ふって、父王の結界や加護を壊しました。
パリンパリンと男が聞こえました。結界が敗れる音です。

兄は「おお!妹よ良くやった!」と歓声を上げました。

これで憎い憎い父王を殺せるのです。 この時ばかりは妹を天使のようにも女神のようにも思いました。

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