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第12章~不穏な空気~

第144話

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「え? そうだったのか? どうやって使うんだ?」
「それは……その、ちょっと口では言いづらいんだが……」
「なんだ、そんなにヤバい道具だったのか。全然知らなかったわ」

 ……仮に知っててアクセルにあれを貸し与えたのなら、アロイスも相当性格が悪いと思う。

「……とにかく、今後はああいう変な道具を借りてくるなよな。そういう趣味があると誤解されても困るし」
「おう、そうだな。やっぱりトレーニングは道具に頼っちゃダメだよなー!」

 ……ちょっと論点がズレているが、これ以上被害が増えないのであればそれでいい。

「んで、これが作ってくれたスープってわけね」

 アロイスが台車の鍋を開け、スープの匂いを嗅ぐ。持ってくる直前に温め直したから、ちょうどいい温度になっているはずだ。

「美味そうじゃん。アクセル、料理上手かったんだな」
「まあ、人並み程度にはな。料理するのは兄か俺しかいなかったから、必然的に」
「へー、そうか。たくましいな。オレなんか、食材全部テキトーに切って鍋に突っ込んじまうから、いつも同じものができるぜ」
「そ、そうなのか……」

 ……それだけだと、出来上がるのがスープなのかシチューなのか、それとも鍋料理なのか、どれとも判断がつかないのだが。

「よっしゃ! とにかくいただくぜ! 朝メシ、朝メシ~♪」

 上機嫌のまま、鍋におたまを突っ込むアロイス。小皿も用意せず、鍋から直接食べようとしていた。

 兄といいアロイスといい、食欲旺盛な人って何故鍋のまま食べたがるのだろう……。
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