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第13章~獣化の秘密~
第123話
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「とにかく、まだあなた方には協力してもらいたいことがあるのです。いずれ弟の方も呼び寄せるつもりでしたし、ちょうどいい。……逆らったらどうなるか、わかっていますね?」
と、グロアが隠し持っていた針のようなものをチラつかせる。
「ここに入っているのはただの誘発剤ではありません。獣化の進行がゼロの戦士でも、問答無用で獣化させられる特殊な薬です。直接注入してもいいですが、霧状に散布するだけでも十分な効果が得られます。ちなみに、私には効果がありませんので悪しからず」
ニヤリと口角を上げるグロア。
そんなとんでもない薬まで持参してくるところからして、彼女も本気なのだと窺い知れる。獣化している戦士はヴァルハラに帰れないから、自分の気が済むまで実験に付き合わせるつもりでいるのだろう。
「今度は脅しかい? やってることが下衆すぎて笑いも出てこないね」
兄も負けじとグロアを睨み返す。どちらも、自分の意志を曲げるつもりはないようだ。
兄は愛用の太刀に手をかけて斬りかかるタイミングを窺っているし、グロアの方も毒針を構えていつでも薬を散布できるような状態になっている。
「……もうやめてくれ」
いても立ってもいられず、アクセルは寝ていたベッドから下りた。腰が少し痛んだが、かまわずグロアを見据えた。
「……アクセル、お前はおとなしくしていなさい」
兄がやや焦ったように声をかけてくる。
だがアクセルは、きっぱり首を横に振った。
と、グロアが隠し持っていた針のようなものをチラつかせる。
「ここに入っているのはただの誘発剤ではありません。獣化の進行がゼロの戦士でも、問答無用で獣化させられる特殊な薬です。直接注入してもいいですが、霧状に散布するだけでも十分な効果が得られます。ちなみに、私には効果がありませんので悪しからず」
ニヤリと口角を上げるグロア。
そんなとんでもない薬まで持参してくるところからして、彼女も本気なのだと窺い知れる。獣化している戦士はヴァルハラに帰れないから、自分の気が済むまで実験に付き合わせるつもりでいるのだろう。
「今度は脅しかい? やってることが下衆すぎて笑いも出てこないね」
兄も負けじとグロアを睨み返す。どちらも、自分の意志を曲げるつもりはないようだ。
兄は愛用の太刀に手をかけて斬りかかるタイミングを窺っているし、グロアの方も毒針を構えていつでも薬を散布できるような状態になっている。
「……もうやめてくれ」
いても立ってもいられず、アクセルは寝ていたベッドから下りた。腰が少し痛んだが、かまわずグロアを見据えた。
「……アクセル、お前はおとなしくしていなさい」
兄がやや焦ったように声をかけてくる。
だがアクセルは、きっぱり首を横に振った。
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