転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第14章~新しいバトル~

第91話

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 ――でも、さすがにあの動きは真似できないんだが……。

 自分の弓の腕が致命的だと知ったら、ユーベルはどうするだろう。ボウガンでもいいから同じようにやれというだろうか。それとも諦めて、裏方に徹しろというだろうか。

 一戦目から負けるのは縁起が悪いから、あまり足は引っ張りたくないのだけれど……。

「っ!」

 その時、いきなりこちらに矢が飛んで来て、アクセルはほぼ反射的に身体を捻った。

 標準的な矢がこちらの耳元を通過し、後ろの木に突き刺さる。そのまま突っ立っていたら眉間に直撃して即死していただろう。

「おや、弟くんでしたか。わたくしを狙う暗殺者かと思いました」

 殺意剥き出しだったユーベルが、こちらを見て動きを止める。

 いきなり撃ってくるなよ……と小言を言いたくなったが、貴族サマに下手に反論するのはよろしくない。

 アクセルは顔を引き攣らせて、何とか答えた。

「すみません……。声をかけようと思ったんですが、つい動きに見入ってしまって」
「そうですか。あなたもようやく、わたくしの優美さを理解してきたみたいですね」

 優美さはともかく、動きが洗練されていたのは間違いない。

「来月のランクマッチでは同じチームに所属することになりました。足を引っ張らないように頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。……あ、これ手土産です」

 と、持参した酒をユーベルに渡す。自分では買った覚えがないので、兄の嗜好品かもしれないが……まあ、後で同じものを買い直せば済むことだろう。
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