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「俺達まだなにも分からないんで、よろしくお願いしますね。うちの師匠、カワカミダイスケさんです。俺はカズキっていいます」
仕事中に勝手に紹介されたからか、顔を上げたダイスケは心なしか困惑した表情で、シュウに会釈した。
「きのうの料理うまかったよ、ダイスケさん」
もう少し、ただその姿を見ていたかったと思いつつも、シュウは笑顔を作った。胸がざわつく。まともに顔を見たら、なおさら好みだ。そりゃ目が離せないはずだ、と他人事のように思う。
「……ありがとうございます」
無愛想に言い、またすぐ仕事に戻ろうとするダイスケ。ちやほやされることに慣れているシュウは少しむっとしたが、新入りのダイスケは、ここでの自分がどんな存在なのかまだ知らないのだ。
「今日も料理、よろしくね」
なおも笑顔のシュウに、ダイスケは無言で少し眉を寄せた。どう答えるべきか、分からないのかも知れない。
「師匠、シュウさんはこの店の専属シンガーで、ナンバーワンなんスよ。料理気に入ってもらえてよかったですね」
ダイスケのそっけない態度をフォローするかのように、カズキが言う。
「そうでしたか」
ダイスケは少し表情を緩めて、シュウを見た。いかにも優しく誠実そうな、少したれ目がちの瞳。声は低く、柔らかい。少なくても、これまでシュウの周りにはあまりいなかったタイプだった。食うか食われるかのこの街では、草食動物のようにたおやかな人種は生き残れないからか。
「今仕込みしてるんで、すみませんが」
遠慮がちのようできっぱりした言葉に、シュウは唇をとがらせた。もう少し愛想よく相手してくれてもいいだろうに。
「お邪魔しました~」
厨房を出ながらちらりと見ると、すねた声を出すシュウにもお構いなしで、ダイスケは仕事に戻っていた。
「師匠、新しい職場で緊張してるし、不器用な人なんス。すみません」
カズキが追ってきて、またフォローを入れてきた。
「お前はなんなの? あの人とデキてんの?」
「まさか。師匠が心配なんで。それだけっス」
笑顔がきらきらしい。こいつはたちまち売れっ子になるかも知れないな、とシュウは思った。
仕事中に勝手に紹介されたからか、顔を上げたダイスケは心なしか困惑した表情で、シュウに会釈した。
「きのうの料理うまかったよ、ダイスケさん」
もう少し、ただその姿を見ていたかったと思いつつも、シュウは笑顔を作った。胸がざわつく。まともに顔を見たら、なおさら好みだ。そりゃ目が離せないはずだ、と他人事のように思う。
「……ありがとうございます」
無愛想に言い、またすぐ仕事に戻ろうとするダイスケ。ちやほやされることに慣れているシュウは少しむっとしたが、新入りのダイスケは、ここでの自分がどんな存在なのかまだ知らないのだ。
「今日も料理、よろしくね」
なおも笑顔のシュウに、ダイスケは無言で少し眉を寄せた。どう答えるべきか、分からないのかも知れない。
「師匠、シュウさんはこの店の専属シンガーで、ナンバーワンなんスよ。料理気に入ってもらえてよかったですね」
ダイスケのそっけない態度をフォローするかのように、カズキが言う。
「そうでしたか」
ダイスケは少し表情を緩めて、シュウを見た。いかにも優しく誠実そうな、少したれ目がちの瞳。声は低く、柔らかい。少なくても、これまでシュウの周りにはあまりいなかったタイプだった。食うか食われるかのこの街では、草食動物のようにたおやかな人種は生き残れないからか。
「今仕込みしてるんで、すみませんが」
遠慮がちのようできっぱりした言葉に、シュウは唇をとがらせた。もう少し愛想よく相手してくれてもいいだろうに。
「お邪魔しました~」
厨房を出ながらちらりと見ると、すねた声を出すシュウにもお構いなしで、ダイスケは仕事に戻っていた。
「師匠、新しい職場で緊張してるし、不器用な人なんス。すみません」
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「お前はなんなの? あの人とデキてんの?」
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