413 / 3,048
第4章~更なる力を求めて~
第43話(フレイン視点)
しおりを挟む
――この土鍋、いつかアクセルと鍋をつつくために買ったんだっけ……。
アクセルがまだヴァルハラに来る前のことだ。あの時は弟が本当に来てくれるかわからなかったので、願掛けの意味も込めてわざと大きめの土鍋を買ったのだ。一人で使うには大きすぎたから、今まで使う機会はほとんどなかったけれど。
噴きこぼれに気を付けながら、土鍋の近くで玉葱をみじん切りした。後でミルク粥を作る時にご飯と一緒に入れるのだ。ついでにチーズもなるべく細かく切り刻み、熱で溶けやすいように下準備しておいた。
――さて……そろそろかな?
土鍋の火を強火から弱火にし、焦げができないようじっくり炊き上げる。完全に水分が飛んだところで、フレインはミトンをして土鍋の蓋を開けた。
白い湯気と共に、つやつやした米が炊き上がっていた。我ながら、なかなか上手に炊けたと思う。これは絶対美味しいはずだ。
――というか、そろそろ起きた方がよくないかな……。
蓋を閉め、弟の様子を窺いに行く。
アクセルは相変わらずベッドで爆睡しており、頬をつついても微動だにしなかった。
「おーい、アクセル。そろそろ起きないかい? 明日は死合いがあるんじゃないの? その前に狂戦士モードを身に付けられたか、確認したいんじゃなかったっけ? あとね、お兄ちゃんお前にいろいろ話があるんだよ。人質交換の件とかさ」
軽く揺すって起こそうと試みる。だが予想に反して弟はなかなか起きてくれず、寝返りを打ってこちらに背を向けてしまった。寝起きがいい弟にしては珍しいが、自然に起きるまで寝かせておくわけにもいかない。死合いもあるし、この後のスケジュールは目白押しなのだ。ここは無理矢理にでも起こさなくては。
アクセルがまだヴァルハラに来る前のことだ。あの時は弟が本当に来てくれるかわからなかったので、願掛けの意味も込めてわざと大きめの土鍋を買ったのだ。一人で使うには大きすぎたから、今まで使う機会はほとんどなかったけれど。
噴きこぼれに気を付けながら、土鍋の近くで玉葱をみじん切りした。後でミルク粥を作る時にご飯と一緒に入れるのだ。ついでにチーズもなるべく細かく切り刻み、熱で溶けやすいように下準備しておいた。
――さて……そろそろかな?
土鍋の火を強火から弱火にし、焦げができないようじっくり炊き上げる。完全に水分が飛んだところで、フレインはミトンをして土鍋の蓋を開けた。
白い湯気と共に、つやつやした米が炊き上がっていた。我ながら、なかなか上手に炊けたと思う。これは絶対美味しいはずだ。
――というか、そろそろ起きた方がよくないかな……。
蓋を閉め、弟の様子を窺いに行く。
アクセルは相変わらずベッドで爆睡しており、頬をつついても微動だにしなかった。
「おーい、アクセル。そろそろ起きないかい? 明日は死合いがあるんじゃないの? その前に狂戦士モードを身に付けられたか、確認したいんじゃなかったっけ? あとね、お兄ちゃんお前にいろいろ話があるんだよ。人質交換の件とかさ」
軽く揺すって起こそうと試みる。だが予想に反して弟はなかなか起きてくれず、寝返りを打ってこちらに背を向けてしまった。寝起きがいい弟にしては珍しいが、自然に起きるまで寝かせておくわけにもいかない。死合いもあるし、この後のスケジュールは目白押しなのだ。ここは無理矢理にでも起こさなくては。
10
あなたにおすすめの小説
うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。
春雨
BL
前世を思い出した俺。
外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。
愛が重すぎて俺どうすればいい??
もう不良になっちゃおうか!
少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。
説明は初めの方に詰め込んでます。
えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?)
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
5/25
お久しぶりです。
書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる