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*玉の緒よ
しおりを挟むベッドの上に置いていた本は全部下に置かれて。
本は踏みたくないからせめて机の上に、と抵抗したらその上には今夕食が(コンビニサラダとコンビニサンドウィッチとコンビニスイーツ)が乗っていて、じゃあ仕方ないよね?と微笑みながら有無を言わさず下において、
彼は上着を脱いだ。
「し、しわになるよ、」
「スーツの替えくらいあるから心配しないでいいよ、というかそんなこと気にする余裕あるんだね」
「え゛」
「ねぇ、奈々。
わかりやすく状況を整理してあげるならね、
今、ベッドのある部屋に男女が2人でいるんだよ」
え゛?
「だからさ、まず思い出せないみたいだから、間違いから始めよっか?」
彼はそう言って、いつの間にやら手に持っていた梅酒を瓶から一気に煽った。
「まっ、雅俊くん!?梅酒は瓶から飲むものじゃなっ、」
むぎゅ。
むぎゅ?
むぎゅって、何?
戸惑っているうちに彼の、カメラのシャッターを切る手がワタシの後頭部を押さえる。そして、カメラを支える手が、ワタシの顎をぐい、と押した。
「ま、ましゃとし、」
呼ぶ前に、ちょっととろみのある、甘い液体が口の中に流れ込んで。
飲みきれなかった分が、唇の端から、頬を伝う。
「ねえほら、ちゃんと呑まなきゃ。せっかくのお祝いだよ?」
アルコールの、つんとした、でもお酒の、甘いあの匂いが、鼻に抜ける。
つい美味しいから、いつもみたいにこくん、と呑み込んでしまったけれど。
わ、わたしの、
「ワタシの。ファーストキスが、」
「え、初めてだったの!?それはラッキー、」
「ラッキーですむかー!!!返せ!私のファーストキス!」
こんなお酒まみれのキスだなんて!
いや甘いけど、梅酒だったから甘ったるいて言う時点は合格…なわけない!
なにしてくれるんだ!
「なぁに、返して欲しいの?」
切長の目が、壮絶な色気を醸した。そんな流し目くれないでよ。梅酒の瓶を見てなよ。流し目でこっち見んな。
「ねぇ、奈々。おれ、酔っちゃった」
「え?」
「だからさ、」
ごくっ、とまた、瓶を煽る。
え。
嫌な予感から、距離を取ろうとした身体を、がっしりと腕を取って。
そのまま抱きすくめられて。
また、後頭部を押さえられて。
雅俊くんは口移しで梅酒を飲ませた。
今度は、長い。
長い舌が、無理やりわたしの唇を割って、隙間に梅酒を流し込んでくる。
溢れそうになっちゃうけれど、いつのまにか雅俊くんは私を抱きすくめてベッドの上に座らせていて。
こぼしたら布団が汚れてしまう。
そう思うと口を開いて受け入れざるを得なくて、
その開けた口をまるで自分のものだと言わんばかりに彼の下がなぞっていく。
噛んでやろうとしたのが伝わったのか、体勢が変わって。
おもいっきり、組み敷かれている体勢になった。
驚いたのと、口のおくに、梅酒が流れ込んで、息が苦しくて。
こくん、と呑み込む。
それを確認したのか、無礼千万な舌が私の口から出て行って、
「あーあ、飲み込んじゃったか。俺にも飲ませてよ、」
「な、何を勝手な、」
というと、
「お返し、もらうね」
と全く聞かず、そのまま彼は再度私に口付けた。
これはまずい。
ベッドの上、多少とはいえいきなりちょい度数高めの梅酒を空きっ腹に流し込まれた女、そして、組み敷きにかかっている男。
これは、まずい。
「ま、ましゃとしくん、ストップ、」
「んー?しないよ。せっかく玉の緒繋げたんだからね、」
え?
彼の手は、シャツの裾をめくり上げていた。
え。
ぱたぱた、と思わず二回瞬きする。
「わー、かぁいいブラ。」
真っ白レースな、花の意匠が凝らされた、いわゆる勝負下着を、晒されてしまった。
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