記憶を失くした荷物持ちの復讐

3章：荷物持ちの復讐

皇小夜

Side:皇小夜

「小夜さん、皇家のくせにこんな事もできないんですか？」
「すみません」
私は、S級ハンターの皇尊の四女なのに、E級ハンターで今はSTTギルドで受付をしています。

「妾の子は本当に才能がないですね。あなたのお兄さんやお姉さんは、A級ハンターとして活躍しているというのに」
彼女は、父の第一秘書で愛人の、B級ハンターでもある綾瀬さん。
私は、彼女に会うと小言を言われる。私には才能がない。

「唯一、あなたにできたのって、3歳になる娘が覚醒して潜在能力がS級ってとこよね」

そう、私は、4年前にA級ハンターの時任悟さん、今は皇悟さんと結婚し翌年佳代を生んだ。
私の娘は才能があり、3歳ですでに覚醒している。

「はい」
「何自慢？娘さんのお迎えね。今日は帰っていいわよ」

「ありがとうございます」
お礼を言って、私は着替えて急いで娘が通る覚醒者が通う幼稚園へ迎えに行く。

「小夜さん、佳代様は悟様が迎えにきて帰りましたよ」
「そんな、連絡くれたって」

「どうせお飾り妻なんだし、無理に迎えに来なくても」
私は名前だけ、そして幼稚園の先生からもお飾り妻を嘲笑れている。陰口なんてもっとひどいのを知っている。

自宅マンションに帰れば、悟さんと佳代、そして姉の千佳がいかにも我が家のようにいる。
「ただいま戻りました」
「おい、飯つくれ。」
悟さんは私を見る事なく言う。

「悟さん、ケータリングでも頼みましょうよ。私、あの人の和食料理飽きたわ」
「そうだな、ばば臭いしな。佳代は何をたべたい？」

「お父さん、私、ピザ食べたい」
「佳代ちゃん、イタリアンにしましょう」

「お前は目障りだからどっかいけ」
無言で私は三畳しかない自室にいく。

きっと佳代は私の事を母親だと認識していないかもしれない。
笑い声が聞こえるのがつらく耳をふさぐ。

そして、いたたまれなく辛い私は、マンションの部屋を飛び出した。