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第八話 炎の化身
戦う理由
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コォォォォッ!
「く、くそっ!」
二人を気にする暇もない。タネツは必死に力を込めて、炎をシールドで受け止めた。すさまじい威力に腕が持っていかれそうになる!
「ぐぅおぉ……っ!」
もうダメかと思った時、やっと火炎放射が止んだ。サラマンダーはせき込むように黒い煙を吐き出している。
「ふぅ……た、助かった」
「……ナガレ! しっかりしろっ」
ケンガは安心して息を吐くが、ジョーは素早くナガレに駆け寄った。
炎が過ぎ去ったところで、ヒズマを下に抱えるようにうずくまっている。鎧が黒く焦げてススがついていた。
「う……が……っ!」
「な、ナガレ君!? しっかりして!」
下敷きになっているヒズマが慌ててよけると、ナガレはその場に崩れ落ちた。あの火炎ブレスをモロに受けてしまい、かなりのダメージになったはずだ。
「く……はぁはぁ……お、オレはだ、大丈夫。まだ……やれる……!」
白い髪の毛までコゲているのに、見栄を張って笑うナガレ。
「ナガレ……すまん! 俺が、俺が守るべきだったのに……」
タネツは苦し気に頭を下げた。タワーシールドの防御力なら、守りきれたかも知れない。ケンガもジョーもそこまで消耗していないため、優先順位はナガレの方が上だっただろう。
……だが、ナガレはニッと笑って立ち上がった。
「大丈夫……こ、こんなのヘッチャラさ! お、オレ……魔法防御のステータスも、そ、そこそこ高いし……」
「そんなこと言わないで! な、なんで私を助けたのよ!」
「な……仲間を守るのは当たり前だろ?」
「……!」
タネツはその言葉にハッとした。一方ヒズマは「な、ナガレ君……」とキラキラした目を向けている。
「ガーッ! ガァァッ!」
一方サラマンダーはようやく体勢を整えたらしく、口の端から炎を吹き出しながらのっしのっしと近づいてきた。
「……行けるか、ナガレ」
「ああ! 行くぞ、ジョー!」
立ち上がったナガレとジョーは、一斉にサラマンダーへ向かっていく。それを見ながらタネツは、じっと考え事をしていた。
(仲間を守るのは当たり前、か……そうか、そうだったのか)
そしてキッと目を開き、サラマンダーを睨みつける。その横ではナガレたちが一撃を加え離脱してきたところだった。
「行けっ、飛ぶ斬撃!」
ヒズマも剣を振って斬撃を飛ばし、サラマンダーを遠距離から斬りつける。
(俺が冒険者になった理由……戦う理由……そうか、そうだったか!)
「ガァァァァァァァァァァッ!」
サラマンダーはまたも空気を吸い込み、極太の火炎ブレスを吐き出す。
「げぇっ、またかよ!?」
ケンガがぎょっとして後ずさるが……。
「……任せろ! 俺に、任せてくれ!」
タネツが前に進み出て、タワーシールドを構えた!
「タネツさん……!? 無理だ! 俺たち全員をカバーなんて出来ない! 何人か防ぎきれないぞ!」
ジョーがそう言うも、タネツは聞く耳を持たない。
「俺を信じろ! 思い出したんだ……冒険者になった理由って奴をな!」
「し、しかし……」
難色を示すジョーだが、それを聞いたナガレはにこっと笑った。
「……ホントですか!? 分かった、信じます!」
そう言ってタネツに身を寄せるナガレ。
「ありがとよナガレ……お前の、お前たちのおかげだ。忘れちまった大切なことを、ようやく思い出せたぜ」
サラマンダーのブレスが迫る中、タネツはグッと両足を踏ん張った。苦しくても辛くても、攻撃を防ぎきる……その覚悟が、何よりの活力となる。
ゴゴゴゴゴ……!
その時、タネツの体から青いオーラが噴き出した! 吹き抜ける風のように青きオーラが、ナガレたちを包み込む。
「なに!? まさかこれは、スキルだと……!?」
ジョーが何か感づいたようだが、それより早くサラマンダーの炎が迫った!
「ガァァァッ!」
ボォォォォッ……!
「うぉぉぉぉぉぉっ! 俺が冒険者になった理由は……」
闘志のままタネツが吠え、タワーシールドを大地に叩きつける。
「ターショを……家族を……そして仲間を! 大切な人を守るためなんだぁぁぁぁぁッ!」
そう叫ぶと同時に、一気にオーラが放出された。それはタネツを中心に集まっていき、六角形の壁を形成する。そしてサラマンダーの火炎ブレスを、正面から受け止めた!
ボォォォォッ……!
炎は右へ左へ広がって突破しようとするが、六角形のオーラは広く大きな障壁となってナガレたちを守る。そして火炎放射が終わると同時に、障壁も溶けるように消えていった。
「な……スキル『拡散ガード』だと!」
ジョーは驚きのあまり目を見開いた。
「ガード時にリフレクターが展開され、仲間への攻撃をも受け止める堅牢なスキル……俺たちを庇ったことで、この土壇場で覚醒したというのか……!?」
「す、すごい技ですよ! タネツさん!」
「すごいわ、タネツ~!」
タネツはニヤリと笑い、シールドを振り上げる。
「うっしゃあ! 守りは俺に任せとけいっ! 最後に笑うのは、俺たちだ!」
「く、くそっ!」
二人を気にする暇もない。タネツは必死に力を込めて、炎をシールドで受け止めた。すさまじい威力に腕が持っていかれそうになる!
「ぐぅおぉ……っ!」
もうダメかと思った時、やっと火炎放射が止んだ。サラマンダーはせき込むように黒い煙を吐き出している。
「ふぅ……た、助かった」
「……ナガレ! しっかりしろっ」
ケンガは安心して息を吐くが、ジョーは素早くナガレに駆け寄った。
炎が過ぎ去ったところで、ヒズマを下に抱えるようにうずくまっている。鎧が黒く焦げてススがついていた。
「う……が……っ!」
「な、ナガレ君!? しっかりして!」
下敷きになっているヒズマが慌ててよけると、ナガレはその場に崩れ落ちた。あの火炎ブレスをモロに受けてしまい、かなりのダメージになったはずだ。
「く……はぁはぁ……お、オレはだ、大丈夫。まだ……やれる……!」
白い髪の毛までコゲているのに、見栄を張って笑うナガレ。
「ナガレ……すまん! 俺が、俺が守るべきだったのに……」
タネツは苦し気に頭を下げた。タワーシールドの防御力なら、守りきれたかも知れない。ケンガもジョーもそこまで消耗していないため、優先順位はナガレの方が上だっただろう。
……だが、ナガレはニッと笑って立ち上がった。
「大丈夫……こ、こんなのヘッチャラさ! お、オレ……魔法防御のステータスも、そ、そこそこ高いし……」
「そんなこと言わないで! な、なんで私を助けたのよ!」
「な……仲間を守るのは当たり前だろ?」
「……!」
タネツはその言葉にハッとした。一方ヒズマは「な、ナガレ君……」とキラキラした目を向けている。
「ガーッ! ガァァッ!」
一方サラマンダーはようやく体勢を整えたらしく、口の端から炎を吹き出しながらのっしのっしと近づいてきた。
「……行けるか、ナガレ」
「ああ! 行くぞ、ジョー!」
立ち上がったナガレとジョーは、一斉にサラマンダーへ向かっていく。それを見ながらタネツは、じっと考え事をしていた。
(仲間を守るのは当たり前、か……そうか、そうだったのか)
そしてキッと目を開き、サラマンダーを睨みつける。その横ではナガレたちが一撃を加え離脱してきたところだった。
「行けっ、飛ぶ斬撃!」
ヒズマも剣を振って斬撃を飛ばし、サラマンダーを遠距離から斬りつける。
(俺が冒険者になった理由……戦う理由……そうか、そうだったか!)
「ガァァァァァァァァァァッ!」
サラマンダーはまたも空気を吸い込み、極太の火炎ブレスを吐き出す。
「げぇっ、またかよ!?」
ケンガがぎょっとして後ずさるが……。
「……任せろ! 俺に、任せてくれ!」
タネツが前に進み出て、タワーシールドを構えた!
「タネツさん……!? 無理だ! 俺たち全員をカバーなんて出来ない! 何人か防ぎきれないぞ!」
ジョーがそう言うも、タネツは聞く耳を持たない。
「俺を信じろ! 思い出したんだ……冒険者になった理由って奴をな!」
「し、しかし……」
難色を示すジョーだが、それを聞いたナガレはにこっと笑った。
「……ホントですか!? 分かった、信じます!」
そう言ってタネツに身を寄せるナガレ。
「ありがとよナガレ……お前の、お前たちのおかげだ。忘れちまった大切なことを、ようやく思い出せたぜ」
サラマンダーのブレスが迫る中、タネツはグッと両足を踏ん張った。苦しくても辛くても、攻撃を防ぎきる……その覚悟が、何よりの活力となる。
ゴゴゴゴゴ……!
その時、タネツの体から青いオーラが噴き出した! 吹き抜ける風のように青きオーラが、ナガレたちを包み込む。
「なに!? まさかこれは、スキルだと……!?」
ジョーが何か感づいたようだが、それより早くサラマンダーの炎が迫った!
「ガァァァッ!」
ボォォォォッ……!
「うぉぉぉぉぉぉっ! 俺が冒険者になった理由は……」
闘志のままタネツが吠え、タワーシールドを大地に叩きつける。
「ターショを……家族を……そして仲間を! 大切な人を守るためなんだぁぁぁぁぁッ!」
そう叫ぶと同時に、一気にオーラが放出された。それはタネツを中心に集まっていき、六角形の壁を形成する。そしてサラマンダーの火炎ブレスを、正面から受け止めた!
ボォォォォッ……!
炎は右へ左へ広がって突破しようとするが、六角形のオーラは広く大きな障壁となってナガレたちを守る。そして火炎放射が終わると同時に、障壁も溶けるように消えていった。
「な……スキル『拡散ガード』だと!」
ジョーは驚きのあまり目を見開いた。
「ガード時にリフレクターが展開され、仲間への攻撃をも受け止める堅牢なスキル……俺たちを庇ったことで、この土壇場で覚醒したというのか……!?」
「す、すごい技ですよ! タネツさん!」
「すごいわ、タネツ~!」
タネツはニヤリと笑い、シールドを振り上げる。
「うっしゃあ! 守りは俺に任せとけいっ! 最後に笑うのは、俺たちだ!」
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