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大学二年生の春。
電車の窓の外では、新緑の時期を迎えてどんどん伸びていこうとする木々が、太陽の光を受けてまぶしく輝いていた。
「ううっ……世界のまぶしさが、憎いっ……」
ここのところ毎年、四月っていうのは、私にとってちょっと憂鬱な月だった。
理由は単純で、私が、新しく変わる環境に順応するのがけっこう苦手だからだ。
でも、大学というところは高校までと違って、一年かけてそこそこ仲良くなった人たちが、ガラッと一新された状況へばらばらに投げ出されるような感覚はあまり強くない。クラスメイトとの交流が、高校までのそれほど強固じゃないので、別れと新生活っていう感じがあまりしないためかもしれない。
……単に、私が、一年の時に友達をろくに作れなかったせいもあるけど。
小さいころからオタク気質だったためか、そもそも生まれつきの性格なのか、友達を作るのは昔から下手だった。
だから、中学三年の時に初めて同人イベントに行って同好の士と出会ったときは、ものすごく楽しかったのを覚えてる。はしゃいで、騒いで、
「あなた、見た目は地味なのに、性格はかなりにぎやかなんだね」
と過去に言われたことのない評価までされてしまった。
そのおかげでちょっとは社交性がついたのか、高校のときは、それなりに友達を作ることができた。
大学に進学できたのはよかったけど、一から人間関係を作り直すのか……と思うと、気が滅入ったのも確か。
せっかく希望の大学に入ったんだからと、勉強とアルバイトと同人活動に打ち込んでいたら、学校ではほとんど交友関係が広がらないまま一年が経ってしまった。
すっかりわたしのトレードマークになった黒縁眼鏡と長い黒髪が、
「若干のガードを感じる。近寄りがたいっていうか」
と同級生に言われたのは、二年ほど前。
コンタクトにしたり、髪の色を明るくしてみようかなとは思うものの、特にきっかけもないのでそのままで今日まで来た。
正直言って、同人関係の活動は今、私的にはかなり充実している。高校の時に自分でもマンガを描いてみるようになってから、ありがたいことに、イベントに出展するたびに私の同人誌の頒布数は増え続けていた。
美容院に行ったり新しい生活習慣を取り入れる時間があれば、マンガを描いていたい。そうでないなら、新しいマンガや過去の名作を読みふけって、インプットにいそしみたい。
今年はどんな新しい作品に出合えるだろう、と思うと、人前でも「えへへ……」と顔がにやけそうになって、慌てて引き締めるのも日常茶飯事だった。
こんな風だから大学生活が充実しないのかも……とは思ったけど、必要な単位はとっているし授業は学びがいのあるものが多いので、それなりに上手くいっているとは思う。
「次は、上野ー」
電車のアナウンスに、慌ててドアのほうによる。
停車してドアが開くと、人並みにまぎれて、私もホームに出た。
乗り換えのために別のホームに向かい、ちょうど到着した電車に乗り込む。
ここまでくれば、あとは家まで一本だ。
できれば今日は、帰る前に、近所のアーケード街にある画材屋さんに寄りたい。私のマンガはデジタルで作画しているけど、アナログのほうがしっくりくる作業が多いし、なによりアナログ画材というのは触っていて独特の楽しさがあるので、当分は画材屋さんに通うことになりそうだった。
ちょっとにやけつつそんなことを考えていたら、電車が発車して、しばらく後。
つり革をつかんで立っていた私の脇腹のあたりに、妙な感触がした。
電車の中は、ぎゅうぎゅう詰めとまではいかないものの、隣の人と触れ合わざるを得ない程度には混んでいる。
だからちょっとくらいの接触は仕方ないんだけど、その感触は、徐々に下のほうへ降りていった。
これは。
まさか。
ううん、そんなわけがない。
そう言い聞かせても、背中には悪寒が走り、冷や汗が浮いてくる。
この日は、白いトップスにグレーのカーディガンと、ひざ下丈のダークグリーンのスカートを穿いていた。
そのスカートのアウトラインをなぞるように、感触は下に向かい、後ろに回っていく。
なにかの間違いであってほしい。でも、そうはいかないかもしれない。
どうしたらいいんだろう。でも、こんなに大胆にやってくるからには、常習犯かもしれない。そうだとしたら、私以外の人もこんな目に遭ってるんだ。すごく気持ち悪いし、怖いけど、私に、今、なにかできることってないだろうか。
私は、男の人が少し苦手だった。これがもし男性の痴漢だったらと思うと、背中に冷や汗が浮かんでくる。
感触は、私の右側からきているみたいだった。私が右手でつり革をつかんでいるので、隙があると思ったのかも。
とりあえず、そろそろと右を見た。
私の少し斜め後ろに、高校生らしい制服姿の男子がいる。
向こうも私の視線に気がついて、顔を上げた。
目が合って、どきったした。
しばらく、そのまま。
……えっ、この子?
彼は、右手でスマートフォンを持っていた。左手は降ろされてて、どうなってるか見えない。……でも、彼の背丈からして、そこから左手が延ばされているとすると、ちょうど私の腰のあたりにきそうな気がする。
でも、痴漢って、それもこのくらいの年頃の子が犯人だったとしたら、被害者と目が合っても平然と見返してくるんだろうか。
そんなことを考えていたら、感触はさらに進んできた。もう、スカートの腰の部分を通過してしまっている。
どうにかしたい。今すぐ。でも、どうしたら。声を上げればいい? でも、いきなり乱暴されたりしたらどうしよう。
涙がにじんでくるのを感じた時、男の子が、私にすっとスマートフォンの画面を向けた。
そこに書いてある文字を読む。
「なにかありましたか?」
私は、小さく、こくこくとうなずいた。
男の子が、画面を下にスクロールさせる。
「痴漢ですか? 助けてもいいですか?」
うなずいた。
男の子もうなずく。そして、視線を私の下方に向けて、一気に険しい顔つきになった。
「おい」
男の子が、低い声を出した。
腰の下の感触が、びくりと震えた。
そして、すっと引かれる。
「引っ込めてももう遅いよ」
「な、なんだ――おい、離せ」と別の男性の声。
「離さないね。次の駅で降りようか。すみません、お姉さん」
「え、は、はい? ……あ、あの、ありがとう、ございます」
なぜか私に謝られたので、反射的にお礼を言う。
周りでは、「え、痴漢?」「マジで? あいつ?」というざわめきがする。私の左にいた年かさの男性が、小さな声で
「気づかなかった……申し訳ない」
と頭を下げた。
「い、いえ、大丈夫ですから」
私は、改めて右後ろの男の子を見た。
ほんのわずかに茶色の入った長めの髪が、ややつり気味の目に少しかかっている。首も顔も細くて、背は高いのに、弱弱しい感じはしなくて、むしろ引き締まったしなやかさを感じた。少し険しい顔をして立っているだけなのに、まるで、雑誌のモデルが決め顔をしているかのような、視線が吸い込まれるような感覚に陥ってしまう。
……さっきは、痴漢かもしれないと思っていたから気づかなかったけど、この子、かなり格好いいのでは。こんなに整った顔立ちの男の子は、今まで周りでは見たことがない。
彼の、あまり力を入れているふうには見えない左手は、腕一本つかんでいるだけで完全に痴漢の動きを奪っているみたいだった。
腕まくりした袖からのぞいたひじから下は、筋が少し浮いている。まだ四月だっていうのに寒くないのかな、なんて余計なことを考えてしまった。
五分ほどして、電車が駅に着いた。
「すみません、お姉さん。おれ一人じゃ、こいつのことうまく説明できないかもしれないんで、一緒に降りてもらえますか」
そういうことでの、さっきの「すみません」だったんだ、とようやく気づく。
「い、いえ! 助けてもらったのは、私ですから!」
そこでようやく、痴漢の顔をまじまじと見た。
痴漢っていうのはおじさんがやるイメージがあったけど、目の前の人は少しやせた三十歳くらいの男性で、どこにでもいそうな、普通の見た目をしている。
「おい、いつまでつかんでんだよ。おれは痴漢なんかしてねえぞ。冤罪だ、冤罪」
「分かった分かった。ま、詳しくは駅員さんのとこで聞くよ」
そう言って、男の子は痴漢を引っ張っていく。
なにごとかと見とがめた駅員さんが、小走りできてくれた。
男の子は男性をぐいと突き出し、
「痴漢です。あそこのお姉さんの腰を触っていました」
「は、はい、本当です。その子が、私を助けてくれて」
駅員さんがもう一人きて、男の子に代わって男性を受け取った。
「おい、ふざけんな、冤罪だって言ってんだろ」
男性がすごんだ。でも、男の子がすぐに言い返す。
「そっちこそふざけるなよ。おれは見たし、現行犯でつかまえたろう」
私も、慌てて割って入る。駅員さんに向かって、
「ほ、本当です。私の腰のあたりから、その、下のほうにいくところで、つかまえてくれて」
すると、男性が私のほうに食ってかかった。
「いやだからよ、腰だろ? 尻とか胸じゃねえだろ? それで痴漢になんのかよ!?」
二人の駅員さんが、顔を見合わせてうなずいた。そして、
「それは痴漢ですよ。場所がどこだからいいとか、そういうことはありません」
と言ってくれる。
男の子も、
「なんで腰だったらいいと思うんだ? 分からないな」
と息をついた。
男性が目をむく。
「え、なに、なんでお前上から? 上から、上からあ!?」
「上とか下とかじゃないだろう? あんたが、やっちゃいけないことを――」
「うるせえ! おい女、お前謝れよ! 冤罪ですごめんなさいって! 女って、絶対謝らないよなあ! 他責思考で、クソばっかだってみんな言ってるわ!」
私がたじろぐと、男の子が私の前に立った。
「……この人は謝るようなことしてないだろう。あんた、女の人にこっぴどく振られでもしたわけ? あと、みんなって誰?」
男性は、息を荒らげて、肉食獣のような目で男の子をにらんだ。
でも、男の子は、たじろぐ様子もない。平然とした様子で、男性を見下ろして言う。
「あんたこそ、一言でいいから、この人に謝りなよ。言っておくけど、もし今後この人に逆恨みするようなら、おれがお前を追い込んで責任取らせるからね。ずいぶん威勢がいいみたいだけど、おれとやり合ってみる? たぶんおれ、あんたよりだいぶ強いよ」
男の子の視線が、すっと鋭くなった。それを見た男性が、がくりと肩の力を抜く。そして駅員さんに寄り添われて、ホームの向こうへ消えていった。
私は一応駅員さんに連絡先を渡して、男の子と一緒に、次にきた電車に乗った。
いろいろあって張りつめていた神経が、ようやく、緩んできた。
「ふう……」
「落ち着きましたか?」
「あ、えっ、はいっ。落ち着きました、ありがとうございますっ、本当に!」
「本当にすみませんでした、降りる駅まで送ります。……もし、嫌じゃなかったらなんですけど」
「え、そんな。……なんで、あなたが謝るんですか?」
「一応、おれもあいつと同じで、男なんで。……いたたまれないというか」
「そんな、違いますよ。全然違うじゃないですかっ」
私は、思わず両手をこぶしにして縦に振っていた。
男の子は、遠慮がちに笑った。目つきが鋭いので、さっきの怒った顔はなかなか迫力があるけど、こうしてみるとあどけなさがあって、心地いい笑顔だ。
「そう言ってもらえると、ありがたいです。駅、どこです?」
「柏です。もう、この電車一本です」
「本当ですか、おれもです。ちょうどよかった。おれ、緒田壮弥っていいます。高校二年です」
「あ、私、三木元三織です。大学二年生です」
二人して、ぺこりと頭を下げる。
そして、緒田くんは肩にかけていたバッグからルーズリーフとペンを取り出すと、揺れる車内で苦労しつつ、なにかをさらさらと書きつけた。
「これ、おれの電話番号と、使ってるメッセージアプリのIDです。今日のことでもしなにかあったら、連絡くれればいつでも協力しますから。証言でも、なんでも」
「……紙に書かなくても、今、スマホでやり取りすればいいのでは?」
「それじゃ、交換になるじゃないですか」
「だめなんですか?」
「……さっき会った男から、いきなり連絡先交換しようって言われるの、怖くないですか?」
ああ。
言われてみれば、助けてもらったのでそのあたり麻痺してたけど、少なくとも私は今までそんなことしたことない。
「もし、三木元さんが、おれに恩を感じてくれてそう言ってくれてるんなら、気を遣わないでください。ほら、おれ、けっこう背が高いでしょう? ただでさえ、ちょっと圧迫感あると思うんですよ。そんなやつに、『連絡先教えてよ』って言われたら、身構えるのが普通だし」
私の身長は百六十センチに少し届かないくらい。
彼はたぶん、百八十近い。
でも、そう言われるまで、圧迫感なんて感じなかった。それは、彼が、私との間にとっている距離感や、少しかがみ気味になって話してくれていたからだ。そんなことに、私はこのときになってようやく気づいた。
私は、バッグから、スマートフォンを取り出した。
「三木元さん?」
「私は、緒田くんが、怖くないです。ぜひ、連絡先を交換してください。緒田くんにも、今日のことでなにかあったら、私が協力したいので」
「……ありがとうございます」
そして私たちは、スマートフォンを向かい合わせて、無事連絡先を交換した。
「それにしても、私、痴漢なんてされたの初めてです。派手で露出度の高い人より、おとなしそうな人が狙われるって言いますよね。私が地味で、野暮ったいからでしょうか……眼鏡とか、髪とか」
「そんな。もし今の格好が気に入ってるなら、そんなことで変えることはありませんよ。……なんて、おれが無責任に言うことじゃないですよね、すみません」
「いえ、そんな。……緒田くんて、けっこう謝りますよね」
「え、そうですか?」
「緒田くんが謝るようなこと、なにもないのに。……さっきの、本当なのかな」
「さっきの?」
「女の人は謝らない、みたいなこと言われたじゃないですか」
「もう、三木元さんはあいつの言ったことなんて忘れてください。少なくとも今回の件は全部あいつが悪いのに、そう思ってなさそうだったし。他責志向とか言ってましたけどね、そう言うやつのほうがよほど他責志向ってことも多いんですから」
「ああ……。SNSとかで、あんまり好きな言葉じゃないですけど、他人に『キモい』って言う人ほど本人がキモい、みたいな……」
「なんですか、それ。でも、そうかも」
緒田くんが吹き出した。
やがて、電車が柏駅に到着する。
「じゃ、おれはこれで。お話できて、楽しかったです。……ああ、それと」
「はい?」
「もう一度念押ししておきますけど、女の人が悪い男に嫌な目にあわされるって、どう考えても女の人のせいじゃないですからね。その長い髪、とてもきれいです。あ、いえ、短いのも似合うかもですけど、少なくとも今もきれいだってことです。難しいな、こういうの」
緒田くんは額のあたりの汗をぬぐうようなしぐさをしてから、手を振って、人並みの向こうに消えていった。
私は、画材屋に行くこともすっかり忘れて、柏駅の東口を出て家に向かう。
ロータリーに集まっているタクシーを横目に、歩道をてくてくと歩いていった。
なんだか、いろんなことがあった帰路だったな。
知らず、顔の横に伸びた髪を手に取った。
いつもと大して変わらないコンディションのはずの髪が、今日はずいぶん艶めいて見えた。
■
キャンパスは東京だけど、私は千葉県の柏市というところで、親元の近くに住んでいる。
一人暮らしがしてみたいと言い張り、両親から許可は出たのだけど、あまり親元から離れないことが条件だった。
今の私のアパートから、実家までは歩いて十五分くらいで着く。子供のころから住み慣れた街なので、正直、一人暮らしを始めたときも新生活という感じはあまりしなかった。
緒田くんと出会ってから、一週間が経つ。メッセージアプリでは、最初の挨拶を入れた程度で、その後はお互い言葉を交わしていない。
学校やアルバイト先が同じわけじゃないし、たまたま出会った他人同士なんて、そんなものかもしれない。そう思いつつも、ちょっと寂しいものはあった。
「あれー、三織、なんか元気ないじゃん」
教室の窓側、端の席(私の指定席だ)で終礼を迎えた私に声をかけてきたのは、同じ学科で一年目から打ち解けた、岡崎あんなちゃんだった。
私と違って、明るくてほとんど金髪に近い髪は、緩やかに巻かれていて華やかだった。着ている服はいつもおしゃれで、なんという名前で呼ばれている形態なのか、私では分からないものも多かった。きらきらした大学生の見本のような子で、実はこっそり憧れていたりする。
「そんなことないよ。でも、今日はびっちり講義入ってたから、ちょっと疲れちゃったかな」
「おー。でもこれで今日は授業終わりでしょ?」
そうなのだ。今日はこの後帰ったら、夏にあるイベント合わせの新作マンガの構想を練りたい。プロのマンガ家になるつもりなんてまったくないけど、自分の描きたいものはできるだけ質と量を確保して創作したい。
私が描いているジャンルは一次創作といって、いわゆるオリジナル作品だ。同人誌には、二次創作といって既存の作品を下敷きにしたものもすごく多いけど、私は今のところ一次一本で描いている。
実は今日の休み時間に、ひとけのない教室で、主要登場人物のキャラクターデザインをコピー用紙に書きつけていた。これの清書をして、見た目からキャラを固めていきたい。
「うん、今日はバイトもないし、後は帰るだけ……」
そう言いながら、講義中は電源を切っていたスマートフォンを立ち上げたら、着信通知で振動した。
家族から電話でもあったのかと思って見てみると、アプリにメッセージが入っていた。
自慢じゃないけど、私のアプリに連絡をくれるのは、家族かあんなちゃん、あとはなんとなく登録した柏市の公式アカウントくらいだ。
お母さんが買い物の頼み事でも入れてきたのかな、と思いながら中身を見て、危うく、スマートフォンを取り落としそうになる。
……緒田くんからだ。
「え、なに、誰から? わあ、三織なにその顔。そんな表情初めて見る……あっ、さては!」
「えっ!? 違う違う、分からないけど違う! ……えっと、……んん?」
――お久しぶりです。お元気ですか? 先日の件、駅員さんに聞いたんでちょっとご報告です。
電車の窓の外では、新緑の時期を迎えてどんどん伸びていこうとする木々が、太陽の光を受けてまぶしく輝いていた。
「ううっ……世界のまぶしさが、憎いっ……」
ここのところ毎年、四月っていうのは、私にとってちょっと憂鬱な月だった。
理由は単純で、私が、新しく変わる環境に順応するのがけっこう苦手だからだ。
でも、大学というところは高校までと違って、一年かけてそこそこ仲良くなった人たちが、ガラッと一新された状況へばらばらに投げ出されるような感覚はあまり強くない。クラスメイトとの交流が、高校までのそれほど強固じゃないので、別れと新生活っていう感じがあまりしないためかもしれない。
……単に、私が、一年の時に友達をろくに作れなかったせいもあるけど。
小さいころからオタク気質だったためか、そもそも生まれつきの性格なのか、友達を作るのは昔から下手だった。
だから、中学三年の時に初めて同人イベントに行って同好の士と出会ったときは、ものすごく楽しかったのを覚えてる。はしゃいで、騒いで、
「あなた、見た目は地味なのに、性格はかなりにぎやかなんだね」
と過去に言われたことのない評価までされてしまった。
そのおかげでちょっとは社交性がついたのか、高校のときは、それなりに友達を作ることができた。
大学に進学できたのはよかったけど、一から人間関係を作り直すのか……と思うと、気が滅入ったのも確か。
せっかく希望の大学に入ったんだからと、勉強とアルバイトと同人活動に打ち込んでいたら、学校ではほとんど交友関係が広がらないまま一年が経ってしまった。
すっかりわたしのトレードマークになった黒縁眼鏡と長い黒髪が、
「若干のガードを感じる。近寄りがたいっていうか」
と同級生に言われたのは、二年ほど前。
コンタクトにしたり、髪の色を明るくしてみようかなとは思うものの、特にきっかけもないのでそのままで今日まで来た。
正直言って、同人関係の活動は今、私的にはかなり充実している。高校の時に自分でもマンガを描いてみるようになってから、ありがたいことに、イベントに出展するたびに私の同人誌の頒布数は増え続けていた。
美容院に行ったり新しい生活習慣を取り入れる時間があれば、マンガを描いていたい。そうでないなら、新しいマンガや過去の名作を読みふけって、インプットにいそしみたい。
今年はどんな新しい作品に出合えるだろう、と思うと、人前でも「えへへ……」と顔がにやけそうになって、慌てて引き締めるのも日常茶飯事だった。
こんな風だから大学生活が充実しないのかも……とは思ったけど、必要な単位はとっているし授業は学びがいのあるものが多いので、それなりに上手くいっているとは思う。
「次は、上野ー」
電車のアナウンスに、慌ててドアのほうによる。
停車してドアが開くと、人並みにまぎれて、私もホームに出た。
乗り換えのために別のホームに向かい、ちょうど到着した電車に乗り込む。
ここまでくれば、あとは家まで一本だ。
できれば今日は、帰る前に、近所のアーケード街にある画材屋さんに寄りたい。私のマンガはデジタルで作画しているけど、アナログのほうがしっくりくる作業が多いし、なによりアナログ画材というのは触っていて独特の楽しさがあるので、当分は画材屋さんに通うことになりそうだった。
ちょっとにやけつつそんなことを考えていたら、電車が発車して、しばらく後。
つり革をつかんで立っていた私の脇腹のあたりに、妙な感触がした。
電車の中は、ぎゅうぎゅう詰めとまではいかないものの、隣の人と触れ合わざるを得ない程度には混んでいる。
だからちょっとくらいの接触は仕方ないんだけど、その感触は、徐々に下のほうへ降りていった。
これは。
まさか。
ううん、そんなわけがない。
そう言い聞かせても、背中には悪寒が走り、冷や汗が浮いてくる。
この日は、白いトップスにグレーのカーディガンと、ひざ下丈のダークグリーンのスカートを穿いていた。
そのスカートのアウトラインをなぞるように、感触は下に向かい、後ろに回っていく。
なにかの間違いであってほしい。でも、そうはいかないかもしれない。
どうしたらいいんだろう。でも、こんなに大胆にやってくるからには、常習犯かもしれない。そうだとしたら、私以外の人もこんな目に遭ってるんだ。すごく気持ち悪いし、怖いけど、私に、今、なにかできることってないだろうか。
私は、男の人が少し苦手だった。これがもし男性の痴漢だったらと思うと、背中に冷や汗が浮かんでくる。
感触は、私の右側からきているみたいだった。私が右手でつり革をつかんでいるので、隙があると思ったのかも。
とりあえず、そろそろと右を見た。
私の少し斜め後ろに、高校生らしい制服姿の男子がいる。
向こうも私の視線に気がついて、顔を上げた。
目が合って、どきったした。
しばらく、そのまま。
……えっ、この子?
彼は、右手でスマートフォンを持っていた。左手は降ろされてて、どうなってるか見えない。……でも、彼の背丈からして、そこから左手が延ばされているとすると、ちょうど私の腰のあたりにきそうな気がする。
でも、痴漢って、それもこのくらいの年頃の子が犯人だったとしたら、被害者と目が合っても平然と見返してくるんだろうか。
そんなことを考えていたら、感触はさらに進んできた。もう、スカートの腰の部分を通過してしまっている。
どうにかしたい。今すぐ。でも、どうしたら。声を上げればいい? でも、いきなり乱暴されたりしたらどうしよう。
涙がにじんでくるのを感じた時、男の子が、私にすっとスマートフォンの画面を向けた。
そこに書いてある文字を読む。
「なにかありましたか?」
私は、小さく、こくこくとうなずいた。
男の子が、画面を下にスクロールさせる。
「痴漢ですか? 助けてもいいですか?」
うなずいた。
男の子もうなずく。そして、視線を私の下方に向けて、一気に険しい顔つきになった。
「おい」
男の子が、低い声を出した。
腰の下の感触が、びくりと震えた。
そして、すっと引かれる。
「引っ込めてももう遅いよ」
「な、なんだ――おい、離せ」と別の男性の声。
「離さないね。次の駅で降りようか。すみません、お姉さん」
「え、は、はい? ……あ、あの、ありがとう、ございます」
なぜか私に謝られたので、反射的にお礼を言う。
周りでは、「え、痴漢?」「マジで? あいつ?」というざわめきがする。私の左にいた年かさの男性が、小さな声で
「気づかなかった……申し訳ない」
と頭を下げた。
「い、いえ、大丈夫ですから」
私は、改めて右後ろの男の子を見た。
ほんのわずかに茶色の入った長めの髪が、ややつり気味の目に少しかかっている。首も顔も細くて、背は高いのに、弱弱しい感じはしなくて、むしろ引き締まったしなやかさを感じた。少し険しい顔をして立っているだけなのに、まるで、雑誌のモデルが決め顔をしているかのような、視線が吸い込まれるような感覚に陥ってしまう。
……さっきは、痴漢かもしれないと思っていたから気づかなかったけど、この子、かなり格好いいのでは。こんなに整った顔立ちの男の子は、今まで周りでは見たことがない。
彼の、あまり力を入れているふうには見えない左手は、腕一本つかんでいるだけで完全に痴漢の動きを奪っているみたいだった。
腕まくりした袖からのぞいたひじから下は、筋が少し浮いている。まだ四月だっていうのに寒くないのかな、なんて余計なことを考えてしまった。
五分ほどして、電車が駅に着いた。
「すみません、お姉さん。おれ一人じゃ、こいつのことうまく説明できないかもしれないんで、一緒に降りてもらえますか」
そういうことでの、さっきの「すみません」だったんだ、とようやく気づく。
「い、いえ! 助けてもらったのは、私ですから!」
そこでようやく、痴漢の顔をまじまじと見た。
痴漢っていうのはおじさんがやるイメージがあったけど、目の前の人は少しやせた三十歳くらいの男性で、どこにでもいそうな、普通の見た目をしている。
「おい、いつまでつかんでんだよ。おれは痴漢なんかしてねえぞ。冤罪だ、冤罪」
「分かった分かった。ま、詳しくは駅員さんのとこで聞くよ」
そう言って、男の子は痴漢を引っ張っていく。
なにごとかと見とがめた駅員さんが、小走りできてくれた。
男の子は男性をぐいと突き出し、
「痴漢です。あそこのお姉さんの腰を触っていました」
「は、はい、本当です。その子が、私を助けてくれて」
駅員さんがもう一人きて、男の子に代わって男性を受け取った。
「おい、ふざけんな、冤罪だって言ってんだろ」
男性がすごんだ。でも、男の子がすぐに言い返す。
「そっちこそふざけるなよ。おれは見たし、現行犯でつかまえたろう」
私も、慌てて割って入る。駅員さんに向かって、
「ほ、本当です。私の腰のあたりから、その、下のほうにいくところで、つかまえてくれて」
すると、男性が私のほうに食ってかかった。
「いやだからよ、腰だろ? 尻とか胸じゃねえだろ? それで痴漢になんのかよ!?」
二人の駅員さんが、顔を見合わせてうなずいた。そして、
「それは痴漢ですよ。場所がどこだからいいとか、そういうことはありません」
と言ってくれる。
男の子も、
「なんで腰だったらいいと思うんだ? 分からないな」
と息をついた。
男性が目をむく。
「え、なに、なんでお前上から? 上から、上からあ!?」
「上とか下とかじゃないだろう? あんたが、やっちゃいけないことを――」
「うるせえ! おい女、お前謝れよ! 冤罪ですごめんなさいって! 女って、絶対謝らないよなあ! 他責思考で、クソばっかだってみんな言ってるわ!」
私がたじろぐと、男の子が私の前に立った。
「……この人は謝るようなことしてないだろう。あんた、女の人にこっぴどく振られでもしたわけ? あと、みんなって誰?」
男性は、息を荒らげて、肉食獣のような目で男の子をにらんだ。
でも、男の子は、たじろぐ様子もない。平然とした様子で、男性を見下ろして言う。
「あんたこそ、一言でいいから、この人に謝りなよ。言っておくけど、もし今後この人に逆恨みするようなら、おれがお前を追い込んで責任取らせるからね。ずいぶん威勢がいいみたいだけど、おれとやり合ってみる? たぶんおれ、あんたよりだいぶ強いよ」
男の子の視線が、すっと鋭くなった。それを見た男性が、がくりと肩の力を抜く。そして駅員さんに寄り添われて、ホームの向こうへ消えていった。
私は一応駅員さんに連絡先を渡して、男の子と一緒に、次にきた電車に乗った。
いろいろあって張りつめていた神経が、ようやく、緩んできた。
「ふう……」
「落ち着きましたか?」
「あ、えっ、はいっ。落ち着きました、ありがとうございますっ、本当に!」
「本当にすみませんでした、降りる駅まで送ります。……もし、嫌じゃなかったらなんですけど」
「え、そんな。……なんで、あなたが謝るんですか?」
「一応、おれもあいつと同じで、男なんで。……いたたまれないというか」
「そんな、違いますよ。全然違うじゃないですかっ」
私は、思わず両手をこぶしにして縦に振っていた。
男の子は、遠慮がちに笑った。目つきが鋭いので、さっきの怒った顔はなかなか迫力があるけど、こうしてみるとあどけなさがあって、心地いい笑顔だ。
「そう言ってもらえると、ありがたいです。駅、どこです?」
「柏です。もう、この電車一本です」
「本当ですか、おれもです。ちょうどよかった。おれ、緒田壮弥っていいます。高校二年です」
「あ、私、三木元三織です。大学二年生です」
二人して、ぺこりと頭を下げる。
そして、緒田くんは肩にかけていたバッグからルーズリーフとペンを取り出すと、揺れる車内で苦労しつつ、なにかをさらさらと書きつけた。
「これ、おれの電話番号と、使ってるメッセージアプリのIDです。今日のことでもしなにかあったら、連絡くれればいつでも協力しますから。証言でも、なんでも」
「……紙に書かなくても、今、スマホでやり取りすればいいのでは?」
「それじゃ、交換になるじゃないですか」
「だめなんですか?」
「……さっき会った男から、いきなり連絡先交換しようって言われるの、怖くないですか?」
ああ。
言われてみれば、助けてもらったのでそのあたり麻痺してたけど、少なくとも私は今までそんなことしたことない。
「もし、三木元さんが、おれに恩を感じてくれてそう言ってくれてるんなら、気を遣わないでください。ほら、おれ、けっこう背が高いでしょう? ただでさえ、ちょっと圧迫感あると思うんですよ。そんなやつに、『連絡先教えてよ』って言われたら、身構えるのが普通だし」
私の身長は百六十センチに少し届かないくらい。
彼はたぶん、百八十近い。
でも、そう言われるまで、圧迫感なんて感じなかった。それは、彼が、私との間にとっている距離感や、少しかがみ気味になって話してくれていたからだ。そんなことに、私はこのときになってようやく気づいた。
私は、バッグから、スマートフォンを取り出した。
「三木元さん?」
「私は、緒田くんが、怖くないです。ぜひ、連絡先を交換してください。緒田くんにも、今日のことでなにかあったら、私が協力したいので」
「……ありがとうございます」
そして私たちは、スマートフォンを向かい合わせて、無事連絡先を交換した。
「それにしても、私、痴漢なんてされたの初めてです。派手で露出度の高い人より、おとなしそうな人が狙われるって言いますよね。私が地味で、野暮ったいからでしょうか……眼鏡とか、髪とか」
「そんな。もし今の格好が気に入ってるなら、そんなことで変えることはありませんよ。……なんて、おれが無責任に言うことじゃないですよね、すみません」
「いえ、そんな。……緒田くんて、けっこう謝りますよね」
「え、そうですか?」
「緒田くんが謝るようなこと、なにもないのに。……さっきの、本当なのかな」
「さっきの?」
「女の人は謝らない、みたいなこと言われたじゃないですか」
「もう、三木元さんはあいつの言ったことなんて忘れてください。少なくとも今回の件は全部あいつが悪いのに、そう思ってなさそうだったし。他責志向とか言ってましたけどね、そう言うやつのほうがよほど他責志向ってことも多いんですから」
「ああ……。SNSとかで、あんまり好きな言葉じゃないですけど、他人に『キモい』って言う人ほど本人がキモい、みたいな……」
「なんですか、それ。でも、そうかも」
緒田くんが吹き出した。
やがて、電車が柏駅に到着する。
「じゃ、おれはこれで。お話できて、楽しかったです。……ああ、それと」
「はい?」
「もう一度念押ししておきますけど、女の人が悪い男に嫌な目にあわされるって、どう考えても女の人のせいじゃないですからね。その長い髪、とてもきれいです。あ、いえ、短いのも似合うかもですけど、少なくとも今もきれいだってことです。難しいな、こういうの」
緒田くんは額のあたりの汗をぬぐうようなしぐさをしてから、手を振って、人並みの向こうに消えていった。
私は、画材屋に行くこともすっかり忘れて、柏駅の東口を出て家に向かう。
ロータリーに集まっているタクシーを横目に、歩道をてくてくと歩いていった。
なんだか、いろんなことがあった帰路だったな。
知らず、顔の横に伸びた髪を手に取った。
いつもと大して変わらないコンディションのはずの髪が、今日はずいぶん艶めいて見えた。
■
キャンパスは東京だけど、私は千葉県の柏市というところで、親元の近くに住んでいる。
一人暮らしがしてみたいと言い張り、両親から許可は出たのだけど、あまり親元から離れないことが条件だった。
今の私のアパートから、実家までは歩いて十五分くらいで着く。子供のころから住み慣れた街なので、正直、一人暮らしを始めたときも新生活という感じはあまりしなかった。
緒田くんと出会ってから、一週間が経つ。メッセージアプリでは、最初の挨拶を入れた程度で、その後はお互い言葉を交わしていない。
学校やアルバイト先が同じわけじゃないし、たまたま出会った他人同士なんて、そんなものかもしれない。そう思いつつも、ちょっと寂しいものはあった。
「あれー、三織、なんか元気ないじゃん」
教室の窓側、端の席(私の指定席だ)で終礼を迎えた私に声をかけてきたのは、同じ学科で一年目から打ち解けた、岡崎あんなちゃんだった。
私と違って、明るくてほとんど金髪に近い髪は、緩やかに巻かれていて華やかだった。着ている服はいつもおしゃれで、なんという名前で呼ばれている形態なのか、私では分からないものも多かった。きらきらした大学生の見本のような子で、実はこっそり憧れていたりする。
「そんなことないよ。でも、今日はびっちり講義入ってたから、ちょっと疲れちゃったかな」
「おー。でもこれで今日は授業終わりでしょ?」
そうなのだ。今日はこの後帰ったら、夏にあるイベント合わせの新作マンガの構想を練りたい。プロのマンガ家になるつもりなんてまったくないけど、自分の描きたいものはできるだけ質と量を確保して創作したい。
私が描いているジャンルは一次創作といって、いわゆるオリジナル作品だ。同人誌には、二次創作といって既存の作品を下敷きにしたものもすごく多いけど、私は今のところ一次一本で描いている。
実は今日の休み時間に、ひとけのない教室で、主要登場人物のキャラクターデザインをコピー用紙に書きつけていた。これの清書をして、見た目からキャラを固めていきたい。
「うん、今日はバイトもないし、後は帰るだけ……」
そう言いながら、講義中は電源を切っていたスマートフォンを立ち上げたら、着信通知で振動した。
家族から電話でもあったのかと思って見てみると、アプリにメッセージが入っていた。
自慢じゃないけど、私のアプリに連絡をくれるのは、家族かあんなちゃん、あとはなんとなく登録した柏市の公式アカウントくらいだ。
お母さんが買い物の頼み事でも入れてきたのかな、と思いながら中身を見て、危うく、スマートフォンを取り落としそうになる。
……緒田くんからだ。
「え、なに、誰から? わあ、三織なにその顔。そんな表情初めて見る……あっ、さては!」
「えっ!? 違う違う、分からないけど違う! ……えっと、……んん?」
――お久しぶりです。お元気ですか? 先日の件、駅員さんに聞いたんでちょっとご報告です。
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