落花流水

栗菓子

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第1話 楽園

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そこは原初的な楽園といえば楽園だった。

空気の澄み切った青空と、欠けたギザギザの獣の歯のような恒星で夜も、すくすくと育つ夜行性の動物や、植物が生命を誇るように繁栄していた。


他の集落は、生存のために、水や食料、安全な場所など様々な困難を知恵と工夫で乗り越えて、侵入や、排除、吸収の歴史を繰り返しているらしい・・。

しかし、ここはむき出しのコンクリートの塔でほとんど蔦や植物で覆われていて太古の遺産のようになっている。

周辺は奇妙な毒や汚染で、通常の生き物は死ぬレベルになっている。

わたしたちは不運な種族だったらしい。

この地でなにか大きな汚染や事故があって、取り残された一族らしい。怨嗟に満ちた一族も居たらしいが、わたしたちは諦めて、地下に避難した末裔だ。

天才科学者たちが、わたしたちの体を改造して、どこに行っても順応、生存できるようにした。

子孫繁栄も、生き延びるのに必要と判断したら、自動的にそうなるように体が調整されていた。



わたしたちの一族は擬態が上手く、ある集落に根付こうとした者は、その集落の平均的な容姿や性格、能力に調整して生きるようになっている。

成功した個体も居たが、勘が鋭すぎる野生の原住民に、正体を見破られ、排除され殺害された個体もいる。

どちらも正しい選択をしている。

侵入した種を全て受け入れたら、原住民の種はなくなるのは目に見えている。

しかし、受け入れた原住民にはわたしたちは利益と恩恵を与えている。

わたしたちは、原住民よりほんの少し、世界の秩序と、どうやったら恩恵を受けるか知っている。

どうも、世界に適応するよう愛されるように品種改良し続けた一族のようだ。

一見自然に生まれた個体に見えて、その実、改造をされ続けている人工的な一族がわたしたちだ。


わたしたちは全にして個。個にして全だ。

わたしたちは本来性はないように創られたのだが、天変地異や、異変が起きた場合、性を持つようになっている。

ペアとなる相手の嗜好に合わせて、変化することもできる。

無知な人は、淫魔や悪魔とか罵ったりもしたが失礼だ。

わたしたちは唯生きるために適応しているにすぎない。



そんなおり、わたしたちの一部 末端の者が、ある原始的だが聡明で、優れた男に凌辱されて、妻となった。

男は、ちょっと変わった性癖で、あまり雌らしくない両性具有の身体が好みだった。少年みたいな身体が好みだったのだ。

激しい破瓜の痛み、男の怒張した男根が新しく造られた膣と処女膜を破り、精液を奥深く出そうと激しく獣のように
動いて、淫猥な音が鳴る結合は、真っ赤な血と、精液の白い液体と尿で汚れ切っていた。


激し過ぎる・・。わたしたちは、一つでもあるが、蜥蜴の尻尾のように、余りにも壮絶な生命に関わる苦痛を遮断するため、意識伝達を遮断することがある。


御免ね。さようなら・・。わたしたちは、災難にあった末端の者に別れを告げた。


末端の者もそれがわかって、呻きを上げた。シャットアウト。


わたしたちは、その命の消滅を幻視した・・。


しかし、時がたつにつれて、末端の者は、奇跡的に生存して、凌辱した男と、他の男たちの所有物となって生きているらしい。

驚くべきことに、その男たちと交わった結果、子どもが生まれた様だ。

本来は、余りにも違う種は、子どもが生まれない。違う星で、改造されてきた一族の種が、原住民の精液によって花開いたのだ。

これは奇跡だった。

わたしたちは一族以外では子どもは望めなくなった。

わたしたちは、歓喜の余り、再接触しようとしたら、末端の者の激しい怒りと拒絶の精神があった。

これはどうした事か?

わたしたちにはあまり精神というものはない。

原住民と交わってなにか変容したのだろうか?


「・・・・コドモウバウナ。ワタシステラレタ。モウ。ワタシ。男のモノ。男にゾクスル。」

わたしたちは悟った。末端の者は、切りすてられて新たな意識、ゾクスル場所を得たのだ。

わたしたちはもう過去の同胞にすぎなかった。


わたしたちは遠さがった・・。しかし子どもだけは気になっていた。


わたしたちは、また接触するだろう。わたしたちの亜種、枝分かれした子孫たちに・・

嗚呼これがニンゲンのソボ 或いは、ソフの気持ちだろうか?


わたしたちはこの大いなる感覚を尊んだ。

ようこそ。新しい命よ‥予期せぬ命よ・・。世界に生まれてありがとう・・。



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