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第四章 11
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夜の公園。
シイカの繭から記憶が流れ込み、クツナ自身の記憶がよみがえったのは、ほぼ一瞬だっ
た。
その一瞬で、クツナは背中に汗をかいていた。
「……誰からだ。いや、一人しかいないな」
シイカは震えていた。既に正気に戻っている。
「僕たちの記憶を少しずつより合わせて繭を作ったんだな。動画編集かよ。妙な方向に腕を上げたもんだな」
「あ、の……クツナさん、私……」
「すまなかった。僕がうかつだった。傍には、いないな? ――アルトは」
「いないと……思います。私、……一体……。さっき、自分で家に連絡したんです。今夜は友達のところに泊まるから、帰らないけど心配しないでって。そんなこと、あるわけないのに」
「おおごとにしないように、アルトがそうさせたんだな。いや、友人宅に外泊くらい、あるわけないってことはないと思うが」
「あるわけないですよ、そんな、恐ろしい」
「恐ろしいのか……。宿の手配くらいしてやりたいが、どうするかな。さすがに男二人の家に泊めるってわけにはいかないからな」
「そ、それに、私、クツゲンさんに、すごく変なことを言ってしまいまして」
「変な?」
「と、取り消しておいてくれませんか。私、なぜかクツナさんを探していて、そのせいでクツナさんの家に行ってしまったんですけど、その時に」
「……何を言ったのかは大体分かった。君の、僕への執着心を極端に高ぶらせたんだな。
それで君が僕と接触すれば、今の記憶を――わざわざ――見せてやることができると。同時に、父が僕ら三人のことをどう認識しているのか、探りも入れたんだ。どういうつもりだ、宣戦布告か? ずっと雲隠れしてたくせに、ようやく動き出すと? いいぜ、願ったりだ。いつかは向かい合わなきゃならないんだからな。……鳴島、今君が僕に見せた記憶の繭、内容は今も覚えてるか?」
シイカは、思いつめた表情で顔を上げた。
「映像的には、ぼんやりとして……細かいところは、あまり。でも、内容というか、出来事は……覚えてます」
「そうだよな。僕も同じ映像を見たことになるが、自分でも自分の顔が判然としないくらい画粗かった。まあ、記憶なんてそんなもんだ」
クツナが小さく息をつく。
「クツナさん、昼間の季岬さんですけど」
「そう、彼女がキリ本人だ。無事復調はしたが、僕らのことはきれいさっぱり忘れていた……僕がそうしたわけだがな」
「クツナさんのことを、思い出すことは……」
「できなかった、当たり前だけどな。繭使いのことも、全く覚えてはいない。性格もずいぶん変わった。一度繭をめちゃくちゃにされたせいか、ひどく臆病になった。最初は、僕の顔を見ただけで、知らない人が来たからと逃げようとしたくらいだ。性格ってのは後天的に作られる部分も大きいんだろうな。あの、笑って厄介ごとに首を突っ込むトラブルメーカーはもうどこにもいない」
シイカの脳裏に、クツナとアルトの記憶の中にいた、元気よく笑うキリの顔が浮かぶ。
あの人が、もういない。
「ただ、そう悲劇的なことばかりでもなかった。記憶を失った不安な生活の中で、キリは勉強に打ち込むようになった。特に理数系は、正しく求めれば必ず答を得られるってところが、かなり当時のあいつは気に入ったらしい。好きなことに熱中した時の集中力は先天的なものだったのかもな。あっという間に成績が上がったが、その頃には母親と一緒に引っ越していった。親にすれば、娘を変質させた土地から離れたかったんだろう。親子仲がうまくいっていたとは言えなくても、まったく愛されてなかったなんてことは、なかったみたいだな。キリは大学には行かなかったが、その学力と貪欲さに目を止めた大学教授と出会い、互いに惹かれ合って、十九の時に結婚した。今は京都に住んでる」
「今でも、お友達なんですね」
「紆余曲折はあったがな。僕のことをほとんど忘れているもんだから、苦労してどうにか昔からの知り合いだということを信じてもらえて、まあ、その辺は大して面白い話でもないよ。その後も連絡は取り合えたし、それなりに信頼関係も築けた。お陰様で年に何回かは顔を合わせるが、たいていは向こうがこの近くに出張してきた時だな。用もないのに、家族を置いてはるばる会いに来るような関係じゃない」
クツナが困ったように笑うのを見て、シイカは、「紆余曲折」の中身を想像した。しかし、恐らくは実際にあったことの十分の一も悟れていないに違いない、と思った。
机上の空論だと一笑にふす人も多いという異性間の友情を、クツナに信じさせてくれた、たった一人の存在。それが別人のようになってしまったことの苦悩は、どれほどのものだったのだろうと思うと、シイカは胸を締めつけられるようだった。
「アルトさん……は、その後は」
「あいつはあれから家には帰っていないし、僕も会っていない。どこで何をして生きているのかも知らない。ただ、時折気配を感じることはあったんだ。君のことは、巻き込む形になったな。済まない。この間の車椅子の親父さんのところがアルトの生家――真乃家だ」
「私、巻き込まれたなんて思ってません」
反駁は、思いのほか強い調子になり、シイカは自分で驚いた。
「でも、私、変な感じなんです。アルトさんには何度も会ってるような、でも、今日会ったのが初めてのような……」
「君の行動まで操れるとなると、恐らく、アルトはもう何度も君に接触して、君の繭を扱い慣れている。君の中からあいつの記憶を消すことまで含めてだ。今、アルトのことを頭に思い浮かべることができるなら、消すというよりは隠しておいた記憶が表出しているんだろう。消去するよりは多少施術が楽に済む」
「顔とか声は何となく……。でも、何をされたとか、何の話をしたとかは、全然思い出せないです」
「君はさっき、『思い出した』と言ったが。何を『思い出した』のか、今、説明できるか」
「いえ、全然……そう言った覚えも、なくて」
「それなら、その辺の記憶は消してしまっていると思われる。君の繭は、プライベートに触れないようにあまりよく見ないようにしていたんだが、裏目に出たな。これも済まなかった。正直、今あまり君を一人にしたくない」
「私、これ以上何かされたりするんでしょうか……」
今のところ、シイカには実害といえるほどの害はない。しかし、これからもそうであるとは限らない。自分の意志に関係なく行動を操られてしまうというのは、相当に恐ろしい。今になって、シイカは寒気がした。
「あいつの目的が何なのか、それによる。まさか今さら、僕とお友達同士仲良くやりましょう、じゃあるまい。催眠術なんかと同じで、君が心から忌避する行動を取らせることは
さすがに困難だと思うが」
「心から忌避……というと」
「たとえば、自傷行為とか、他者への加害とかな。それでも、危ない目に合わせる方法はいくらでもある。君の繭には僕が防衛機構を施しておく。妙な操作は受け付けないし、君の繭に誰かが接触すれば僕にそれが分かるよう、センサーのような機能も付加しておく」
クツナは自分の繭の一部を丁寧に切り外すと、こよりのようによじった。苗を植えるように、それをシイカのこめかみの辺りの繭に差し込む。
「私が襲われたら、どうなるんですか?」
「僕の繭に反応が来る。そして、僕が全族力で駆けつける。繭の防御はそれくらいの間は持つさ。しばらくは、あまり遠くや人気のないところへ出歩かないでくれ」
「反応があった時、クツナさんが塾や繭使いのお仕事中だったら……」
「たいがい放り出すに決まってるだろ、そんなの」
クツナは呆れて嘆息した。
「あの、無理しないでくださいね」
シイカがそう言うと、クツナはぴたりとため息を止めた。ぐりんとシイカの方を向き、鋭くにらむ。
「そんなことは言うな。君の安全がかかってるんだぞ」
「でも私、……怖いことは怖いんですけど。でも、震え上がるような感じじゃないんです」
「現実感がないか?」
シイカは、自分の足元に目を落とした。公園の街灯の光からは少し外れているため、ほとんど真っ黒な地面がそこにある。
「それもあるんですけど、あまり、自分を大事に思えないからかもしれません。危ない目にあっても、人間社会で暮らしていればそんなこともあるかな、と思ってしまうと言うか。私、以前、電車の中で痴漢に遭ったことがあるんですけど」
クツナの目が、更に鋭くなった。
「ほお。死刑だなそいつは」
「ど、どうも。すぐに周りの人に助けてもらえはしたんですけど、その時も思っちゃったんです。こういうことも、仕方ないのかなって。他の人がされていると、許せないことですし、怒りもするんです。でも……」
「自分のこととなると、理不尽も受け入れてしまいがちだ、と」
シイカは弱弱しくうなずいた。自分が、ひどく情けないことを言っているのは分かる。
しかし、ずっと心のどこかに抱えてきた本音だった。今ここで、クツナに聞いてほしかった。
夜の公園。
シイカの繭から記憶が流れ込み、クツナ自身の記憶がよみがえったのは、ほぼ一瞬だっ
た。
その一瞬で、クツナは背中に汗をかいていた。
「……誰からだ。いや、一人しかいないな」
シイカは震えていた。既に正気に戻っている。
「僕たちの記憶を少しずつより合わせて繭を作ったんだな。動画編集かよ。妙な方向に腕を上げたもんだな」
「あ、の……クツナさん、私……」
「すまなかった。僕がうかつだった。傍には、いないな? ――アルトは」
「いないと……思います。私、……一体……。さっき、自分で家に連絡したんです。今夜は友達のところに泊まるから、帰らないけど心配しないでって。そんなこと、あるわけないのに」
「おおごとにしないように、アルトがそうさせたんだな。いや、友人宅に外泊くらい、あるわけないってことはないと思うが」
「あるわけないですよ、そんな、恐ろしい」
「恐ろしいのか……。宿の手配くらいしてやりたいが、どうするかな。さすがに男二人の家に泊めるってわけにはいかないからな」
「そ、それに、私、クツゲンさんに、すごく変なことを言ってしまいまして」
「変な?」
「と、取り消しておいてくれませんか。私、なぜかクツナさんを探していて、そのせいでクツナさんの家に行ってしまったんですけど、その時に」
「……何を言ったのかは大体分かった。君の、僕への執着心を極端に高ぶらせたんだな。
それで君が僕と接触すれば、今の記憶を――わざわざ――見せてやることができると。同時に、父が僕ら三人のことをどう認識しているのか、探りも入れたんだ。どういうつもりだ、宣戦布告か? ずっと雲隠れしてたくせに、ようやく動き出すと? いいぜ、願ったりだ。いつかは向かい合わなきゃならないんだからな。……鳴島、今君が僕に見せた記憶の繭、内容は今も覚えてるか?」
シイカは、思いつめた表情で顔を上げた。
「映像的には、ぼんやりとして……細かいところは、あまり。でも、内容というか、出来事は……覚えてます」
「そうだよな。僕も同じ映像を見たことになるが、自分でも自分の顔が判然としないくらい画粗かった。まあ、記憶なんてそんなもんだ」
クツナが小さく息をつく。
「クツナさん、昼間の季岬さんですけど」
「そう、彼女がキリ本人だ。無事復調はしたが、僕らのことはきれいさっぱり忘れていた……僕がそうしたわけだがな」
「クツナさんのことを、思い出すことは……」
「できなかった、当たり前だけどな。繭使いのことも、全く覚えてはいない。性格もずいぶん変わった。一度繭をめちゃくちゃにされたせいか、ひどく臆病になった。最初は、僕の顔を見ただけで、知らない人が来たからと逃げようとしたくらいだ。性格ってのは後天的に作られる部分も大きいんだろうな。あの、笑って厄介ごとに首を突っ込むトラブルメーカーはもうどこにもいない」
シイカの脳裏に、クツナとアルトの記憶の中にいた、元気よく笑うキリの顔が浮かぶ。
あの人が、もういない。
「ただ、そう悲劇的なことばかりでもなかった。記憶を失った不安な生活の中で、キリは勉強に打ち込むようになった。特に理数系は、正しく求めれば必ず答を得られるってところが、かなり当時のあいつは気に入ったらしい。好きなことに熱中した時の集中力は先天的なものだったのかもな。あっという間に成績が上がったが、その頃には母親と一緒に引っ越していった。親にすれば、娘を変質させた土地から離れたかったんだろう。親子仲がうまくいっていたとは言えなくても、まったく愛されてなかったなんてことは、なかったみたいだな。キリは大学には行かなかったが、その学力と貪欲さに目を止めた大学教授と出会い、互いに惹かれ合って、十九の時に結婚した。今は京都に住んでる」
「今でも、お友達なんですね」
「紆余曲折はあったがな。僕のことをほとんど忘れているもんだから、苦労してどうにか昔からの知り合いだということを信じてもらえて、まあ、その辺は大して面白い話でもないよ。その後も連絡は取り合えたし、それなりに信頼関係も築けた。お陰様で年に何回かは顔を合わせるが、たいていは向こうがこの近くに出張してきた時だな。用もないのに、家族を置いてはるばる会いに来るような関係じゃない」
クツナが困ったように笑うのを見て、シイカは、「紆余曲折」の中身を想像した。しかし、恐らくは実際にあったことの十分の一も悟れていないに違いない、と思った。
机上の空論だと一笑にふす人も多いという異性間の友情を、クツナに信じさせてくれた、たった一人の存在。それが別人のようになってしまったことの苦悩は、どれほどのものだったのだろうと思うと、シイカは胸を締めつけられるようだった。
「アルトさん……は、その後は」
「あいつはあれから家には帰っていないし、僕も会っていない。どこで何をして生きているのかも知らない。ただ、時折気配を感じることはあったんだ。君のことは、巻き込む形になったな。済まない。この間の車椅子の親父さんのところがアルトの生家――真乃家だ」
「私、巻き込まれたなんて思ってません」
反駁は、思いのほか強い調子になり、シイカは自分で驚いた。
「でも、私、変な感じなんです。アルトさんには何度も会ってるような、でも、今日会ったのが初めてのような……」
「君の行動まで操れるとなると、恐らく、アルトはもう何度も君に接触して、君の繭を扱い慣れている。君の中からあいつの記憶を消すことまで含めてだ。今、アルトのことを頭に思い浮かべることができるなら、消すというよりは隠しておいた記憶が表出しているんだろう。消去するよりは多少施術が楽に済む」
「顔とか声は何となく……。でも、何をされたとか、何の話をしたとかは、全然思い出せないです」
「君はさっき、『思い出した』と言ったが。何を『思い出した』のか、今、説明できるか」
「いえ、全然……そう言った覚えも、なくて」
「それなら、その辺の記憶は消してしまっていると思われる。君の繭は、プライベートに触れないようにあまりよく見ないようにしていたんだが、裏目に出たな。これも済まなかった。正直、今あまり君を一人にしたくない」
「私、これ以上何かされたりするんでしょうか……」
今のところ、シイカには実害といえるほどの害はない。しかし、これからもそうであるとは限らない。自分の意志に関係なく行動を操られてしまうというのは、相当に恐ろしい。今になって、シイカは寒気がした。
「あいつの目的が何なのか、それによる。まさか今さら、僕とお友達同士仲良くやりましょう、じゃあるまい。催眠術なんかと同じで、君が心から忌避する行動を取らせることは
さすがに困難だと思うが」
「心から忌避……というと」
「たとえば、自傷行為とか、他者への加害とかな。それでも、危ない目に合わせる方法はいくらでもある。君の繭には僕が防衛機構を施しておく。妙な操作は受け付けないし、君の繭に誰かが接触すれば僕にそれが分かるよう、センサーのような機能も付加しておく」
クツナは自分の繭の一部を丁寧に切り外すと、こよりのようによじった。苗を植えるように、それをシイカのこめかみの辺りの繭に差し込む。
「私が襲われたら、どうなるんですか?」
「僕の繭に反応が来る。そして、僕が全族力で駆けつける。繭の防御はそれくらいの間は持つさ。しばらくは、あまり遠くや人気のないところへ出歩かないでくれ」
「反応があった時、クツナさんが塾や繭使いのお仕事中だったら……」
「たいがい放り出すに決まってるだろ、そんなの」
クツナは呆れて嘆息した。
「あの、無理しないでくださいね」
シイカがそう言うと、クツナはぴたりとため息を止めた。ぐりんとシイカの方を向き、鋭くにらむ。
「そんなことは言うな。君の安全がかかってるんだぞ」
「でも私、……怖いことは怖いんですけど。でも、震え上がるような感じじゃないんです」
「現実感がないか?」
シイカは、自分の足元に目を落とした。公園の街灯の光からは少し外れているため、ほとんど真っ黒な地面がそこにある。
「それもあるんですけど、あまり、自分を大事に思えないからかもしれません。危ない目にあっても、人間社会で暮らしていればそんなこともあるかな、と思ってしまうと言うか。私、以前、電車の中で痴漢に遭ったことがあるんですけど」
クツナの目が、更に鋭くなった。
「ほお。死刑だなそいつは」
「ど、どうも。すぐに周りの人に助けてもらえはしたんですけど、その時も思っちゃったんです。こういうことも、仕方ないのかなって。他の人がされていると、許せないことですし、怒りもするんです。でも……」
「自分のこととなると、理不尽も受け入れてしまいがちだ、と」
シイカは弱弱しくうなずいた。自分が、ひどく情けないことを言っているのは分かる。
しかし、ずっと心のどこかに抱えてきた本音だった。今ここで、クツナに聞いてほしかった。
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