崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第十四話 女王への叛逆

真実

「ったく、わっかんねぇなぁ……」
「そうですね。考えるだけ無駄そうです。この世界にはすごい人がいるのですね」
　これには流石のサニーたちもお手上げだ。考えるのをやめたところで「あ、あの～……」とベアンが恐る恐る切り出した。
「ん、どうした？」
「えっと……あーしはラストハーレムズのベアンっちゅーモンです。そんで、この短髪赤髪がジーカで、この緑髪ポニテがバード。あーしの後輩。……そんで、貴方らは何モン何ですか？」
「おっと、自己紹介がまだだったな。俺はタネツ・ケオージ。Cランクの冒険者だ」
「同じくCランク、ヒズマ・トーネトラよ～」
「Aランクのサニー・ワカセラです。そしてそこで寝ている彼がCランクのナガレ・ウエストさん」
「は、はぁ、なんとまぁ個性も見た目もチグハグな……後その人、レガーナちゃんじゃねーのか。すいません、知り合いに似てたもんで」
「「…………」」
　タネツとヒズマはざっと目を合わせて作戦会議。ベアンたちはまだ、ナガレが男性だと言うことを知らない……。
(どうする、言うべきか？)
(いや、私たちが言っちゃって大丈夫なのかしら～)
　心で会話する二人……だが、それを無視していきなりサニーが口を開いた。
「いえ。ベアンさん、貴方の見立ては正しいです。彼は貴方の知り合いですよ」
「へ？」
「ながぁーっ⁉︎」

「ナガレ・ウエストさんは、貴方たちが知っている『レガーナ・ウェスト』と同一人物です」
「あ、あの？　それは、ど、どういう……」
「実はかくかくしかじかで、ナガレさんは貴方たちの組織に潜入していたんです。……女装までしてね。それで……」

　パコーン！

「なにやっとんじゃサニィィィッ！」
「今私たちが話すべきかどうか会議してたところでしょ～！　空気読んでよ、空気ぃっ！」
「空気は読むものではなく吸うものです。人間はおかしな言葉を使いますね」
「「こんな時だけ世間知らずのエルフぶるな～ッ！」」

　ポカーンとした表情の討伐組トリオ、サニーを問い詰めるタネツとヒズマ、まだ浮かない顔のフローレンス……。


「う、ん…………あ、あれ……？」
「あっ！　……ナガレさんっ！」
　……とここで、ようやくナガレが目を覚ました。目をゆっくり開けてから、周囲をキョロキョロ見回す。
「ここ、馬車の中？　……オレ、助かったの？」
「おおっ！　ナガレ君！」
「良かったわ、目が覚めたのね～！」
「タネツさん、ヒズマさん！　……ってげぇっ！　……ベアンさんたちまで」
　こっちをガン見してくるベアンたちを見て、ナガレはギクリとして硬直した。