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「どっちだよ、めんどくせえ」
幼なじみのケンは、当然笑顔ぐらいでは動じない。
「キヨヒトさんに連れられて、ライブ観に行ってきた」
ああ、とだけうなるように言い、ケンはビールに手を伸ばす。
タダキヨヒトはクラブの会員であり、シュウとは数年前からの馴染みだ。根強い人気があるプロのシンガーで、シュウをかわいがり金や物を与え、あちこち連れ歩くがキスすらしないという、珍しいほどの上客だった。
「あの人、おかしいだろ。勃たねえのか?」
ケンは心底不思議そうに首をひねった。
「さあな。あの人みたいな客はたまにいるぜ。ご奉仕しなくていいから、大歓迎だよ」
「男娼に金払っといてヤらねえとか、理解できねえな」
不敵な笑みで、シュウの腕をつかんで引き寄せるケン。頭に腕を絡ませるようにして強引に抱き寄せ、口づける。シュウの汗のにおいを、ケンのシャンプーの香りが打ち消す。
「そりゃ、性欲が強いお前には理解できねえだろうさ」
シュウはくすくす笑い、ケンの腰を両脚で抱いてぐっと身体を密着させた。濡れて光る薄い唇が、欲情を煽る。
「お前こそ、やる気満々じゃねえか」
ケンの太い腕が腰に回り、汗で濡れた首筋を唇が這う。Tシャツ越しの肌が熱い。
「俺が知ってる中じゃ、お前が一番セックスがうまいからな」
「そりゃどうも」
笑いながら、唇をむさぼりあう二人。黒革のソファがきしむ。シュウは欲情をふれあわせるように腰をくねらせたが、ケンがTシャツの下に手を入れようとすると、その手をやんわりと拒んだ。
「料理が来ちまうから、後にしようぜ」
「ひでえな、お前だってノってきたくせに」
露骨に不満げな顔をして、なおも口づけようとするケン。シュウはそれを避け、ケンのあごを指で軽く押しとどめた。
「盛り上がってきたところで、ピンポンされたらまぬけだろ?」
「……まあな」
ケンは不満げな表情のまま、シュウを自分の膝から下ろした。たくましい腕は、シュウが男としては華奢とはいえ、軽々と扱う。若くして組織を継いだケンは、なめられないようにということもあり、身体を鍛え上げていた。
「それに、お預け食らったら燃えるし」
けろりとした顔で言うシュウ。ちょうどインターホンが鳴り、ケンは苦笑するしかなかった。
幼なじみのケンは、当然笑顔ぐらいでは動じない。
「キヨヒトさんに連れられて、ライブ観に行ってきた」
ああ、とだけうなるように言い、ケンはビールに手を伸ばす。
タダキヨヒトはクラブの会員であり、シュウとは数年前からの馴染みだ。根強い人気があるプロのシンガーで、シュウをかわいがり金や物を与え、あちこち連れ歩くがキスすらしないという、珍しいほどの上客だった。
「あの人、おかしいだろ。勃たねえのか?」
ケンは心底不思議そうに首をひねった。
「さあな。あの人みたいな客はたまにいるぜ。ご奉仕しなくていいから、大歓迎だよ」
「男娼に金払っといてヤらねえとか、理解できねえな」
不敵な笑みで、シュウの腕をつかんで引き寄せるケン。頭に腕を絡ませるようにして強引に抱き寄せ、口づける。シュウの汗のにおいを、ケンのシャンプーの香りが打ち消す。
「そりゃ、性欲が強いお前には理解できねえだろうさ」
シュウはくすくす笑い、ケンの腰を両脚で抱いてぐっと身体を密着させた。濡れて光る薄い唇が、欲情を煽る。
「お前こそ、やる気満々じゃねえか」
ケンの太い腕が腰に回り、汗で濡れた首筋を唇が這う。Tシャツ越しの肌が熱い。
「俺が知ってる中じゃ、お前が一番セックスがうまいからな」
「そりゃどうも」
笑いながら、唇をむさぼりあう二人。黒革のソファがきしむ。シュウは欲情をふれあわせるように腰をくねらせたが、ケンがTシャツの下に手を入れようとすると、その手をやんわりと拒んだ。
「料理が来ちまうから、後にしようぜ」
「ひでえな、お前だってノってきたくせに」
露骨に不満げな顔をして、なおも口づけようとするケン。シュウはそれを避け、ケンのあごを指で軽く押しとどめた。
「盛り上がってきたところで、ピンポンされたらまぬけだろ?」
「……まあな」
ケンは不満げな表情のまま、シュウを自分の膝から下ろした。たくましい腕は、シュウが男としては華奢とはいえ、軽々と扱う。若くして組織を継いだケンは、なめられないようにということもあり、身体を鍛え上げていた。
「それに、お預け食らったら燃えるし」
けろりとした顔で言うシュウ。ちょうどインターホンが鳴り、ケンは苦笑するしかなかった。
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