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第百五話(九尾目線)
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「…………」
あと一歩で地面が途切れる場所に立ち、九尾は空を眺めた。遠くから、ぴぃーひょろろろ……という鳥の鳴き声が聞こえる。空から下りて来た風が、さあっと頬を撫でていく。
――ここから飛び降りれば、晴明に会いに行けるだろうか……。
そんなことを考えた自分が、やや新鮮に思えた。
以前は晴明のことばかり考えて、会えたら恨み言をぶつけてやりたいと思っていたのに、今はそんな気持ちもどこかへ行ってしまった。もちろん言いたいことはたくさんあるけれど、恨み言よりは現代で経験したたくさんの出来事を、面白おかしく話してやりたいという気持ちの方が強かった。
晴明……平成という時代には興味深いものがたくさんあるぞ。かき氷や『そふとくりーむ』も美味しいし、電車という乗り物ですぐに遠くへ移動できるし、わからないことは『すまほ』が全部教えてくれる。薄い板に話しかけると、一瞬で答えを教えてくれるんだ。すごいと思わないか……?
「九尾っ!」
ここで初めて九尾は、晴斗を見た。彼は不安定な状態のまま、必死に深紅の尻尾にしがみついていた。早く助けてあげなくては。
「待ってくれ!」
今にも飛び降りようとした瞬間、晴斗が怒鳴った。
「晴明さんは……晴明さんは九尾を裏切ったわけじゃなかったんだ! 玉藻前の呪詛から守るために、あえて頑丈な水晶に封印したんだ! お前はずっと晴明さんに愛されてたんだよ!」
「……!」
「そうまでして晴明さんが守ってくれた命なんだぞ! 脅されたくらいで簡単に捨てようとするな! 俺はなんとかなるから、お前は早く逃げろ!」
「…………」
九尾はふわりと微笑んだ。真実を知って安心した一方、やっぱりな……という納得した思いが生まれてきたことが、自分でも少し意外だった。裏切られたと思っていたけれど、心のどこかでは「晴明のことだから、何か深い考えがあったに違いない」と信じていたのかもしれない。
あと一歩で地面が途切れる場所に立ち、九尾は空を眺めた。遠くから、ぴぃーひょろろろ……という鳥の鳴き声が聞こえる。空から下りて来た風が、さあっと頬を撫でていく。
――ここから飛び降りれば、晴明に会いに行けるだろうか……。
そんなことを考えた自分が、やや新鮮に思えた。
以前は晴明のことばかり考えて、会えたら恨み言をぶつけてやりたいと思っていたのに、今はそんな気持ちもどこかへ行ってしまった。もちろん言いたいことはたくさんあるけれど、恨み言よりは現代で経験したたくさんの出来事を、面白おかしく話してやりたいという気持ちの方が強かった。
晴明……平成という時代には興味深いものがたくさんあるぞ。かき氷や『そふとくりーむ』も美味しいし、電車という乗り物ですぐに遠くへ移動できるし、わからないことは『すまほ』が全部教えてくれる。薄い板に話しかけると、一瞬で答えを教えてくれるんだ。すごいと思わないか……?
「九尾っ!」
ここで初めて九尾は、晴斗を見た。彼は不安定な状態のまま、必死に深紅の尻尾にしがみついていた。早く助けてあげなくては。
「待ってくれ!」
今にも飛び降りようとした瞬間、晴斗が怒鳴った。
「晴明さんは……晴明さんは九尾を裏切ったわけじゃなかったんだ! 玉藻前の呪詛から守るために、あえて頑丈な水晶に封印したんだ! お前はずっと晴明さんに愛されてたんだよ!」
「……!」
「そうまでして晴明さんが守ってくれた命なんだぞ! 脅されたくらいで簡単に捨てようとするな! 俺はなんとかなるから、お前は早く逃げろ!」
「…………」
九尾はふわりと微笑んだ。真実を知って安心した一方、やっぱりな……という納得した思いが生まれてきたことが、自分でも少し意外だった。裏切られたと思っていたけれど、心のどこかでは「晴明のことだから、何か深い考えがあったに違いない」と信じていたのかもしれない。
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