転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第1章~あなたを目指して~

第46話

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「えっ……?」
「……大丈夫です。お手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」

 アクセルは胸元に手を突っ込み、白い子うさぎを取り出した。必死に守った甲斐あって無傷だった。正面から斬られていたら自分もろとも斬殺されていたかもしれないので、少しホッとした。

「ほら……早く帰れ。もうこんなところに来るなよ?」

 子うさぎはつぶらな瞳でアクセルを見つめると、そのままタタタ……と茂みに走っていってしまった。

 それを満足げに見送っていたら、兄が顎に手を当てた。

「お前、子うさぎを庇ってたの? だから反撃できなかったってこと?」
「……いえ、単に俺が未熟だっただけです」

 短く言い切ると、アクセルは両腕をついて身体を起こした。なんとか片足だけで立ち上がろうとしたのだが、脇腹の痛みと重心がズレているのとで上手く立ち上がることができない。

「もう……」

 見かねた兄がアクセルを抱き起こし、ひょいと肩に担ぎ上げた。

「じゃ、このまま一緒に泉に行こうね」
「えっ!? そんな、大丈夫です。俺一人で行けます。降ろしてください」
「何言ってるの。一人で立つこともできないくせに」
「でも、あ……フレイン様にこんなこと」
「お前ね、何を遠慮しているのか知らないけど、怪我している時くらい素直に運ばれなさい。私が誰かを運ぶなんて滅多にないんだから」
「だけど……」
「さ、行くよ。おとなしくしててね」
「…………」

 つい泣きそうになって、また強く唇を噛んだ。
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感想 46

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