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その2
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翌日。福島は坂上から指定された居酒屋にやって来た。坂上は個室を予約していて、万が一、顔見知りの誰かと会ったりすることがないようにということなのか、普段寄りつかないビジネス街にある大きなビルの高層階に、その店はあった。
通された個室は、黒を基調としたシックな内装で、よく行く安い居酒屋のように壁にメニューが貼られたりなどしていない。窓側は一面ガラス張りになっており、周辺や遠くに見える高層ビルの明かりや道路を流れていく車の光が冴えて美しい。新宿らしきビル群も見える。
「待たせたか」
坂上に声をかけても、返事はない。黒光りするテーブルを前に座る坂上は、早く来て福島を待ち構えていたようだ。坂上はメイクだと思いたいほどに顔色が悪く、目の下のクマもさらに濃くなったように思える。いつもきちんとセットしていた髪もセットされておらず、猫背気味に椅子に座り据わった瞳で福島を見る。さすがに福島は不穏な雰囲気を感じた。
「さて、さっさと本題に入ろうか」
二人ともウーロン茶にし、適当に何品か頼んだつまみが揃うと、乾杯もないままぐっとウーロン茶を飲んで坂上が言う。福島は少しの緊張を感じながらも、普段と変わらないように見せようとゆっくりとなんこつの唐揚げを口に運んだ。
「遠慮せず訊くわ。お前、アズマさんと寝たのか?」
いきなりまっすぐに切りこんで来る瞳。どす黒い刃のような言葉。
「いくらなんでも、いきなり露骨すぎんだろ」
福島は苦笑でいなした。だが坂上の表情は変わらない。福島は最近よくつけているネックレスを、意味もなくいじりながら答えた。
「ま、いいわ。きのうもアズマさんちに行ったよ」
その一言は、坂上を絶句させるのに充分だった。
きのうも? 俺はアズマさんがどこに住んでるのかも正確には知らないのに? つい最近どうこうなったわけじゃないのか?
そんな疑問が渦巻いているのだろう、神経質そうに眉をつり上げて黙ってしまう坂上。
「お前はたぶん、すげえいろいろ勘違いしてると思う。俺とアズマさんの仲はもう二年近くになるよ」
なにも言えなくなった坂上の言葉を待つように、福島はつまみに手をつけ、ウーロン茶を飲む。
「二年……?」
ぴくり、と引きつる顔。
「わりい、俺もさすがにさっさと本題に入りすぎたかな」
チーズフライをもぐもぐと食べながら言う。坂上には勝者の余裕に見えているのだろう、必死に怒りを抑えているのがありありと分かる。事実を言っただけだが、だいぶ煽ってしまったかも知れない。
「じゃ、じゃあアズマさんはお前がいながら俺ともずっと寝てたって……?」
その言葉は福島に向けられているようで、向いていない。坂上は目を泳がせ、ひとり言のように言う。
「……なんだよそれ、クズじゃねえか……」
ぼそりとつぶやく。アズマがそんなことをする人間だとは思いも寄らなかったのか、「クズ」と言う坂上の唇にはとまどいが感じられた。
「お前には許せないだろうな」
「許せるわけねえだろう、お前はなんでそんなアホ面で笑ってんだよ! そうやってなにも知らない俺のことを笑ってやがったか!」
上気した顔で怒鳴る坂上の目は充血していた。怒りのあまりか、それとも涙をこらえているのか。
「アホ面か。まあ、俺のことはどう言おうが構わねえけど」
じっと見つめる福島の瞳に、一瞬坂上がおびえたように見えた。確かに体格的にも、もし殴りあいのケンカになったら負ける気はしない。坂上には学校の授業以外に運動経験がないらしいが、福島は子供の頃から野球、柔道、水泳など興味の赴くままに経験し、今もジムに通っている。
「アズマさんが、そんな……まさか」
うつろな表情でつぶやく坂上。福島はなんだかむなしくなってきた。ソロ活動のプレッシャーもあるのかも知れないが、まともに寝られていないらしいひどい顔の坂上。初のソロ活動の真っ最中だというのに、坂上の頭にはアズマのことしかないのか。
「で、話はそれだけなのかよ?」
福島の鋭い言葉に、坂上はぽかんとした表情になった。なにを言われたのか、まったく理解できていないようでもある。
「この大事な時に、アズマさんのケツばっかり追っかけてる場合か?」
「うるせえ、大事な時だからこそアズマさんのことはちゃんとしたいんだよ!」
即答されて、福島はため息を飲みこんだ。
「あきらめの悪いヤツだな、もうとっくに答えは出てんだろうが。アズマさんに相手にされてねえじゃんか。アズマさんのことはあきらめて、ソロ活動しっかりやれよ」
坂上は顔を上げ、福島をにらみつけた。
「うるせえ! うるせえよ、俺は俺でちゃんとする! お前なんかに言われたくねえ!」
まるっきり、駄々をこねている子供だ。本人は気づいているのかどうか、肩が震えている。坂上の中では、感情がぐつぐつと煮え立っているのだろう。
「……そうか」
より濃くなるむなしさに、福島はぼそりと言った。
「なにもかもお前に取られてたまるかよ!」
牙を剥く獣のように叫ぶ。顔は真っ赤で、興奮しすぎて唇からはよだれが垂れている。福島はそんな坂上を見ていられず、かたわらの夜景に目を逃がした。
「なにもかも?」
なんのことか分からずつぶやく福島に、坂上はぐっとウーロン茶をあおった。グラスをたたきつけるようにテーブルに置く。
「社長が、ツアーのチケットも全然売れてないし、今後の売り方も考え直さないといけないってよ。もともとお前のファンの方が多いしな」
ウーロン茶で酔ったかのように、坂上がテーブルにゆらりと身を乗り出しながら言う。なるほど、坂上も追いつめられるはずだ。柴田直々に、よりによってこのタイミングで坂上にマネジメントサイドとしての考えを告げるとは。
「マジか……」
福島はつぶやき、思わず天井を仰いだ。
「なんだよそのリアクション、ふざけやがって!」
バリバリと乱暴に頭をかく坂上の、すさんだ表情。こんな状態でステージに立たせていいのか、と福島は不安を感じた。
「もう、これ以上お前とはやれねえわ」
吐き捨てるように坂上。当然だろう。むなしさ、怒り、かなしみ、軽蔑、惜別。胸を渦巻く様々な感情の波がおさまるまで、福島はかたわらの都心の夜景を眺めた。そして、言う。
「俺は、五年の節目で解散するのがいいと思う」
ゆっくり吐き出した言葉に、坂上は目を剥いた。
「冗談じゃねえ、ふざけんな! このまま即解散だろうが! あと一年もお前みたいなのとやれるわけねえだろ、クズが!」
テーブルに拳をたたきつける坂上。がしゃりと食器が鳴っても、福島はあくまで冷静な態度を崩さない。
「ああ、クズはクズ同士よろしくやるから、お前はアズマさんにはもう関わるな」
「うるせえ! うるせえ、うるせえ!」
淡々と言う福島に、坂上が吠える。こんなヤツじゃなかったはずだ、と思うと、坂上の顔を見ているのがますますつらくなってくる。
「よく考えろ。いきなり解散するのは、俺達自身のためにも、事務所的にも、なによりファンのためによくねえよ。周りに迷惑だ」
厳しい顔で坂上をなだめるような仕草をする福島。坂上は憎々しげに舌打ちした。
「迷惑だ? よく言うぜ」
乱暴に飲んだウーロン茶が少しこぼれた。おしぼりを差し出そうとする福島をにらみつけ、坂上は服についた雫を雑に払う。
「お前はもう少し周りを見ないと、これから苦労するぜ? この業界、ビジネス上仕方なく仲いいふりして活動続けてるグループだっているだろ」
「うるせえ、俺に説教なんてできる立場かよ」
やはりもう、ユニットとしての活動は終わりか。ため息をこらえて、福島は言葉を続けた。
「お前だって、ずっとこの業界でやっていきたいんだろ? だったら、水面下で解散とその後のための準備して、ファンのためにも円満な解散だってことにして次に行った方がいい。理由づけもちょうどいいだろうが。ソロやった後ユニットに戻ってみたけど、やっぱりお互い別々にやりたくなったってことで」
坂上はぽかんと口を開けて福島を見た。言われたことが理解できないようにも見え、福島はそっと笑う。やはり終わりか。いや、そう判断するのはまだ早いか。だが、坂上の口からは言葉が出ない。
「しばらく考えて、また話そう」
これ以上、まともに話しあうのは無理だろう。言葉をなくした坂上に福島はそう判断し、尻ポケットから財布を取り出した。五千円札を出してテーブルに置くと立ち上がる。
「お前は嫌かも知れねえけど、ツアーはどっかで見させてもらうぜ」
フリーズしてしまったかのようになにも言えないままの坂上にそう言い残すと、福島は個室を出た。引き戸を閉めて歩き出した途端、背後でガラスが割れるような音。だが、戻ることはしなかった。
薄暗く感じるほど照明が抑えられた店内を出て、一人でやたらと明るいエレベーターに乗り、駐車場まで下りる。思わず漏れた大きなため息が、エレベーターの中で響いた。
まさかマネジメントサイドから、坂上にもあの話がされているとは思わなかった。それほどまでに坂上のソロツアーはチケットが売れていないのか。それにしてもまだアルバムも発売前だし、ソロツアーも始まっていないのに、タイミングが早すぎないか。頑張って欲しいと尻をたたいたつもりかも知れないが、逆効果になっているとしか思えない。
このまま解散ということになるだろうか。でもそれよりも、心配なのはアズマのことだ。坂上はなおもあきらめきれず、アズマに接触するつもりだろう。守らなくては。
通された個室は、黒を基調としたシックな内装で、よく行く安い居酒屋のように壁にメニューが貼られたりなどしていない。窓側は一面ガラス張りになっており、周辺や遠くに見える高層ビルの明かりや道路を流れていく車の光が冴えて美しい。新宿らしきビル群も見える。
「待たせたか」
坂上に声をかけても、返事はない。黒光りするテーブルを前に座る坂上は、早く来て福島を待ち構えていたようだ。坂上はメイクだと思いたいほどに顔色が悪く、目の下のクマもさらに濃くなったように思える。いつもきちんとセットしていた髪もセットされておらず、猫背気味に椅子に座り据わった瞳で福島を見る。さすがに福島は不穏な雰囲気を感じた。
「さて、さっさと本題に入ろうか」
二人ともウーロン茶にし、適当に何品か頼んだつまみが揃うと、乾杯もないままぐっとウーロン茶を飲んで坂上が言う。福島は少しの緊張を感じながらも、普段と変わらないように見せようとゆっくりとなんこつの唐揚げを口に運んだ。
「遠慮せず訊くわ。お前、アズマさんと寝たのか?」
いきなりまっすぐに切りこんで来る瞳。どす黒い刃のような言葉。
「いくらなんでも、いきなり露骨すぎんだろ」
福島は苦笑でいなした。だが坂上の表情は変わらない。福島は最近よくつけているネックレスを、意味もなくいじりながら答えた。
「ま、いいわ。きのうもアズマさんちに行ったよ」
その一言は、坂上を絶句させるのに充分だった。
きのうも? 俺はアズマさんがどこに住んでるのかも正確には知らないのに? つい最近どうこうなったわけじゃないのか?
そんな疑問が渦巻いているのだろう、神経質そうに眉をつり上げて黙ってしまう坂上。
「お前はたぶん、すげえいろいろ勘違いしてると思う。俺とアズマさんの仲はもう二年近くになるよ」
なにも言えなくなった坂上の言葉を待つように、福島はつまみに手をつけ、ウーロン茶を飲む。
「二年……?」
ぴくり、と引きつる顔。
「わりい、俺もさすがにさっさと本題に入りすぎたかな」
チーズフライをもぐもぐと食べながら言う。坂上には勝者の余裕に見えているのだろう、必死に怒りを抑えているのがありありと分かる。事実を言っただけだが、だいぶ煽ってしまったかも知れない。
「じゃ、じゃあアズマさんはお前がいながら俺ともずっと寝てたって……?」
その言葉は福島に向けられているようで、向いていない。坂上は目を泳がせ、ひとり言のように言う。
「……なんだよそれ、クズじゃねえか……」
ぼそりとつぶやく。アズマがそんなことをする人間だとは思いも寄らなかったのか、「クズ」と言う坂上の唇にはとまどいが感じられた。
「お前には許せないだろうな」
「許せるわけねえだろう、お前はなんでそんなアホ面で笑ってんだよ! そうやってなにも知らない俺のことを笑ってやがったか!」
上気した顔で怒鳴る坂上の目は充血していた。怒りのあまりか、それとも涙をこらえているのか。
「アホ面か。まあ、俺のことはどう言おうが構わねえけど」
じっと見つめる福島の瞳に、一瞬坂上がおびえたように見えた。確かに体格的にも、もし殴りあいのケンカになったら負ける気はしない。坂上には学校の授業以外に運動経験がないらしいが、福島は子供の頃から野球、柔道、水泳など興味の赴くままに経験し、今もジムに通っている。
「アズマさんが、そんな……まさか」
うつろな表情でつぶやく坂上。福島はなんだかむなしくなってきた。ソロ活動のプレッシャーもあるのかも知れないが、まともに寝られていないらしいひどい顔の坂上。初のソロ活動の真っ最中だというのに、坂上の頭にはアズマのことしかないのか。
「で、話はそれだけなのかよ?」
福島の鋭い言葉に、坂上はぽかんとした表情になった。なにを言われたのか、まったく理解できていないようでもある。
「この大事な時に、アズマさんのケツばっかり追っかけてる場合か?」
「うるせえ、大事な時だからこそアズマさんのことはちゃんとしたいんだよ!」
即答されて、福島はため息を飲みこんだ。
「あきらめの悪いヤツだな、もうとっくに答えは出てんだろうが。アズマさんに相手にされてねえじゃんか。アズマさんのことはあきらめて、ソロ活動しっかりやれよ」
坂上は顔を上げ、福島をにらみつけた。
「うるせえ! うるせえよ、俺は俺でちゃんとする! お前なんかに言われたくねえ!」
まるっきり、駄々をこねている子供だ。本人は気づいているのかどうか、肩が震えている。坂上の中では、感情がぐつぐつと煮え立っているのだろう。
「……そうか」
より濃くなるむなしさに、福島はぼそりと言った。
「なにもかもお前に取られてたまるかよ!」
牙を剥く獣のように叫ぶ。顔は真っ赤で、興奮しすぎて唇からはよだれが垂れている。福島はそんな坂上を見ていられず、かたわらの夜景に目を逃がした。
「なにもかも?」
なんのことか分からずつぶやく福島に、坂上はぐっとウーロン茶をあおった。グラスをたたきつけるようにテーブルに置く。
「社長が、ツアーのチケットも全然売れてないし、今後の売り方も考え直さないといけないってよ。もともとお前のファンの方が多いしな」
ウーロン茶で酔ったかのように、坂上がテーブルにゆらりと身を乗り出しながら言う。なるほど、坂上も追いつめられるはずだ。柴田直々に、よりによってこのタイミングで坂上にマネジメントサイドとしての考えを告げるとは。
「マジか……」
福島はつぶやき、思わず天井を仰いだ。
「なんだよそのリアクション、ふざけやがって!」
バリバリと乱暴に頭をかく坂上の、すさんだ表情。こんな状態でステージに立たせていいのか、と福島は不安を感じた。
「もう、これ以上お前とはやれねえわ」
吐き捨てるように坂上。当然だろう。むなしさ、怒り、かなしみ、軽蔑、惜別。胸を渦巻く様々な感情の波がおさまるまで、福島はかたわらの都心の夜景を眺めた。そして、言う。
「俺は、五年の節目で解散するのがいいと思う」
ゆっくり吐き出した言葉に、坂上は目を剥いた。
「冗談じゃねえ、ふざけんな! このまま即解散だろうが! あと一年もお前みたいなのとやれるわけねえだろ、クズが!」
テーブルに拳をたたきつける坂上。がしゃりと食器が鳴っても、福島はあくまで冷静な態度を崩さない。
「ああ、クズはクズ同士よろしくやるから、お前はアズマさんにはもう関わるな」
「うるせえ! うるせえ、うるせえ!」
淡々と言う福島に、坂上が吠える。こんなヤツじゃなかったはずだ、と思うと、坂上の顔を見ているのがますますつらくなってくる。
「よく考えろ。いきなり解散するのは、俺達自身のためにも、事務所的にも、なによりファンのためによくねえよ。周りに迷惑だ」
厳しい顔で坂上をなだめるような仕草をする福島。坂上は憎々しげに舌打ちした。
「迷惑だ? よく言うぜ」
乱暴に飲んだウーロン茶が少しこぼれた。おしぼりを差し出そうとする福島をにらみつけ、坂上は服についた雫を雑に払う。
「お前はもう少し周りを見ないと、これから苦労するぜ? この業界、ビジネス上仕方なく仲いいふりして活動続けてるグループだっているだろ」
「うるせえ、俺に説教なんてできる立場かよ」
やはりもう、ユニットとしての活動は終わりか。ため息をこらえて、福島は言葉を続けた。
「お前だって、ずっとこの業界でやっていきたいんだろ? だったら、水面下で解散とその後のための準備して、ファンのためにも円満な解散だってことにして次に行った方がいい。理由づけもちょうどいいだろうが。ソロやった後ユニットに戻ってみたけど、やっぱりお互い別々にやりたくなったってことで」
坂上はぽかんと口を開けて福島を見た。言われたことが理解できないようにも見え、福島はそっと笑う。やはり終わりか。いや、そう判断するのはまだ早いか。だが、坂上の口からは言葉が出ない。
「しばらく考えて、また話そう」
これ以上、まともに話しあうのは無理だろう。言葉をなくした坂上に福島はそう判断し、尻ポケットから財布を取り出した。五千円札を出してテーブルに置くと立ち上がる。
「お前は嫌かも知れねえけど、ツアーはどっかで見させてもらうぜ」
フリーズしてしまったかのようになにも言えないままの坂上にそう言い残すと、福島は個室を出た。引き戸を閉めて歩き出した途端、背後でガラスが割れるような音。だが、戻ることはしなかった。
薄暗く感じるほど照明が抑えられた店内を出て、一人でやたらと明るいエレベーターに乗り、駐車場まで下りる。思わず漏れた大きなため息が、エレベーターの中で響いた。
まさかマネジメントサイドから、坂上にもあの話がされているとは思わなかった。それほどまでに坂上のソロツアーはチケットが売れていないのか。それにしてもまだアルバムも発売前だし、ソロツアーも始まっていないのに、タイミングが早すぎないか。頑張って欲しいと尻をたたいたつもりかも知れないが、逆効果になっているとしか思えない。
このまま解散ということになるだろうか。でもそれよりも、心配なのはアズマのことだ。坂上はなおもあきらめきれず、アズマに接触するつもりだろう。守らなくては。
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