転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第13章~獣化の秘密~

第30話

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「まあ、治療中は当然死合いには出られないからな」

 ジークが淡々と言う。

「獣化の治療に何ヶ月もかかると、必然的にランクも下がる。実力で敵わない上位ランカーを引きずり降ろすには、最も手っ取り早い方法だな。しかもやり方によっては、めちゃくちゃリスクも少ないし」
「だから宴会場の食事なんて信用ならないんですよ。いつどこでどんな毒が仕込まれるかわかりませんからね」

 と、ユーベルがやれやれと肩を竦める。

「わたくしもヴァルハラにきてそこそこ年数経っていますが、宴会場で食事したことは一度もありません。皆さん、毒殺のことを軽く見すぎです」
「あはは、さすが貴族サマは用心深いねー。僕はそういうの、あまり気にしたことないけどなー」
「……ミューの胃袋はいろんな意味で普通ではないので。とにかく、あなたも宴会場で食事する際は気を付けなさい。運悪く毒に当たる可能性もあるんですから」
「……!」

 そう忠告され、アクセルは言葉を失った。そんなことを言われてしまうと、なんか急に飲食が恐ろしくなってくる。外で食事ができなくなる。

「……ユーベル様は、兄が誘発剤を盛られた場所は宴会場だと考えているんですか?」
「十中八九そうでしょう。あそこで提供されるシチュー鍋に誘発剤を仕込んでおけば、不特定多数の戦士に盛れますからね。獣化の気配がない戦士には効果がありませんが、たまたまフレインは引っ掛かってしまった……。そんなところでしょう」
「そう……ですか……」
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