1,383 / 3,048
第13章~獣化の秘密~
第22話
しおりを挟む
本人は「寝てばっかりなのは嫌だ」と言っていたけれど、起きたら起きたで獣化の治療が待っている。きっと辛いことになるだろうから、せめて今はいい夢を見ながらゆっくり眠っていて欲しい。
「……んで? フレインは今どういう状況なんだよ? 結構ヤバいって聞いたけど」
と、ジークが話を振ってくる。
アクセルはやや目を伏せて答えた。
「ええ、まあ……。さっきまでちょっと大変なことになってまして」
「おや。わたくしが聞いた話では、昨日までは普通に元気だったということですが」
「そうなんです……。だから俺も、急激な変化に戸惑っていて。早く治療を受けさせないと手遅れになってしまいます。どこに兄を連れて行けばいいか、わかりますか?」
「それはアレだよ、グロアの隔離施設。世界樹を通って『グロアの隔離施設に行きたい』って思えば、すぐ着くよー」
ミューがペロペロキャンディーを咥えながら教えてくれる。
――グロアの隔離施設……初耳だな……。
ただ、グロアという名はチラッとだけ聞いたことがある。
バルドルのところに人質に出されていた時、鍛錬の怪我を治す際に傷薬を使ったことがあった。それを調合したのがグロアという話だ。
「その隔離施設に行けば、兄上は治るんですね?」
「手遅れじゃなければな。まあ、治療の最中にも獣化が進んで、残念ながら破魂になったヤツもいるけどさ」
「……わかりました。俺、今すぐグロアの隔離施設に行ってきます。ロクなおもてなしもできなくてすみません」
「……んで? フレインは今どういう状況なんだよ? 結構ヤバいって聞いたけど」
と、ジークが話を振ってくる。
アクセルはやや目を伏せて答えた。
「ええ、まあ……。さっきまでちょっと大変なことになってまして」
「おや。わたくしが聞いた話では、昨日までは普通に元気だったということですが」
「そうなんです……。だから俺も、急激な変化に戸惑っていて。早く治療を受けさせないと手遅れになってしまいます。どこに兄を連れて行けばいいか、わかりますか?」
「それはアレだよ、グロアの隔離施設。世界樹を通って『グロアの隔離施設に行きたい』って思えば、すぐ着くよー」
ミューがペロペロキャンディーを咥えながら教えてくれる。
――グロアの隔離施設……初耳だな……。
ただ、グロアという名はチラッとだけ聞いたことがある。
バルドルのところに人質に出されていた時、鍛錬の怪我を治す際に傷薬を使ったことがあった。それを調合したのがグロアという話だ。
「その隔離施設に行けば、兄上は治るんですね?」
「手遅れじゃなければな。まあ、治療の最中にも獣化が進んで、残念ながら破魂になったヤツもいるけどさ」
「……わかりました。俺、今すぐグロアの隔離施設に行ってきます。ロクなおもてなしもできなくてすみません」
0
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。
春雨
BL
前世を思い出した俺。
外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。
愛が重すぎて俺どうすればいい??
もう不良になっちゃおうか!
少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。
説明は初めの方に詰め込んでます。
えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?)
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
5/25
お久しぶりです。
書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
【完結】王宮勤めの騎士でしたが、オメガになったので退職させていただきます
大河
BL
第三王子直属の近衛騎士団に所属していたセリル・グランツは、とある戦いで毒を受け、その影響で第二性がベータからオメガに変質してしまった。
オメガは騎士団に所属してはならないという法に基づき、騎士団を辞めることを決意するセリル。上司である第三王子・レオンハルトにそのことを告げて騎士団を去るが、特に引き留められるようなことはなかった。
地方貴族である実家に戻ったセリルは、オメガになったことで見合い話を受けざるを得ない立場に。見合いに全く乗り気でないセリルの元に、意外な人物から婚約の申し入れが届く。それはかつての上司、レオンハルトからの婚約の申し入れだった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる