泉界のアリア

佐宗

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第四部 至高の奥園

57至高の奥園③※(END)

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 王の手が後ろに回されて双丘を割り、指がぬちぬちと侵入してくる。ナシェルは淫らに膝を開いて王の腰に擦り寄った。
 すぐに指の数が増やされ、かき混ぜるように淫らな動きになった。ナシェルの希望を叶えるためか、今日の父は焦らすこともなく性急だ。嬉しかった。
 快楽の壺を指の腹で丁寧に蕩かされて、呼吸がさらに浅く乱れ、湿り気を帯びた掠れ声にかわる。

「っぁは、ぁ……っん、ソコ、だめ、父上ぇ……イっちゃう――やぁっ……!」

 足をばたつかせ、父の肌に爪を立てて絶頂の波から逃れようとする。昇りつめようとする躯と自制を働かせる脳が鬩ぎあい、全身ざわざわと身震いした。
 意を得た父は、奥のしこりをつつくのを止めて指を引き抜く。

「―――んんっ」

 再びぴったりと覆いかぶさってきた王につかの間唇を奪われ、キスに意識が向いた途端、下肢の間に隆々とした屹立がぬるりと宛がわれた。

「もう挿れるよ……、息、吐きなさい……」

 唇を離した王が至近で命じる。……や否や、強烈な圧迫感が体内にぎちぎちと押し寄せてきた。

「……ひっっぃ! ぅぐ………!!」

 びくりと腰をのけ反らせるも、なるべく息を吐いて受け入れる。
 あまりの圧迫感と多幸感に、眦に溜まった水分がほろほろと目の横を伝い落ちた。
 王はナシェルの片足をそっと抱え上げ、丁寧に自身を沈めてゆく。
 内部のきつさに少し、王の息が乱れ、美しい眉が顰められる。

 自分の粘膜が父に余裕を無くさせていると分かって、ナシェルは束の間の優越感に浸る。

 ……やがて繋がりを深めた王が、ナシェルの腰をしっかりと抱きかかえて前後に動き始めた。
 最大径の雁首が深いところから浅いところへ一息に移動する。

 王の肉塊が体を下から上まで一気に貫いて、またぎりぎりまで引き抜かれ、再びぐさりと太い剱で体幹を刺される。雁首に内臓ごとすべてを持っていかれそうな、えもいわれぬ快美な衝撃が脳髄を駆け抜ける。

「っ…んん……はッ…んぁ……ッんぅ―――、」

 ナシェルは王の首に無我夢中で取り縋り、王の律動するのに任せて揺れ動いた。
 繋がったその器官は嬉しげに王の肉を食み、約束のものを一刻も早く得ようと奥の緊めつけを強める。

「ナシェル……良いのはここ……、だな?」
「ぅん、うん――ソコぉ……、はぁ……父、上…ちちうえ……イイの、――もっと、奥……突いて…!」

 全身を薔薇色に染めて善がり狂う。
 懇願が聞き入れられ、秘部の最奥が亀頭の先でごりごりと擦られる。己が喜悦の声を上げるつど、王の肉棒がいよいよ熱き鉄杭の如く硬さを増すのを感じた。

「ひン……ぁああぁ――ぃ、い……ッっ……ぃ……っ!」

 ナシェルの声色がだんだん啜り泣きのような悲痛なものに変じていくのを聞きとり、王が動きを速めた。
 じゅくじゅくとした結合音に、腿のぶつかる乾いた音が重なる。
 揺れる頭を片手で抱きかかえられ、はっと我に返ると父の眸がすぐそばにある。
 互いに淫慾に澱んだ眼差しを、ねっとりと絡め合った。

「今日は一緒に逝こうね……?」
「っうんっうん、イく、いく―――イって、出して……あついの出して……!」

 ぎゅうと下腹に力を込めて見上げると、父の陰茎が愈々力を増し抽挿が激しくなった。

「っ……ふ……!」

 王は深い呼吸音とともに昇りつめ己を解放する。
 熱い飛沫がナシェルの最奥の一点に打ちかけられた。

 内膜の中で王がどくどくと激しく脈動する。
 瑞々しい神司が全身に染みわたるのを感じた。……止められない麻薬。
 同時にナシェルも脳天が弾けるような眩きに包まれて、瘧のように全身を震わせ、悲鳴とも喘鳴ともつかぬ声を上げながら己の腹の上に吐精した。

「……ぁあああ……っ!………」


 ぐ、ぐ、と白泡を内壁に擦り付けるように、王の逸物が中で何度も爆ぜた。
 狂おしい愛慕の情が、並みならぬ量の精液となって叩き込まれる。
 嬉しくて気持ちよすぎて、魂が恍惚の波に持っていかれる。

  頭の中が白く霞んで、しばらく王の肉を咥え食んだまま放心した。



 …虚脱していると、汗と涙で頬にはりついた髪を、王が指で掻き分け覗き込んでくる。

「……もう一回、する?」
「ん、するする。……シて……」

 何度も頷き王の首に腕を回した。父の手が応じるように優しく背に回される。

「……愛しているよナシェル。ずっと愛してる、そなただけを……」
「私も。愛してます……」

 唇を交わしながら幾度となく囁き合った。
 変遷してきた王への感情は今や、全てひとつの焦熱へと集約されていた。ナシェルは王の腕の中で、滾るようなその想いを唇に込め繰り返す。

「愛しています……私の王」




 窓際では、床にとどく薄絹の紗幕カーテンが、音もなく揺れている。離宮の白壁に合わせて銀糸で織られたものだ。

 やがて閨の中から再び上がり始めた愛欲の喘ぎを、テラスの脇を流れる滝のさらさらという水音がかき消す。

 湖畔の離宮を、無限の夜の闇が艶やかに穏やかに、包み込んでゆく。



 霧のほとりの閨はこの宵、闇の神の手で、至高の奥園と化した。
            


     


『泉界のアリア』 了




​───────




本編はここまでとなります。
ご愛読、誠にありがとうございました。
著者ページに作品のあとがきのようなものを追加しますので良かったらご覧下さい。

これ以降は本編後の番外編となります。
しっとりした雰囲気のものや、明るいノリの短編など様々あります。
よろしければ引き続きお楽しみ下さい。

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