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第30章~奇妙な敵~
第9話
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「あの……バルドル様、メリナって変な置き手紙をすることあるんですか?」
「あるよ。ただ、メリナの手紙は時間が経つと消えるようになっているから、後で見返そうと思ってもできないんだ。これも彼女の幻術か何かなのかもね」
「そうなんですか……。じゃあ、誰かのフリをして手紙を出すことも……?」
「誰かのフリ……? それは聞いたことないけど、どういうこと?」
「いや、実は……」
アクセルはここに来た理由を説明した。
朝起きたらテーブルに置き手紙があって、まるで兄が書いたように見えた。それでメモの通りに山に行ったら、いつもと様子が違ったので慌てて引き返したこと……云々。
すると、今度はホズが小さく舌打ちをしてきた。
「……あの小娘、透ノ国でそんな知恵まで身につけやがったのか。他人になりすますなど、以前のアイツでは考えられないことだったが」
「そうなんですか……?」
「アイツは見た目も中身も子供だと言っただろう? だから以前はたいした知恵もなかったんだ。何か仕掛けようとしても、すぐに見破られてしまうのがほとんどだった。誰かのフリをして手紙を書くなど、考えられなかった」
「そんな……」
「それが、お前を騙すほどの策を身につけていたんだろう? それもこれも、巫女が余計なことを吹き込んだせいだ。まったく……予言の巫女め、消滅してからも迷惑ばかりかけおって」
それは全面的に同意である。
元々巫女は生前もロクなことをしていなかったけれど、ラグナロク後も悪影響が残っているのは迷惑千万だ。
「あるよ。ただ、メリナの手紙は時間が経つと消えるようになっているから、後で見返そうと思ってもできないんだ。これも彼女の幻術か何かなのかもね」
「そうなんですか……。じゃあ、誰かのフリをして手紙を出すことも……?」
「誰かのフリ……? それは聞いたことないけど、どういうこと?」
「いや、実は……」
アクセルはここに来た理由を説明した。
朝起きたらテーブルに置き手紙があって、まるで兄が書いたように見えた。それでメモの通りに山に行ったら、いつもと様子が違ったので慌てて引き返したこと……云々。
すると、今度はホズが小さく舌打ちをしてきた。
「……あの小娘、透ノ国でそんな知恵まで身につけやがったのか。他人になりすますなど、以前のアイツでは考えられないことだったが」
「そうなんですか……?」
「アイツは見た目も中身も子供だと言っただろう? だから以前はたいした知恵もなかったんだ。何か仕掛けようとしても、すぐに見破られてしまうのがほとんどだった。誰かのフリをして手紙を書くなど、考えられなかった」
「そんな……」
「それが、お前を騙すほどの策を身につけていたんだろう? それもこれも、巫女が余計なことを吹き込んだせいだ。まったく……予言の巫女め、消滅してからも迷惑ばかりかけおって」
それは全面的に同意である。
元々巫女は生前もロクなことをしていなかったけれど、ラグナロク後も悪影響が残っているのは迷惑千万だ。
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