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第6章 少年期〜青年期 学園6学年編
12話 新メニュー決定!!
しおりを挟むはい、どうも僕です。現在、ダンジョンの“嗜好の海底神殿“から、宿泊先のマルキシオス侯爵家のお屋敷に戻ってきています。
今回僕達は、“学園祭“のための食材調達を目的と称して来ているので、調理担当の僕とソル、食材確保担当のイネオス、リリ嬢、ベイサン、ヘティ、ロシュ君、そして、学園からの引率役としてのヘリー姉様の合計8名で(ジュール達もちゃんといるよ!)、マルキシオス侯爵家のお屋敷に、“学校行事の一環“という形でお邪魔させて頂いてる最中です・・・
まぁ、本当の事を言えば、そう言う意味を持たせた、ただの夏休みのバカンスに来ているだけなんだけどね・・・あ、ついでに言うと他の家族は皆んな今年は忙しいって事と、僕達も、もう、15歳と言う年齢で親が付き添うような歳でもないと言うことから、学生最後の年の友人達だけでの旅行、いわゆる、“卒業前旅行“と言う意味でバカンスを楽しみつつ、新メニューの開発をするつもりだ。*ついでに言うと、飲み物は別達の人が担当だよ!
「よし、お昼ご飯も兼ねた試作品、出来上がり!と、皆んな、お待たせ!たくさん食べてね!」
そう言って出来立ての料理を次々と、用意されたテーブルの上に移動させると、
「「「「「わっ~!美味しそう!」」」」」
と、並べられていく料理に目を輝かせてイネオス達やヘリー姉様、マルキシオス家の皆んなが嬉しそうに声を上げる。
「ふふっ、召し上がれ」
「「「「「いただきます!!」」」」」
いますぐに食べたいと顔に書いている皆んなの表情に、笑みをこぼしながら料理を勧めると、お腹を空かせたイネオス達、男子組が真っ先にサンプルとして作った“魚のフライ“を指差し、メイドに取り分けてもらって、がっつき始めた。
(ふふふっ、今回は“白身魚のフライ“だけではなく様々な魚種の身をフライにしたから、味わいにレパートリーがあって何が当たるかは運だね!( ^∀^))
ベイサン「あ、これ、赤み?のフライだ!マグロの切り身かな?美味しい!」
イネオス「あー、僕は普通の白身だ、ん?でも、前に食べたのと少し違うような?」
ロシュ君「ん!これはサーモンだ!それにチーズも入ってる!美味しい!」
(お、ロシュ君当たりを引いたな(*´Д`*))
皆んなの美味しそうに食べる姿を見ながらほっこりしていると、
ソル「アトリー様、こちらをお食べください」
「あ、ありがとうソル」
と、いつも通り僕の分をお皿に取り分けて渡してくれるソル、僕はいつも適量を盛ってくれるソルにお礼を言いながら受け取り、ゆっくり食べ始める。
「うーん、このサーモンのマリネ、もっとお酢が効かせた方がいいかな?逆にツナマヨのマヨネーズはお酢が多過ぎたか?でも、カリカリの焼いたバゲットに乗せて食べるとそんなに気にならないから、こっちはこのままの方がいいのか??・・・」ブツブツッ・・・・
自分で作った料理の改善点を探しながら食べていると・・・
リリ嬢「・・・アトリー様、あ、あの、いつも思っていたのですけど、アトリー様のお食事はそんな少量で足りるのですか?」
「「「「「!!」」」」」
「・・・ん?あぁ、僕は燃費が良いからね、コレだけで十分なんだよ、それに、料理を作っている最中にも味見したりしているから、こう見えてもそこそこ食べているよ」
リリ嬢「・・・そう、なのですね???」
「ふふっ、そうなんだよ」ニッコリ
リリ嬢「っ!?・・・」
(や、やべぇ・・・“現人神“になって以降、食物でのエネルギーをあまり必要としなくなってから、食事量が減っていってるのを忘れていた(゜∀゜)・・・)
天華『またそんな誤魔化し方して・・・』
この世界の全ての人達は魔力を有し、魔法が使える、その魔法を使うために必要な魔力は、空気中に漂う魔素と言うものを体内に取り込み生成することで、体内に蓄積使用しているのだ、なのでその生成時にかなりの“体内エネルギー“を必要とする、その“体内エネルギー“は食べ物を食べることで補充できるので、男女問わずかなりの量の食事を食べる人が多いのだ。
*“体内エネルギー“とは・・・
全ての人の中にあり、人としての体の成長や生命維持、魔力を体内で生成するために必要なエネルギーの事。
前世で言ういわゆる、ゲームで“HP“や“スタミナ“などと言われるものに似ているが、“HP“のように枯渇したからといって死んでしまうような事はなく、“魔力“を生成する事ができなくなって、“魔力欠乏症“と言われる症状を引き起こす。
“魔力欠乏症“と言っても、命に関わるほどではないもので、ただ、体がだるくなったり、体を動かす事が難しくなったりするだけの症状だ。
そして、“体内エネルギー“は枯渇しても食べ物を食べることで“回復“、と言うより“補充“する事ができ、常に魔力の生成をする事ができる。
(“ジェムシードwiki天華より参照・・・)
元々僕の場合は、地球の“星、または自然エネルギー“と呼ばれるものが直接体内に流れてきてる為、それを生成できる身体であった事で膨大な魔力を常に生成保有しているので、魔力の生成に“体内エネルギー“を使用する事がない、なので、“体内エネルギー“を使用しているのは身体の成長や生命維持のみとなっていた事から、“体内エネルギー“の生成量が少なく、それに比例して数年前の僕の食事量も少なくて、少食と言われるほどだった・・・
そんな僕がさらに少食になった理由が、種族が“人族“から“現人神“に変わって、魔力の生成に必要な“体内エネルギー“だけではなく、普通の人間が身体の成長や生命維持に必要とする“体内エネルギー“も、“自然エネルギー“に半分切り替わってしまったため、生命維持に必要とされる“体内エネルギー“が常人よりかなり少なくなってしまった。
なので、ここ最近では、もう、少食と言う範囲ではなく、お茶会で出されたお菓子を食べてる程度の量、まぁ、それでも前世で言う一般女性の食事量とあまり変わらないのだが・・・
こっちの世界の人は魔力保留量の少ない一般女性でも、前世での一般男性並みに食べるから、魔力をたくさん生成保有する一般貴族女性は少し大食いの男性並みに食べる、そんな、人からしたら僕の食事量は異常なほど少なく感じるのだろう・・・
そして、僕の食事事情を知らない人が、一緒に冒険者活動をするようになったばかりのリリ嬢と、まだ幼いマディラ、マルキシオス侯爵家の使用人さん達、なので、この話題が出た時は元々僕の食事事情を知っていた、ソルやイネオス達幼馴染勢やヘリー姉様、マディラを除くマルキシオス一家は一瞬緊張したが、僕はうまく(結構ゴリ押しで)誤魔化した。
(まぁ、“体内エネルギー“をあまり使用しないから、そんなに食べていないだけで、“体内エネルギー“を溜め込めないわけではない、なので食べようと思えば食べられるけど、・・・( ̄▽ ̄)いかせん、長年こちらの人から見たら少食だった僕の胃の容量が小さい、そこに最近の食事量に慣れてしまっているから、さらに胃が小さくなってて、たくさん食べる事ができないんだよねぇ(*´ー`*)食べる事自体は好きなんんだけど、今の食事量が前世と同じぐらいだから、結構満足できるんだよなぁ(*´Д`*))
春雷『それ以上食べると、ただ苦しいだけですものね・・・』
(そうなんだよねぇ(*´-`)最近はできるだけ少ない量で味が楽しめて、どれだけ多くの種類の料理を食べれるかって事が僕の食事の楽しみ方になってるんだよなぁ、飲み物も料理に合うものを選び抜いて飲むようにしているし、ソルもその事をかなり理解してくれていて、ああ、やって僕の為に料理を取り分けてくれているから、本当にありがたいよねぇ( ̄▽ ̄))
僕が少食な事に母様達も最初は心配そうにしていたんだけど、僕がその量の食事で満足そうにしているのを見て、徐々に慣れていった。なので、ここ最近一緒にお昼を取るようになったリリ嬢が、この僕の食事量を見て驚くのは仕方のない事だったりする。・・・まぁ、あと、マディラやマルキシオス侯爵家の使用人の皆さんと僕は長年のお付き合いだから、今更驚きはしないだけ・・・
と、言う感じで、少々ヒヤッとした所はあったけど、それ以外は皆んなで試作した料理を楽しく食し、それぞれの料理を採点し、改善点などが無いか話し合った。
今回、新メニューのための試作品として作ったものは結構な量があったが、その中でも皆んなに人気の料理が投票で数品に絞られた・・・
では!人気投票で選ばれた上位3位を挙げていくぞ!
まず、軽食部門!意外に人気だった一品目、第3位はコレッ!!“千切り野菜とツナマヨのブルケッタ“!
薄めに切ってカリカリに焼いたバゲットに、少しニンニクを混ぜたオリーブを塗って、千切りにしたキャベツや玉ねぎ、トマトなどを乗せる、その上から更にマヨネーズで和えた茹でたマグロを上に盛ったボリュームのある一品だ。
人気になった理由が、カリカリに焼いたバゲットの香ばしさに、食欲をそそるニンニクオリーブオイルの香り、そこに少しお酢の効いたマヨネーズの味が沁みたツナと新鮮な野菜の千切りの食感、全てがマッチしていて、食べ応えもあってとても美味しかった、との事。難点としては食べ歩きするにもテーブルで食べるにしても食べるのが難しい所だっとか・・・(皆んなよく食べるからなぁ(*´Д`*)・・・)
次に人気、第2位!“サーモンと野菜のマリネ“!!
捌いたサーモンを薄切りにして、薄切りの玉ねぎ、きゅうりと一緒に、お酢とレモン汁、隠し味に顆粒の鰹出汁を加えて漬けたあっさりとした味わいの一品。
これを気に入った人の意見は他の確定メニューが少し味が濃ゆく脂っこいけど、このマリネはあっさりとした味でレモンの風味が口の中をすっきり爽やかになるのがとても気に入ったそうだ。(夏バテ気味なのか?(・・?))
最後に、人気投票ダントツの第1位は!“チーズ入りサーモンフライのサンドイッチ“!!!
確定メニューの“白身のフライ“を作る際に、ふざけて数種類の魚の身をフライにし、その中で当たりと称してチーズを入れたものを、お口直しとして出して置いていた“海藻入りレタスサラダ“を一緒に、パンで挟んで食べた人達、と言うか、最初はベイサンがパンとフライは食べるのに、サラダだけは食べないから、僕がフライとサラダをサンドイッチにして食べさせたら、ちゃんと食べられたのだが、それを見ていた他の人達が真似して食べた結果、コレが1番食べやすく、健康的で食べ応えも良く美味しいと言うことで、ダントツの第1位に輝いた。(やっぱり皆んなガッツリ系が良いんだねぇ(*´ー`*))
次はデザート部門、上位3位を挙げていく!
デザート部門第3位!最も簡単なデザート!“南国カットフルーツの盛り合わせ“!
様々な種類の南国フルーツの皮を剥いて一口大にカットしてお皿に盛り付けただけの、最も簡単な調理、とは言えないデザートなのだが、コレが彩り美しく、食べやすいと言うことで第3位にランクインした。(全然料理してないよコレ・・・(*´ー`*))
次、デザート部門第2位は!すっきりさっぱりした甘さの、“レモンの果汁ゼリー“!!
レモンを半分に切って絞って果汁をたくさん集め、それに水と砂糖を少々加えて、鍋で温め、少し沸騰したタイミングで、ダンジョンのスライムから取れるゼラチンを溶かし加えて、よく混ぜて、粗熱が取れたら、用意した器に流し入れ、アクセントに輪切りにしたレモンを浮かばせて冷やすだけで簡単に出来上がるゼリーのデザート。
第2位の理由はすっきりさっぱりで程よく甘く、爽やかなレモンの香りにひんやり冷たい所がとても気に入った人が多かったようだ。(まぁ、今は夏だからなぁ、冷たい上にさっぱりしたのが欲しくなるのは分かるけど、“学園祭“は10月末の秋に開催だから、その時期的にレモンのゼリーはどうなんだろう?( ̄▽ ̄))
そして、デザート部門ラスト!第1位はっ!“ナタデココ入りフルーツポンチ“!!!
今回、ダンジョンで取れたフルーツのほとんどの種類を一口大に切った物と(フルーツの盛り合わせの余物WW)、ナタデココを軽く混ぜて、ダンジョン産の瓶ラムネを入れて取り分ければ出来上がりのお手軽デザート。
コレが第1位になった理由は、フルーツと炭酸ジュースの組み合わせが意外で、思っていた以上に美味しかったそうで、特にナタデココをかなり気に入った人からの票が多かった。
以上、軽食部門とデザート部門から“学園祭“の飲食店の新メニューに選ばれたのは、軽食部門から第2位の“サーモンと野菜のマリネ“と、第1位の“チーズ入りサーモンフライのサンドイッチ“の2つ!
デザート部門からは第3位の“南国カットフルーツの盛り合わせ“と、第2位の“レモンの果汁ゼリー“、コレは秋に取れるフルーツで作ることにして、2つが選ばれ、追加の新メニューは合計4つとなった。
あと、デザート部門の第1位が追加の新メニューにならなかったのは、液体のラムネが入っていることで、食べ歩きするのは難しいのと、夏には冷たくて美味しいが、秋だと微妙だろうと言うことで新メニュー入りできなかった。また、軽食部門の第3位の“千切り野菜とツナマヨのブルケッタ“は食べ歩きするのは向かないと同じ理由で却下になった・・・(それぞれ、それ専用の使い捨てできる器を用意できたら新メニュー入りできたかもしれないけど、予算の都合上、深めの使い捨ての器が1種類と包み紙、使い捨ての串やスプーンだけで、料理を提供することになっているので断念したのだ・・・)
こうして、新メニューの開発はワイワイ楽しく決まり、その日、1日で終了した。滞在予定は約1週間と決めていたので、その日以降は食材の確保を兼ねて、皆んなで楽しく冒険者活動しながら夏休みのバカンスを楽しんだのだった・・・・
(ふぃー、1日で決まって良かったー、長引くと面倒になって適当になる所だったぜ(・Д・))
天華『やる気のゲージ短いですね・・・』
と、そんなツッコミを受けながらも、その日以降は全力で遊んだ僕だった・・・・(ちゃんと、食材調達もしたよ!( ^∀^))
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