泉界のアリア

佐宗

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第三部 天 獄

42淫劇②※

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 …いつのまにか天上界アルカディアの陽も陰り森々とした夜が訪れたようだ。
 ただ天上界の夜は、地上界のそれと異なり、完全に陽が落ちるということはない。夕刻、雲間に陽が沈みかけても薄暗くなる程度で、姿を隠しきらぬ斜陽の仄かな橙光が残る。そして月神一族の運んだ月の光をも得て、世界は昼間以上に、幻想的な仄灯りに包まれた宵夕の景を得る。

 白夜のかそけき条光が、この部屋にも薄く差し込んでいた。
 だがそれすらも、天蓋の奥で陰惨な情事を続ける彼らの眼には映らない。

 寝台から半ばこぼれおちて床に白い波形を描くシーツが、繰り広げられている淫劇を物語っている。

 

 汗に濡れたナシェルの貌は恥辱の波に呑まれて尚、壮絶なまでに美しい。
 荒い息をつくたび顎の曲線が震え、胸の熟れた果実のような突起が上下する。
 紅く染まっているのは頬や胸だけではない、全身が昂揚している証拠に薔薇色に染まっていた。淫らな姿を晒しながら、ナシェルは狂乱した己を恥じるかのように濡れた瞼に夜空色の瞳を隠すのだった。
 その凄艶な様子を見て、レストルの心は再び掻き乱される。

(俺のモノで埋め尽くしてやる……)

 レストルは弟に、ナシェルの後ろ手に戒めた紐をほどくように命じた。
 アドリスが手首をほどく。
 ナシェルは休む間も与えられず今度は四つ這いにさせられた。

 ふらふらと両手をついたその眼前に、腰袴をくつろげたアドリスが立つ。
 間髪入れず、アドリスの怒張がナシェルの口の中に突き込まれた。

「ん……ぐ……っふ……!」
 喉奥まで太いものが一気に押し入ってくる。ナシェルは目尻に涙を溜め、出来る限り喉を開いて受け入れる。

「こっちの口もたくさん男を知ってるのかなァ? 上手にやんないと、どうなるか分かってるよね」
 アドリスがナシェルの髪を掴んで顔の前で律動を始めた。
「ん゛……ん゛……!」

 一方のレストルはナシェルの背後から双丘を掴み、淫らに濡れた秘蕾をさらけ出させるように左右に割り広げた。己の服を寛げ、勇ましいものを取り出すと、ナシェルのひくつく後庭に茎をおしあてる。

 ナシェルは反射的に逃れようとするが尻を捕まれて身動きが取れない。口内にもアドリスの肉棒が刺さっている。どう足掻いてももう受け入れるしかない。
 ……次の瞬間、秘蕾のなかに押し入ってきた強烈な異物感にナシェルの口から悲鳴があがる。
 否、悲鳴を上げようとしたが喉からくぐもった音が出ただけだ。

「……ぐ……ッん!」
「ふふ、どうだ?」

 孔の具合を確かめるように、最初ゆっくりと雄を侵入させてきた男は、半ばあたりで動きを止めて奥までは踏み込まず、今度は尖端付近までそれを抜いた。そうしてまた半ばまで中に収める。

 徐々にゆるやかな蠢きを開始する。

「ん―――、ふ……ぐ……ッ」
  白い尻を震わせて受け入れるナシェルの喉から呻きが漏れる。

「わあ……すげー眺め……」
 ナシェルに口取りをさせながらアドリスが、貫かれたその肢体を見下ろし感嘆の声を漏らす。
「中も蕩けそうだ。食らいつくみたいに俺を呑み込んでる。よほどコレが嬉しいらしいな。尻が揺れてるぞ」

 レストルからも猥雑な言葉で辱められる。ナシェルは羞恥に染まりながらも必死に己を保とうとした。

(――くそ……もう、……せめてはやく、はやく終われ……)

 ナシェルは何とか早くこれを終演に持ち込もう、長時間楽しませてなどやるものかとアドリスの陰茎を喉奥いっぱいに呑み込み、下腹の括約筋に渾身の力を込めた。

 烈しい緊めつけに襲われ、兄弟の唇から荒い吐息が漏れる。
「うッ……」
「はぁっ……、」

(くそっ……さっさと達け……はやく、)
 口を使ってアドリスを追い込み、肉襞でレストルを締め上げながら、ナシェルはひたすら念じた。

 アドリスのほうはそうこうするうち思惑通り快感に堪えきれなくなったのか、一層強く腰を使い始めた。

「ああ……ヤベ、俺いっちゃいそうだよぉ」
「もう限界か? 早漏かよ」
「だって……! こいつ、舌と喉で……俺の先っぽスゲー締めてくんの……こんなのはじめて……っはぁ……んっ」


 しかしレストルのほうは、しばらく静止して解き放ちかけた欲望を抑え込むと、

「う……なかなか、やるじゃないか……褒めてやる。いい締め付けだ」
と嘲笑い、再びナシェルの中に性器を深く埋め込んできた。

 譬えようのない快感に、秘部を窄ませることも忘れ、ナシェルは目を見開くようにして苦しげな声を放った。
「んッ――……んッ……!」

 声を出すと喉の振動でいよいよアドリスの快感が高まる。
「ああぁ――出すよ……っ、」
 ナシェルの口のなかで暴れていたアドリスが、とうとう爆ぜた。
「―――ッ」

 肉棒が瞬間的に膨張し、喉の奥に苦いものが広がった。
 ナシェルは呑み込まぬよう喉を窄め、アドリスが陰茎を口から抜くのと同時に白濁をシーツに吐きだした。

「……ッげほっ……がはっ……」

 腕から力が抜け、顔から寝台に突っ伏す。ほとんどは吐いたが幾ばくかは喉の奥に入ってしまった。
 嘔吐感が込み上げてくるが咳き込む間にも、後ろのレストルがさらに責めたててくる。

(くそっ、さっさと達け、しぶとい奴……)

 レストルが今度は己の弩形の根元を持ち、ぐりぐりとナシェルの肛孔を荒らしてくる。
 先に吐精したアドリスは見学に回るつもりか、身悶えるナシェルの傍らに肘をついて寝そべり苦しげな表情を覗き込んでくる。

「エロい顔だなあ……それにフェラの上手さ半端ないね。あんな技巧テク、誰に教えてもらったのさぁ」


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