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第32章~事の真相~
第97話
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――あ、兄上、助けて……!
心の中で悲鳴を上げた瞬間、丸太がどこかへ吹っ飛ばされガッと服を掴まれて水面に引き上げられる。
思った通り兄が手を貸してくれていて、アクセルは咳き込みながら兄にしがみついた。
「げほっ、げほっ……! はぁ……はぁ……!」
「大丈夫かい? 無理するからだよ」
「す、すまな……ごほっ! げほっ……はぁ……」
「まったく、本当に手の掛かる子なんだから……。お前はもう休んでいなさい。修行場で死んだら本末転倒だからね」
「は、はひ……ごほっ」
よろよろと水から上がり、ガタガタ震えながら着ていた服を脱ぐ。
下着一枚になったところでバルドルが大判のバスタオルを広げ、こちらの身体を覆ってくれた。
「ほら、早く身体拭いて。風邪ひく前に」
「す、すみませ……バルドル様、ご迷惑をおかけして……」
「いや、いいよ。私もいろいろ世話になったから、これくらいはね」
バルドルはもう一枚フェイスタオルを取り出し、冷たく濡れた髪をわしゃわしゃと拭いてくれた。凍えた身体に、タオルの暖かさが沁みる。
次にバルドルはアクセルの服を綺麗な岩場に広げて、言った。
「ちょっと待ってね。今服を綺麗にするから」
「え? そんな魔法もあるんですか?」
「うん、生活に必要な基本的な魔法さ。今の私でも使えるはずだよ」
「へえ……」
「だからパンツも脱いじゃってくれない? 濡れたのを穿きっぱなしじゃ気持ち悪いでしょ?」
「えっ? ええ、まあ……」
「ほら、早く。一緒に魔法かけちゃうから」
「は、はい……」
ちょっと躊躇いながらも、アクセルはバスタオルの中で下着も脱いだ。兄以外の前で全裸になるのは初めてだったので、少しドキドキした。
心の中で悲鳴を上げた瞬間、丸太がどこかへ吹っ飛ばされガッと服を掴まれて水面に引き上げられる。
思った通り兄が手を貸してくれていて、アクセルは咳き込みながら兄にしがみついた。
「げほっ、げほっ……! はぁ……はぁ……!」
「大丈夫かい? 無理するからだよ」
「す、すまな……ごほっ! げほっ……はぁ……」
「まったく、本当に手の掛かる子なんだから……。お前はもう休んでいなさい。修行場で死んだら本末転倒だからね」
「は、はひ……ごほっ」
よろよろと水から上がり、ガタガタ震えながら着ていた服を脱ぐ。
下着一枚になったところでバルドルが大判のバスタオルを広げ、こちらの身体を覆ってくれた。
「ほら、早く身体拭いて。風邪ひく前に」
「す、すみませ……バルドル様、ご迷惑をおかけして……」
「いや、いいよ。私もいろいろ世話になったから、これくらいはね」
バルドルはもう一枚フェイスタオルを取り出し、冷たく濡れた髪をわしゃわしゃと拭いてくれた。凍えた身体に、タオルの暖かさが沁みる。
次にバルドルはアクセルの服を綺麗な岩場に広げて、言った。
「ちょっと待ってね。今服を綺麗にするから」
「え? そんな魔法もあるんですか?」
「うん、生活に必要な基本的な魔法さ。今の私でも使えるはずだよ」
「へえ……」
「だからパンツも脱いじゃってくれない? 濡れたのを穿きっぱなしじゃ気持ち悪いでしょ?」
「えっ? ええ、まあ……」
「ほら、早く。一緒に魔法かけちゃうから」
「は、はい……」
ちょっと躊躇いながらも、アクセルはバスタオルの中で下着も脱いだ。兄以外の前で全裸になるのは初めてだったので、少しドキドキした。
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えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?)
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
5/25
お久しぶりです。
書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。
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