【白銀の黒帝:4】精霊と無能者

八木恵

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5章:学園都市編

弟子たちの気づき

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俺たちが島から食堂に戻るとカールも帰ってきており、中庭でみんなで俺の作った料理を食べながらエール、ワインを飲んで寛いぐでいる。

「あの師匠、前回行った時は気づかなかったけど、ここの世界と神獣竜界ってマナの量が違くないですか? 
 ここの世界のほうが少ないのは人口のせいなんですかね」というレイモンド。 
「今回、俺も感じた。」ってリオン。

そんな、リオンとレイモンドの発言に、
「成長しましたね、シュンさん」ってカール。
「ああ、成長した」って俺。
「ああ、だな。 ほとんどの奴が気づいてないがな。 この世界のマナが徐々に減ってんだ。 正しくは循環してね。 何でだとおもう?」

そんな俺の質問に、リオンもレイモンドも悩み考えている。

「もしかして、光と闇。 浄化と消滅がないから」というリオン。
「まぁ、近いな。 正しくは浄化されねーから循環しないだな。」というと、リオンもレイモンドも悩みだす。 
この世界の仕組みみたいな事だし、人間には調べてもわからない内容だ。
 
「説明したほうが早いな。
 演唱魔法も魔物も神獣も、マナを取り込んで魔法を使っている。 
 魔術だけだおのれの魔力のみを使うのは。 とはいえ、少し使うが、等価率で放出するから問題ない。 
 が、演唱魔法や魔物も神獣は、マナの取り込み量と放出が絶対的に放出が少ないんだ。
 人間も魔物も神獣もだな、死んで浄化すると取り込んだマナが放出されるんだ。 
 だからよ、食料以外の魔物を大量に討伐した時は、神獣も人間も魔物も浄化していた。 
 しなくても自然と浄化されるが時間がかかるんだ。 かかる時間って数十年、数百年単位だったりな。 
 それでも循環する。  そして、今、何かが異常にマナを取り込んでいるんだ。 そいつが原因だ」といってタバコに火をつけて一服する。

「カールはまず魔族でここの世界のものではない。 俺もリンも、この世の理とは異なる存在だ。 
 ここの世界の問題は、ここの世界のもの達で解決するのがこの世の理なんだ。 
 だからな、俺らはあくまで傍観者でいなければならん。 
 そして、お前らはここの世界の者だ。 全てを教えられねぇーんだ。
 お前らというか、ここの世界の者で真実を見極めていくしかな。 今いえるのは、これまでだ。」というと、リオンとレイモンドも頷く。 

「今みてぇーに疑問がありゃ、聞けば答えるさ。 答えられる範囲でな。」とタバコをふかしていう。
「シュンさんが、珍しいですね。」ってカールに言われた。確かに。
「そうかもな。 イアン達との付き合いと同じぐれー一緒にいるからかもな。
 が、イアン達よりまだまだ弱えけどな」っていう俺。 
人間との付き合いで俺が思い出す比較対象って、イアン達ぐらいしかいない。

「イアン達って誰っすか?」というリオン
「あー、0番隊の隊員メンバーだ。」
「そう言えば、知りたかったんすけど、何で『白銀の黒帝』って名がついたんっすか?」ってリオン。

それは指摘されたくねぇー。
「俺もしりてぇーよ 二つ名とか恥ずかしいだろ。」と俺は苦笑いした。 たいした話しではないから教えた。

それから、俺は、13歳で隊長になったため素性を隠す必要があったのと、女嫌いのため顔かくす必要があり、始めは魔武器の大剣の色から『白銀』と知らないうちに二つ名がついた事。 
そして、帝になった時に好きな色は何だと言われ黒と答えたら、『黒帝』または『白銀の黒帝』と呼ばれるようになったと話す。 
カールも知らなかったみたいで、リオンが「歴史の真実って面白いっすね。」と笑う。 

「帝国軍15万を退かしたとか、30万を殲滅したとかっていうのは?」というレイモンドの質問に、
リンも笑いながら「真実だ。 15万は、前にいった例のシュンが王国軍の演唱魔法を聞いて笑いを堪えるのに必死で白炎はなったら誤爆したそうだ。 30万の時はな」といって爆笑するリン。 

「リンだってあん時大真面目でいってたじゃねーか!
  あん時な一般常識が今よりも酷くてな、身長が低かったから魔力が増えれば伸びるんじゃねぇかって思って、
 ちょうど30万だから試しに魔力ほぼ使いきろうとぶっ放した結果だ。」って、俺が爆笑しているリンの代わりにいう。 

すると、リオンもレイモンドも笑っている。
「師匠に忠誠心とか愛国心なんてあるはずないから、なぞだったんすよね。 すげー納得しました。」
「歴史の裏の真実は面白いでしょ」というカールに、リオンもレイモンドも笑いながら頷く。  

リオンとレイモンドの成長と共に、俺も彼らとの会話が増えていくのであった。

◇◇◇
学園が始まるまでは、日中は島で訓練して、夜は食堂で過ごしていた。
学園が始まる前日の夜、
「お前ら、ダンジョン攻略が途中までだったな。 攻略どうする?」
「続けたい。」
「ああ、続けたいっす」という、レイモンドとリオン。 
「んじゃぁ、隔週で日曜を島とダンジョンでどうだ? ダンジョンは、2匹は小型化のままな。 」というと、ガキ共は立ち上がりハイタッチして「やったー」と喜んでいる。
「今週の日曜はダンジョンな」と俺がいうと 「「はい」」と元気に返事するのだった。

実は、俺とリンは、ここ毎夜ダンジョンの間引きにいっていたのである。 
3ヶ月近く不在であったのとダンジョン課も活動していたが間に合わず、昨夜は虫階層だった。 
それもあって、リオンとレイモンドのダンジョン攻略の解禁をきめた。 
リンの心の中では、蟻地獄を味わえと悪い笑みを浮かべていたが、浮かれたガキ共は気づかない。

学園後期初日、学園長からの手紙でベルゼとノトスを連れてくるようにという連絡があり、リオンとレイモンドは、頭の上に乗せ、周りには見えないようにして食堂を出ていった。 
始業より1時間早めの登校だ。

カールは彼らを見送ったあと「面白いことになりそうですね」といい、コーヒーを手にタバコをふかす俺は「どうだか」といい細く悪い笑みを浮かべておいた。
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