ホロスサントスの医院長 ※二次創作

親の目を盗んで

文字の大きさ
3 / 4
一章

カジノ

しおりを挟む
「おや?あの車は…」

医院長は現在、病院の車である場所に向かいながらパトロールをしている。その最中に知っている車両を見かけたのだ。それも目的地の駐車場に停めてあった。

医院長はその車両の隣に駐車し、目の前の建物、『カジノ』に足早で向かう。

「あら、医院長先生じゃないですか。今からですか?」

ちょうどその入り口から一人の赤髪の女性が現れ、医院長を見るなり尋ねてきた。

「やはりルイさんでしたか。…ええ、これから一賭け行こうと思っていたのですが、ご一緒しませんか?」

医院長は入り口の方を示しながら誘う。

「いえ、今日はこれくらいにしておこうかと。負けが込んでしまいまして…」

ルイは落ち込んでいるようだ。それは負けてしまったからだけでもないように感じる。

「そうでしたか…では、次の機会には趣向を変えて一緒にスロットでもどうですか?」

「ああ、いいですね。その時はぜひ!」

ルイは医院長に笑顔を向け、帰路についた。

医院長はその背を見送り、カジノに入る。

「残念ですねぇ、相談したいことがあったんですが…」

医院長にとって、ルイは数少ないギャンブル仲間、所謂『ギャン友』である。互いに気を許し合っている仲なので、簡単に他人に相談できない事も話せるのだ。

「まあ、それは今度にしましょうか。…さて、今日も楽しみますかね。」

その後医院長はディーラーの前の席に座る。医院長お気に入りのブラックジャックだ。

そこで医院長はふと思い出した。ここで初めてルイさんと会った時のことを。


「ぐうううう…こ、ここでエースが来るとは…」

それは珍しくも医院長が負け続けだった時の事。合計すると一体何百万の赤字になっただろうか、もしかすると一桁高くなったのではないか。さすがの医院長も危機感を感じ始め、席を立とうとしたとき…

「お隣よろしいですか?」

赤い髪の女性が医院長にそう話しかけてきた。当時のルイである。

「え?…あ、ええ、どうぞ。」

医院長は反射的に返事をした。そして席を離れるタイミングを逃してしまった。今、席を離れるのは話しかけてくれた人に失礼が過ぎる。

医院長は決心した。このまま続けることを。


「いや~、ボロ負けでしたね~」

「はは、そうですね…」

結局医院長はあの後も負け続けたのだ。さすがの医院長も気が沈む。

ルイも残念そうな顔をする。しかしその声からはどこか晴れやかな感じがした。

医院長は直感した。この人は同類ギャンブル狂いだと。

「…もしよろしければ、また一緒にやりませんか?」

この主語も目的語も無いような一言が医院長にとって精一杯だった。後から思えば、もっと言い方があっただろうに…と悔やんだことは数知れず。

「いいんですか!?ぜひ!またご一緒しましょう!」

しかしそれでもルイは嬉しそうに笑い、誘いに乗ってくれた。

それからは偶に待ち合わせをしたり、図らずも出会って笑い合ったり…


「今思えば、ルイさんと出会えたのが幸運だったのでしょうね…」

たかがお金で気の置けない友人と出会う事ができた。それなら負け続けた甲斐があるものだ。

「うっ、ここでエースですか。計22…」

医院長はため息をつく。

「今日はこのぐらいにしておきましょうか。帰りにパン屋に寄っていきましょうかね。」

医院長は早々と席を立ち、駐車場に向かうのだった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...