30 / 1,768
第二話 目指せスキルアップ!
荒野の大都会タイガス
しおりを挟む
徒歩で街へと近づいたナガレたちに、門番の騎士たちが敬礼した。
「タイガスの街にようこそお越しくださいました! この門は夜の十時から朝の五時まで閉鎖されるであります。ごゆるりとご滞在くだされ!」
「ありがとう、騎士さん」
「面倒は起こさないで下さいませっ!」
(その敬語って合ってるのか……?)
……それはともかく、ゲートを通り抜けるとそこにはタイガスの街が広がっていた。
「す、すごい……街の中に湖がある!」
ゲートから入ってすぐ広がったのは、真っ青に透き通った大きな海……かと思うほど大きな湖。太陽の光を反射してキラキラと輝いている。今日が休日なこともあり、人通りが多かった。
「あれがタイガス最大の名所、プレジデント・レイクよ~。街の面積の七割を占める巨大な湖、とってもキレイでしょ~?」
湖を囲むように綺麗な建物が並んでいる。だがそれだけではなく、ナガレたちの目の前には石造りの大きな橋がかかっていた。
「んっ? あれ……島がありますよ?」
橋の向こう、池の真ん中に小さな島があり、そこには砦のような建物がある。
「ありゃあタイガスの冒険者ギルドだぜ。正式名称『スラガン地方冒険者ギルド本部』だな」
「あれがギルドの建物だって⁉︎ ウチとはえらい違いだな……」
遠目から見ても綺麗だ。どれだけ目を擦ってもボロボロにしか見えない、バッファローギルドとは大違い。
「じゃあ私たちはこっちへ行くわ~」
「それじゃあな! 二時間後にここで待ち合わせだ。先に帰ったりしないてくれよ! へへへ、今日は勝ってやるぜ」
「私も前はタコ負けしたからね~。今日はブラックジャックにしましょ~!」
「よっしゃ~!」
そう言うとタネツとヒズマは、ボロ負けフラグにしか感じられない会話を交わしながら去っていった。
(あの二人って仲良いんだろうな。ひょっとしてデキてる仲だったり……いや、じゃあ両方恋人いないことを嘆いてないか)
男女の仲というのは複雑だ。考えたって仕方がないので、ナガレは橋の向こうの島を目指すことにした。
「……結構長い橋だな」
向こう側はずいぶん遠い。巨大なタイガスの街の大半を占める湖な分、半径だけでも一キロメートルはありそうだ。
「それはともかく、スキル鑑定の店を探すか……って、ん?」
ふと道端のベンチに座り込む人物が目に入った。短髪の赤髪に黒いマスク、身軽そうなボディアーマーはどこかで見たような……。
「あれ……もしかして、ジョー⁉︎ ジョーじゃんか!」
間違いない、ジョー・アックスだ! あの日スカルクリーチャーを倒し、ナガレを助けてくれた旅人がそこにいた。
「タイガスの街にようこそお越しくださいました! この門は夜の十時から朝の五時まで閉鎖されるであります。ごゆるりとご滞在くだされ!」
「ありがとう、騎士さん」
「面倒は起こさないで下さいませっ!」
(その敬語って合ってるのか……?)
……それはともかく、ゲートを通り抜けるとそこにはタイガスの街が広がっていた。
「す、すごい……街の中に湖がある!」
ゲートから入ってすぐ広がったのは、真っ青に透き通った大きな海……かと思うほど大きな湖。太陽の光を反射してキラキラと輝いている。今日が休日なこともあり、人通りが多かった。
「あれがタイガス最大の名所、プレジデント・レイクよ~。街の面積の七割を占める巨大な湖、とってもキレイでしょ~?」
湖を囲むように綺麗な建物が並んでいる。だがそれだけではなく、ナガレたちの目の前には石造りの大きな橋がかかっていた。
「んっ? あれ……島がありますよ?」
橋の向こう、池の真ん中に小さな島があり、そこには砦のような建物がある。
「ありゃあタイガスの冒険者ギルドだぜ。正式名称『スラガン地方冒険者ギルド本部』だな」
「あれがギルドの建物だって⁉︎ ウチとはえらい違いだな……」
遠目から見ても綺麗だ。どれだけ目を擦ってもボロボロにしか見えない、バッファローギルドとは大違い。
「じゃあ私たちはこっちへ行くわ~」
「それじゃあな! 二時間後にここで待ち合わせだ。先に帰ったりしないてくれよ! へへへ、今日は勝ってやるぜ」
「私も前はタコ負けしたからね~。今日はブラックジャックにしましょ~!」
「よっしゃ~!」
そう言うとタネツとヒズマは、ボロ負けフラグにしか感じられない会話を交わしながら去っていった。
(あの二人って仲良いんだろうな。ひょっとしてデキてる仲だったり……いや、じゃあ両方恋人いないことを嘆いてないか)
男女の仲というのは複雑だ。考えたって仕方がないので、ナガレは橋の向こうの島を目指すことにした。
「……結構長い橋だな」
向こう側はずいぶん遠い。巨大なタイガスの街の大半を占める湖な分、半径だけでも一キロメートルはありそうだ。
「それはともかく、スキル鑑定の店を探すか……って、ん?」
ふと道端のベンチに座り込む人物が目に入った。短髪の赤髪に黒いマスク、身軽そうなボディアーマーはどこかで見たような……。
「あれ……もしかして、ジョー⁉︎ ジョーじゃんか!」
間違いない、ジョー・アックスだ! あの日スカルクリーチャーを倒し、ナガレを助けてくれた旅人がそこにいた。
1
あなたにおすすめの小説
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
転生女神さまは異世界に現代を持ち込みたいようです。 〜ポンコツ女神の現代布教活動〜
れおぽん
ファンタジー
いつも現代人を異世界に連れていく女神さまはついに現代の道具を直接異世界に投じて文明の発展を試みるが…
勘違いから生まれる異世界物語を毎日更新ですので隙間時間にどうぞ
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
俺だけ“使えないスキル”を大量に入手できる世界
小林一咲
ファンタジー
戦う気なし。出世欲なし。
あるのは「まぁいっか」とゴミスキルだけ。
過労死した社畜ゲーマー・晴日 條(はるひ しょう)は、異世界でとんでもないユニークスキルを授かる。
――使えないスキルしか出ないガチャ。
誰も欲しがらない。
単体では意味不明。
説明文を読んだだけで溜め息が出る。
だが、條は集める。
強くなりたいからじゃない。
ゴミを眺めるのが、ちょっと楽しいから。
逃げ回るうちに勘違いされ、過剰に評価され、なぜか世界は救われていく。
これは――
「役に立たなかった人生」を否定しない物語。
ゴミスキル万歳。
俺は今日も、何もしない。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる