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13.エリナの想い その一
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私、エリナ・クランベルには、ルーク・クランベルという名の二つ違いの兄がいる。
兄はいつも言っていた。
人と触れ合う時は、その人の立場になって考えなさいと。
自分がされて嫌なことは、相手にとっても嫌なことだと。
まだ幼い私には、それがどういう意味なのかわからなかった。
その意味を少しだけ知ったのは、私が三つの時。
お屋敷の庭でお兄様と遊んでいた時、野犬が敷地内に紛れ込んで来たのだ。
野犬は何物にも目をくれず、私に飛び掛かって来た。
私は大きな悲鳴を上げて、目を閉じた。
そして再び目を開けた時、そこには、野犬に全身を噛まれながらも、必死に私を守ろうとする兄の姿があった。
傷付きながら、兄は犬を屋敷から追い払った。
兄の額と両腕から、沢山の血が流れていた。
私はお兄様に駆け寄り、身を案じようとしたのだけど、それよりも早く、
「大丈夫だったかいエリナ」
お兄様が私の身を案じた。
「僕は男だ。傷は勲章みたいなもんさ、ましてや大事な妹を守った傷なら尚更ね。でも女の子は違う。特にエリナは貴族だ。見た目が重要になる世界に生きている」
お兄様は私の将来を見据えていた。これから歩む私の未来を。
自分を犠牲にしてでも、女であり、妹である今の私、そして未来の私を守ると言われた。
幼いながらも私は思った。
人に対する思いやりとは何なのかを。
相手の立場になって考えるとは何のかを。
その心を向けられた相手はどんな気持ちになるのかを。
自分がされて嫌なことは、相手にとっても嫌な事。
そして、自分がされて嬉しい事は、相手にとっても嬉しい事。
私は心の底から思う。
ルーク・クランベル。
私にその事を教えてくれた、”この方”の妹に生まれた事実が、生涯の誇りなるだろうと。
兄はいつも言っていた。
人と触れ合う時は、その人の立場になって考えなさいと。
自分がされて嫌なことは、相手にとっても嫌なことだと。
まだ幼い私には、それがどういう意味なのかわからなかった。
その意味を少しだけ知ったのは、私が三つの時。
お屋敷の庭でお兄様と遊んでいた時、野犬が敷地内に紛れ込んで来たのだ。
野犬は何物にも目をくれず、私に飛び掛かって来た。
私は大きな悲鳴を上げて、目を閉じた。
そして再び目を開けた時、そこには、野犬に全身を噛まれながらも、必死に私を守ろうとする兄の姿があった。
傷付きながら、兄は犬を屋敷から追い払った。
兄の額と両腕から、沢山の血が流れていた。
私はお兄様に駆け寄り、身を案じようとしたのだけど、それよりも早く、
「大丈夫だったかいエリナ」
お兄様が私の身を案じた。
「僕は男だ。傷は勲章みたいなもんさ、ましてや大事な妹を守った傷なら尚更ね。でも女の子は違う。特にエリナは貴族だ。見た目が重要になる世界に生きている」
お兄様は私の将来を見据えていた。これから歩む私の未来を。
自分を犠牲にしてでも、女であり、妹である今の私、そして未来の私を守ると言われた。
幼いながらも私は思った。
人に対する思いやりとは何なのかを。
相手の立場になって考えるとは何のかを。
その心を向けられた相手はどんな気持ちになるのかを。
自分がされて嫌なことは、相手にとっても嫌な事。
そして、自分がされて嬉しい事は、相手にとっても嬉しい事。
私は心の底から思う。
ルーク・クランベル。
私にその事を教えてくれた、”この方”の妹に生まれた事実が、生涯の誇りなるだろうと。
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