崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第十七話 ハト・スタンピード！

ディナーの時間

「え、ど、どういうことだ？」
　すると急にハーバードがオロオロし始めた。シャルロットはわざとらしく、ガックリ落ち込んだように頭を下げる。
「ですがグレッグ君は『村の冒険者を呼んでこい』と言われてました。私はそれを誤解して、皆さんを呼んできてしまったのです！　今回の不備は全て私にあります。グレッグ君は悪くありません……」
「……や、いやいや、気にすることはないぞシャルロット！　まぁその、ごほんごほん。愛する妹に誘われたならば仕方ない。このまま帰すのもなんだし、君たちも食べていきたまえ」
　シャルロットの言動一つで、すぐに態度をコロコロ変えるハーバード。
(なんでぇ、急に受け入れやがった)
(シスコンね～…………)
(…………)
　何が言いたげなバッファローの一団だったが、それでもドルーシバの後に続いて建物の中へ入っていった。

「あの、叔母さま？」
「…………」
　グレッグが聞いても、シャルロットは何も言わない。
　だが、金持ちのお嬢様としては相応しくない、口角を片方だけ上げる意地悪そうな微笑みを見せた。
「グレッグもありがとう。よしよし、シャルロットの助けがあったとはいえ、よく一人で行って来れたな」
「は、はい」
「ん、どうした？　何が言いたげだな」
「いっいえ！　なんでもありません、父上！」

「楽しみです～！　お金持ちの食事みたいな七面鳥とか出てくるんでしょうかね」
「七面鳥じゃなくてハトだけどね」
　雑談しながら悪趣味な廊下を歩くナガレたち。……するとジョーが何かに気づいた。
「……サニーとワッカーサがいない。どこへ行った？」
「あれ？」
　周囲を見渡すナガレ。確かに二人がどこにもいない。
「疲れて帰っちゃったんじゃない？　オレが釣った魚、ちゃんと保存してくれてるといいけど」
「……」
　それを聞いたジョーは少し考える。そして唐突に気配を消し、どこかへ行ってしまった。
「……あ、あれ？　ジョー!?　どこ行ったー!?」
　ナガレが呼びかけるも、返事はこなかった。

～☆～☆～☆～☆～☆～

　豪邸を音もなく抜け出したジョー。スキルが無くとも冒険者時代に培った類稀なる隠密スキルは素晴らしい。従業員に止められることもなく、自然に敷地外へ出た。
（……まだかすかに血の香りがする。よく見れば、シャルロットとかいう女の花は、何本か散ってしまっているがほとんど無傷だ）
　色とりどりのバラはほとんど無傷だ。館専門の用心棒でもいて、バラの花を守り抜いたのだろうか。
（……まあいいか。花を愛する者に、基本的に悪いものはいない。それよりサニーとワッカーサを探そう）