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第16章~里帰り~
第50話
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「兄上!」
家から飛び出したアクセルは、目の前の光景を見て驚いた。
森の入口からぬっ……と現れたのは、全長三メートルはありそうな巨大な熊だった。足腰も強靭で、腕も丸太のように太い。
そんな獣と、兄が真正面から対峙していた。先程のドーンという音は、兄がアーダンを咄嗟に投げ飛ばした音だったようだ。
「兄上、大丈夫か? 俺も一緒に……」
急いで駆け寄ろうとしたところ、兄はこちらを振り向くことなく手だけで制してきた。
「いや、大丈夫。お前は家族を守ってあげなさい。万が一のことがないようにね」
「あ……ああ、わかった」
言われた通り、投げ飛ばされたアーダンを家の中に押し込み、素早く扉を閉めて扉の前に仁王立ちになる。
念のため、いつ襲われてもいいように抜刀だけはしておいた。
「うーん……餌がなくなって出てきたようには見えないね。とっても立派な体格をしているし」
兄は全く慌てることなく、冷静にその熊を観察していた。
「子育て中で気が立ってるわけでもなさそうだ。きみ、オスだもんね? ここから先は人間の領域だよ。迷っちゃったなら見逃してあげるから、狩られたくなければ森にお帰り」
問答無用で斬ることなく、まずは説得を試みている兄。
熊に気持ちが通じるかはわからないが、うっかり出てきてしまっただけなら、ここで殺すのは忍びない。
家から飛び出したアクセルは、目の前の光景を見て驚いた。
森の入口からぬっ……と現れたのは、全長三メートルはありそうな巨大な熊だった。足腰も強靭で、腕も丸太のように太い。
そんな獣と、兄が真正面から対峙していた。先程のドーンという音は、兄がアーダンを咄嗟に投げ飛ばした音だったようだ。
「兄上、大丈夫か? 俺も一緒に……」
急いで駆け寄ろうとしたところ、兄はこちらを振り向くことなく手だけで制してきた。
「いや、大丈夫。お前は家族を守ってあげなさい。万が一のことがないようにね」
「あ……ああ、わかった」
言われた通り、投げ飛ばされたアーダンを家の中に押し込み、素早く扉を閉めて扉の前に仁王立ちになる。
念のため、いつ襲われてもいいように抜刀だけはしておいた。
「うーん……餌がなくなって出てきたようには見えないね。とっても立派な体格をしているし」
兄は全く慌てることなく、冷静にその熊を観察していた。
「子育て中で気が立ってるわけでもなさそうだ。きみ、オスだもんね? ここから先は人間の領域だよ。迷っちゃったなら見逃してあげるから、狩られたくなければ森にお帰り」
問答無用で斬ることなく、まずは説得を試みている兄。
熊に気持ちが通じるかはわからないが、うっかり出てきてしまっただけなら、ここで殺すのは忍びない。
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