260 / 2,484
第3章~新たなる試練~
第137話※(フレイン視点)
しおりを挟む
「ぐは……ッ」
弟の唇から鮮血が迸る。衝撃に耐えられず、弟は仰向けにのけ反った。仰向けに転倒したところを今度はこちらが馬乗りになり、太刀の柄を両手で握って振りかぶった。
だが、喉元に刃を突き立てようとした時、一瞬だけ瞳の色が戻った。何故こんな風になっているのかわからないようだった。
「あにう……」
言葉を掻き消すように、フレインは弟の首を一突きした。それでアクセルは絶命した。強力な毒に侵されていた身体も、一度死んで棺に入れば全てなかったことになる……。
――元通りになるはずさ、身体はね……。
血まみれの太刀を仕舞い、のろのろと弟の亡骸を背負った。弟の血の匂いを嗅いでいたら、いつの間にかボロボロ涙がこぼれていた。
弟を棺に入れ終わってからは何もする気が起きず、フレインは自宅に戻ることもなく夜までふらふら飲み歩いた。
ヴァルハラ名物「ヤギの蜜酒」を浴びるほど飲んだがいくら飲んでも酔えず、身体は怠いまま、ひたすら街を彷徨った。
「おいフレイン、大丈夫か?」
ぐったりとベンチに座り込んでいたら、ジークに声をかけられた。彼はこちらの様子を窺い、呆れたような目で腰に手を当てた。
「お前さん、酔ってるのか? 珍しいな、酒には強いのに」
「酔ってないよ……」
「……どっちでもいいけどよ。とにかく、もう帰った方がいいぞ。また昔みたいに犯されちまうかもしれないし」
「別にいいよ……今はそういう気分だもの」
「おいおい……」
今度こそジークは完全に呆れてしまったようだ。
弟の唇から鮮血が迸る。衝撃に耐えられず、弟は仰向けにのけ反った。仰向けに転倒したところを今度はこちらが馬乗りになり、太刀の柄を両手で握って振りかぶった。
だが、喉元に刃を突き立てようとした時、一瞬だけ瞳の色が戻った。何故こんな風になっているのかわからないようだった。
「あにう……」
言葉を掻き消すように、フレインは弟の首を一突きした。それでアクセルは絶命した。強力な毒に侵されていた身体も、一度死んで棺に入れば全てなかったことになる……。
――元通りになるはずさ、身体はね……。
血まみれの太刀を仕舞い、のろのろと弟の亡骸を背負った。弟の血の匂いを嗅いでいたら、いつの間にかボロボロ涙がこぼれていた。
弟を棺に入れ終わってからは何もする気が起きず、フレインは自宅に戻ることもなく夜までふらふら飲み歩いた。
ヴァルハラ名物「ヤギの蜜酒」を浴びるほど飲んだがいくら飲んでも酔えず、身体は怠いまま、ひたすら街を彷徨った。
「おいフレイン、大丈夫か?」
ぐったりとベンチに座り込んでいたら、ジークに声をかけられた。彼はこちらの様子を窺い、呆れたような目で腰に手を当てた。
「お前さん、酔ってるのか? 珍しいな、酒には強いのに」
「酔ってないよ……」
「……どっちでもいいけどよ。とにかく、もう帰った方がいいぞ。また昔みたいに犯されちまうかもしれないし」
「別にいいよ……今はそういう気分だもの」
「おいおい……」
今度こそジークは完全に呆れてしまったようだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
802
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる