間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜

文字の大きさ
284 / 502
第3章 少年期 学園編

198話 会場入り

しおりを挟む

 はい、どうも、僕です。現在、僕の周りはガッチガチに護衛騎士で固められてます。

 それは数分前の話し、“祭事服“の着付けが終わり、そろそろ外に出る準備もしないといけないかな?と思っていた頃、少し焦った様子で父様とサフィアス叔父様が僕の支度していた部屋に入って来た。僕の安否を気遣う2人に僕は何事かと問おうとした所、支度をしてくれていたオーリー達が僕と父様達の間に置いてあった衝立を撤去、すると僕を見た人達がフリーズ、その流れから拝みはじめた。何でこんなことになったかなぁ、と思っていたがしばらくすると父様が我に帰り再び僕の心配をし出してやっと話が進んだ。どうやら、着替えの途中に乱入してきた、自称、王城からのお手伝いといった女性使用人達の、捕縛&取り調べの報告が上がって来たことで、サフィアス叔父様が父様にその事を知らせ、一緒に安否を確かめに来たようだ。

 そして何故、僕の安否確認となったかと言う理由が、さっきカインも顔を顰めて聞いていた事が原因のようだった。

「・・・それで、その方が持っていた物が危ない物だったんですか?」

 父様達が急いできた理由を聞いていると、乱入女性が持っていた物がとても危ない物?だったらしい・・・

父様「それがどうやら、アトリーの禊の仕上げで使った“聖水の香油“の代わりに、女性が持ち込んでいた“不浄な香油“をアトリーに使おうとしてたらしいんだよ」

「“不浄な香油“?」

サフィアス叔父様「あぁ、鑑定にはそう記されていたそうだ、その“不浄な香油“を使うことで、“送還儀式“の要であるアトリーを呪おうとしていたようだ。呪詛の怨念をたっぷり含んだ香油でな・・・」

(怨念たっぷりの香油…そんな物を僕の肌に塗り込もうとしてたなんて、うぅえっ、気色悪っ!((((;゚Д゚)))))))ゾワゾワッ)

ジュール『アトリー、大丈夫?』

(ジュールーぅ、想像しただけで鳥肌がたったよぅ・・・)さすさすっ

 サフィアス叔父様の説明でゾワッと鳥肌がたった。たった鳥肌を抑えようと両腕をさすっていると、ジュールが僕の心配をして僕の膝の上に前足をポンッと置いてきた。その行動が可愛くて少しほっこりする。

父様「以前アトリーを傷つけたナイフと同じような効果があると、魔法省の研究者が報告してきたんだよ。それに他にも複数の呪詛媒体を所有していたと騎士からの報告もあって、アトリーに何かあったんでは無いかと心配になって飛んで来たんだよ・・・」

 そう言って父様は鳥肌が立ち、両腕をさする僕の肩を大きな腕で優しく包みながらそう言ってくれる。

「そうなんですね・・・やはりあの人達は邪神教の手の者だったんですね・・・」

 そんな父様の懐にすっぽりおさまりながらそう呟くと、父様達は険しい表情で沈黙した。

父様「・・・アトリー、それは何処で分かったのかな?」

 静かにでも強い声音でそう聞いてくる父様に僕は天華達から聞いた話をした。すると、話を聞き終わった父様達は深いため息を吐いた後、僕の頭を少し困った顔で優しく撫でてくれた。

サフィアス叔父様「そうか、神々もアトリーに全て話す覚悟で挑んでいるのだな・・・」

「しょうがないですよ、サフィアス叔父様、ここまで来ると僕に隠していてもすぐに分かることですし、今回の“儀式“はいい囮になるのは確かです。何も知らずに“儀式“を行うより事情を知った上で、行うとでは“儀式“での警戒度合いが変わります。僕も相手に隙を与えない警戒が必要になりますからね、緊張感が全く別物です。それに、相手はこの世界に悪意ある技術をばら撒く迷惑な神ですから、なるべく早く捉えたいという神々の心情も理解できます・・・」

(それも僕の事を思って解決を急いでくれているようだし、僕もできるだけ協力はしたい)

 僕がそう思っている事に父様達は気づいてくれたようで、それ以上は何も言わないでくれた。

サフィアス叔父様「そうなると、こちらもさらに厳重な警備体制を取らねばならないな、“儀式の場“になる神殿までの送迎を私達と一緒にした方が良いだろう、警備も近衛騎士が担当するから安心だ。しかし、本来なら密かに移動させるつもりであったが、王城の使用人達の中に邪神の信徒がいたとなると、他の部署にも信徒がいると思った方がいいな、そうなると相手に内情を何処まで知られているか予想がつかんな・・・ふむ、だが本来の予定通り密かに馬車だけでも出して、囮に使うのも手か?・・・それで数人信徒を捕縛できれば、相手の本拠地をしる良い手掛かりになるかもしれん」

父様「ならいっその事、仁君達の移動ルートも変更して、囮にしたらどうかな?仁君達は私達の馬車に乗せればいいし」

サフィアス叔父様「おお、それもいいな、ラト達の馬車も他国の使者達の移動ルートに紛れ込ませるのもありだな!」

 こんな感じでスラスラと元の行動予定から囮計画まで練り出したサフィアス叔父様に、父様まで乗り気で追加の計画を立てていく。

(あぁ、この計画に振り回されるであろう部下や騎士達が・・・・南無・・・)

 急な予定変更でてんやわんやする事になる現場の人達を思い、心の中で合唱しておいた。

天華『まぁ、要人警護の場合は色々と臨機応変に対応出来てこそでしょうから、心配いらないのでは?』

夜月『計画の変更は仕方ないだろうな、さっきのような輩が出て来てしまってはな、むしろ、先にそういう所に気づけたから良かったのではないか?』

ジュール『それに元々、アトリーと仁君達が安全に移動出来ることが1番大事なんだし、元のルートで襲撃とかあったら一石二鳥じゃん♪』

(まぁ、そうだろうけど・・・)

 と、念話している間に、父様達の意見はまとまり、僕は王家の馬車の1つにオーリーやソル、ジュール達と一緒に乗り込み、王族の人達と堂々と正面から“儀式の場“である神殿に入ることになって、仁達は父様と母様が乗る馬車に乗って、他国の使者達の移動するルートで僕達より先に神殿に行くことになった。

 こういう経緯で王族との同じルートを行く僕も、他国の使者達に紛れ込むルートも、元々厳重な警備体制だった所を、よりさらに厳重な警備配置にして行くことになったのだった・・・・


 ついでに言うと、“儀式の場“が貴族街の中にある神殿なのは今初めて聞いた。

(何となく、そうなんだろうな、とは思ってはいたけど、王都の内の貴族街にある神殿とか分かりやす過ぎだろう…それに新学期にやたら各国の偉い人達がたくさん王都にきてたし・・・)

 と、密かにツッコミをいれたのは内緒だぞ!

(でもまぁ、王都の近場に神々のゆかりの地があるわけでもないし、警備のしやすさとか、“儀式“を行う場として言えばそうなるのは必然だったんだろうけどね・・・(。-∀-))

 天華『そうですね、この国で“儀式“が行える場所は限られてますから』

(うーん、最初、僕的にはここから聖教国に、テレポートかなんかで移動してするのかと思ってたよ?でもよく考えたら国家間を簡単にテレポートで移動できたら、それはそれで問題だよね、と気づいたよ。ティーナちゃん達も邪神教のことで色々と対策を考えていたみたいだけど、仁達がこの国で保護するように言った時点で、“儀式“が行われる場所も早い段階で決まったんだなって思って。それに事前に場所が決まってたら妨害されるとしても対策も立てれるし、都合も良かったってことだね?( ´ ▽ ` ))

天華『まぁ、安全性的な問題でアトリーの側が1番良かった、と言うのもありますけどね』

(それはね、仁達は僕の元身内だし、近くにいたら何があっても守るし、融通もきくと思うけど、他国だと仁達に何かあった場合、色々と面倒ごとになりそうだもん、特に僕が暴走してWW( ・∇・))

天華『でしょうね・・・・』

 こうして、天華達に呆れた表情を向けられながらも、バタバタ準備が整えられて、王城の迎賓館に滞在していた他国の使者達が次々神殿へ向けて移動し始め、大量の馬車が列を作る中、公爵家の面々と、仁達を載せた馬車もそこに紛れて王城を出発して行った。
 僕はその間、目立たないように、以前にも使用した事のある“認識阻害効果のあるローブ“を頭からスッポリ被り、その内側で小さくなった天華達を抱っこした。同じような格好をしたオーリーとソルに誘導されながら、王城の人気の少ない所にある馬車乗り場から王家の馬車に乗り込み、厳重な警備の他の王族達が乗り込む場所まで移動して、その最後尾にしれっと紛れ込んだ。

(しかし、今日は良く晴れて本当に良かった。それにしてももう9月の末なのに外はまだ結構暑かったなぁ、騎士さん達熱中症にならないと良いけど・・・ん?そう言えば、さっき馬車乗り場にもう一台地味な馬車が置いてあったな、黒いローブ姿の人が数人乗って、この馬車とは反対方向に走って行った、てことは、あれが本来、僕が乗るはずだった馬車で僕達の代わりの囮か、(*´ー`*)・・・じゃあ他の場所でもあんな風に仁達の代わりの囮が出たのかな?)

 晴れ晴れとした天気の空を見上げ、暑い日差しで夏の名残を感じながら、王城の別の場所でも似たようなことが他の馬車乗り場でも起こったんだろうなぁ、とか思っていると、急に僕達が乗っている馬車の扉が開き、サフィア大叔母様が乗り込んできた。

サフィア大叔母様「ちょっとごめんなさいね?アトリー君達がここにいるのは知っているのだけど、どこに座っているか分からないの、だから良ければ皆んな座席を前方に移動してくれるかしら?」

「「あ、はい」」

 急に言われた事に反射的に返事をして、馬車の後方の座席に座っていた僕とソルは、ジュール達を抱えて対面の前方の座席にすぐに移動した。

サフィア大叔母様「あら、ふふっ、ありがとう2人とも」

ロブル大叔父様「邪魔するぞ?」

 そう言って上品に笑いながらやっと認識できたのか僕達を目で追い、空いた席に優雅に座ったサフィア大叔母様。その後ろからロブル大叔父様も一声かけて入ってきて、僕にニカッと笑ってサフィア大叔母様の横に座った。そこで馬車の扉は閉まり、王家の馬車の列が先頭から順次出発し始めたのが見えた。

(えっと、何で前国王夫妻が僕達の乗っている馬車に乗り込んで来たのかな?(*´ー`*))

 と考えていると。

ロブル大叔父様「すまんな、誰も乗り込まない王家の馬車を不審に思わせないためにワシらがこちらに乗ったのだ」

 と、簡潔に理由を話してくれた。

「ああ、それで、確かに、誰も乗り込まない馬車がついていくのは変ですからね」

 と納得していると。

ロブル大叔父様「おお、真ん中がアトリーであったか、しかし、その姿では其方の“祭事服姿“がよく分からんな」

 さっきの発言でやっと僕を認識した大叔父様は、何を期待してたのか少ししょんぼりしながらそう言ってきた。

「えーっと、このローブはスッポリ被らないとちゃんと機能しないので、すみません・・・」(てか、さっきこっち見て笑ったのは適当だったんかい!)

サフィア大叔母様「もう、あなたったら・・・ごめんなさいねアトリー君、他の人達より一足先にあなたの“祭事服姿“が見たいって言って、無理やりこちらに乗り込むのを決めちゃったのよ、ジルや他の孫達もアトリー君と一緒に乗りたいって言ってたのに、本当に大人気ないんだから・・・」

 僕が心の中でツッコミを入れているとサフィア大叔母様が、ロブル大叔父様を嗜めながら理由を話す。

「僕の“祭事服姿“ですか?」

(あぁ、今は顔も半分隠れて、“祭事服“は全く見えないもんな、見えてるのは手だけだし(。-∀-)ジ○リ作品の“顔○し“みたいな格好だもん)

 “あっ、あっ“、って言ってる黒い妖怪?を思い出しながら膝の上の夜月を撫でる。

サフィア大叔母様「えぇ、サフィアスがそれはそれは神々しかったと自慢してきてね。それに興味を惹かれてきちゃったのよ、この人・・・」

「神々しい???・・・あぁ、そうですね、“神器“を2つも身に付けてますしね・・・でも、僕からしたらサフィア大叔母様達の“祭事服姿“がとても美しくて神々しいですよ♪とてもお似合いです!」

 そう、今日の“送還儀式“の為、王族全員が正式な白と金を基調とした“祭事服“を着用しているので、それは美しいく豪華な佇まいなのだ。

(凄く装飾の凝った金糸の刺繍多めのゴージャスでロイヤルな“祭事服“だけど、そんな服着ても似合ってるってのはさすが王族って感じ・・・)

 ロブル大叔父様達、男性陣の“祭事服“は、キリスト教で言うところの装飾過多なローマ・カトリック系司祭のミサ用祭服風で、サフィア大叔母様達、女性陣の“祭事服“は白いキャソック(神父服)に豪奢な金糸の刺繍を施し、優雅な金糸刺繍の入った薄手のケープを肩から掛けた司祭の平服風だ。大叔母様の方のキャソックは“アース世界“では男性の聖職者の服装だが、肩から掛けたケープが女性らしさを出しているので違和感はない。その上からちゃんと瞳の色と同じストラも肩からかけている。
*王族は年齢で服装の刺繍やアクセサリーの装飾の数が変わるので前国王夫妻の装飾が1番派手です。

(まぁ、キャソック自体がロングワンピースみたいな作りだから変ではないんだよな。女性の胸の立体縫製が有るか無いかの差だし・・・ぶっちゃけ、僕はそっちの方が着たかった・・・動きやすそうで良いなぁ~(*´Д`*))

 とか思っていると。

サフィア大叔母様「あらあら、褒めてもらえて嬉しいわ、ありがとう。ふふっ、アトリー君ったら、人を褒めるのが上手ね。ふふっ」

 上機嫌で上品に笑うサフィア大叔母様、そんな感じで大叔父様達と和やかにお喋りしていると、王族の警護専門の近衛騎士達でガッチガチに固められた馬車はスムーズに移動し、何事もなく神殿に到着。

 神殿前にはたくさんの騎士や軍人さん達がいて警戒体制マックスで警備をしていた。そんな中、神殿入り口付近にうちの家族と仁達を発見した。馬車が神殿前にきっちり停車するのを待って、先に大叔父様達が降りていき、その次に夜月とジュールは大きな姿で先に降りていってる。いつもは僕の肩に乗ってくる天華は、衣装を崩さないようにと言う配慮でソルの肩の上に移動していった。そして最後の僕は今日はローブを被っているので、ソルやオーリー達の手を借りてゆっくり馬車から降りた。

(わぁ、ここもかなり警備が厳重だねぇ、関係者以外立ち入り禁止って感じか・・・でも、中には各国の要人達がたくさんいるんだっけ?そんな人達のお付きの人達も中にいるのかな?)

天華『神殿の礼拝堂内には入れないので、神殿のどこか休憩所のような所で待機じゃ無いですか?』

(ふーん、じゃあ本当に最低限だけのお見送りなんだ・・・これなら変な人達は入り込めないか・・・)

 少し警戒しながら周りを見渡し、前回来た時とは違う神殿の雰囲気を感じた。

(それに、やっぱりここがこの間から感じていたソワソワするエネルギーの終着点だったのか・・・)

 数日前から感じていたエネルギーの波動?、気配?的なものがこの神殿の真ん中に集まっているのに気づき、ジーッと見ていると。

ソル「アトリー様、皆様がお待ちですよ」

「あ、うん」

 少しボーッと見すぎていたようでソルに声をかけられて、入り口前で待っている皆んなの所まで急いだ。急ぐといっても、今僕は長い袖やローブを汚さないようにするので精一杯で、急げてはいないのだが、前後で僕を介護するように補助してくれている2人は、早々と自分の着ていたローブを脱いでいて身軽になっている。その服装は貴族特有の“祭事服“ではなく、何故かリトス教の神殿騎士風の騎士服を着て、剣まで装備している。
 まぁ介護といってもこの“祭事服“は上着の裾が長いので、外では引き摺らないようにオーリーが後ろで裾を持ってついてきてくれて、ソルは“認識阻害用のローブ“で前が見づらい僕が、足を引っ掛けで転ばないように手を引いてくれているだけなのだが・・・

(これじゃあ、傍目から見たら僕はエスコートされているお姫様みたいだよなぁ(*´Д`*))

 とか思いなが神殿前にたどり着く。

「すいません、お待たせしました」

母様「アトリー、大丈夫?王城で何か問題があったと聞いたけど、平気?気分が悪いとか無いかしら?」

 家族の前にたどり着くと真っ先に母様から王城でのトラブルでの心配をされて、次々に家族全員と仁達からも心配の言葉をもらう。僕は大丈夫だと言って安心させていると、神殿の入り口からリトス教の司祭がデューキス家の全員の会場入りをお願いします。と言ってきた。そこで僕は“歌い手“なので“勇者候補様方“の後にお願いします。と言われた、先に僕の“祭事服姿“を見たかったとごねる姉様達を、父様が「後ですぐに見れるから我慢しなさい」と言って急かして神殿の中に入って行った。

 今回の“儀式“の会場となる神殿の礼拝堂に入って行く順番は、デューキス家、王族、仁達、僕&ジュール達で、ソルとオーリーは僕の護衛役らしい。一旦全員が神殿の玄関ホール部分に通され、礼拝堂の入り口の扉前にデューキス家の全員が並ぶと、礼拝堂内で名前が読み上げられて、礼拝堂の扉が内側から開き中に入っていった。

(あー、これ、パーティーの時と同じ感じで入って行くのか、恥ずかし!( ;´Д`)ん?あ!中が前見た時と違う・・・)

 扉が開いた時にチラッと中を覗き込んだら、礼拝堂内の装飾や椅子の配置などが全く別物に変わってて驚いた。

夜月『“送還儀式“用に配置が変えられている』

(そうか、それでこの間、仁達と神殿に行こうとしたら工事中とかでお断りされたんだね?)

夜月『そう言う事だ、“送還儀式“には神々の指定した場所で設備を整えねければならないし、その調整にも時間がかかるからな、色々と準備が大変なんだ』

(そうなんだね、てか、そもそも“勇者召喚“は指定された設備のある神殿でも、それだけ手間が掛かるものなのに、ズューウス王国はその指定された神殿でもない、設備もない所で神殿以上の手間をかけて“勇者召喚“をしたんだろうか?そこまでするメリットがあるようには思えないんだけどな・・・)

夜月『まぁ、欲に溺れた貴族どもが邪神教の話にまんまと乗ったんだろう』

(はぁ、欲深い人間はどこでもいるもんだね・・・)

天華『ですね・・・』 ジュール『だねぇ』

 そんな念話しているとオーリーが僕の準備をお願いしますと、別の神官に言われていた。王族の入場もすでに終わり次は仁達の番になっていて、仁達が名残惜しそうに僕を見てきた。

彩ちゃん「アトリー君の“祭事服姿“楽しみ待ってるわ♪」

「ふふっ、期待して待っててください、お気に召して貰えると思いますから」

夢ちゃん「おぉ!アトリー君がそこまで言うってことは期待値が爆上がりだね!絶対、記録に残すからね!」

「ええ、そうして貰えると僕も嬉しいです♬」(今回はサフィアス叔父様達だって拝むほどの出来だからね、間違いないはずだよ!)

 どうやら彩ちゃん達は僕の今日の“祭事服姿“に興味津々のようで、僕は“この子達はブレないなぁ“なんて思いながらも、その期待に応えられるのが少し嬉しい。

仁「アトリー君・・・・その、・・・君と話すのはこれが最後だと聞いたんだけど、・・・その、・・・今まで、たくさん、ありがとう!アトリー君と、いや、皆んなと過ごした日々はとても楽しかった、向こうに戻っても皆んなとの思い出は絶対に忘れないよ!」

 女子2人とは全く違うテンションの仁は、言葉に詰まりつつも、それでも泣かずに最後までそう言い切った。

(この子は、本当にもう・・・仕方ない子だね・・・)

「うん、僕達も絶対に忘れません、仁さん、彩さん、夢香さん、短い間でしたがこの世界に来てくださったこと、とても感謝しています。仁さん達と過ごした日々は驚きと嬉しさを運んできてくれた事を、僕は一生涯忘れないでしょう。そして仁さん達の“送還の儀式“の歌い手になれたことを誇りに思います。・・・・・皆さん、向こうにお戻りになられても元気にお過ごしくださいね、僕は皆さんの幸せを常に神々にお祈りしますから・・・」

仁達「「「っ・・・」」」

仁「・・・ありがとう、アトリー君・・・」

 仁達との最後の会話は少し堅苦しいものになってしまったが、自分の中ではこれ以上ない最後の会話だったと思う。もう、2度と会えないと分かっていても・・・

(この子達が向こうの世界でも健康で幸せに過ごしてくれることが、僕の何よりもの願いだから・・・)

 その後もソルやオーリーとも軽く会話をして、仁達は礼拝堂に入るために扉の前に移動していった。

オーリー「ではアトリー様、こちらによろしいでしょうか?」

 オーリーがそう言って神殿側が用意してくれていた入り口近くの小部屋に僕を誘導して行く。僕は中に入る前に後ろを振り返り、礼拝堂の扉前に並んだ仁達には軽く手を振った、向こうも手を振り返して笑顔を送り合い、互いの気持ちを受け取るとそれぞれ前を向いて歩いた・・・

 別れの時が迫り少し寂しい気持ちを切り替え個室に入ると、個室内は鏡と椅子だけが置いてあり実にシンプルな室内だった。ここでやっと邪魔くさかったローブを脱げるようになり、オーリーとソルが早速、僕のローブを脱がしてくれて開放感で両手をあげて伸びをした。僕が満足して手を下ろすとオーリー達はあちらこちらの布のヨレだったり、位置がズレた“サークレット“の微調整を行ったり、長い僕の髪をとくなりと細々凄く手際良く手直ししていき、満足がいったのか無言で互いに頷いていた。

(君達は本当に僕の装いに全力を注ぐよね・・・(*´ー`*))

 2人のそんな様子を呆れなが見ていると。

春雷&雪花『『わぁ!アトリー様、その姿とてもお美しいです!』』

(あ、春雷達、見回りご苦労様、それと、褒めてくれてありがとう、ふふっ( ◠‿◠ ))

『『愛し子綺麗!』』『『綺麗、似合う!』』『『愛し子可愛い!』』

(えっ、あっ、ありがとう・・・( ˃̶͈̀ロ˂̶͈́ ))

 今日は朝早くから張り切って、“儀式“をする会場の見回りをしにきていた春雷達と、やっと合流できた。2人は僕の“祭事服姿“を見てこれでもかっ、てぐらいに褒めてくれる。それに同調して他の精霊達も僕の周りを飛び回り、僕の装いを褒めちぎってくる。僕はその褒め言葉に照れに照れまくっていると、部屋の外から呼ばれて個室を出る事に、僕達を呼んだと思われる司祭が神殿の玄関ホールにおり、僕が出て来るのを待っていた、出てきたのに気づいた司祭は僕を見て、流れるような動作で祈りのポーズをして拝み始めたので凄く焦った。

(えっ⁉︎スムーズに祈り出したんだけど⁉︎Σ('◉⌓◉’)てか、いつ入場すんの?タイミング教えてよ⁉︎戻ってきて司祭さーん!)

 その司祭はオーリーに肩叩かれて正気に戻り、やっと自分の仕事をやり始めた。僕を扉前に誘導し、扉を軽くノックして中に合図を送った。すると中で僕の役割と名前が告げられる。その後にゆっくりと重厚な両開きの扉が開き、中から入ってくる光で僕は照らされて少し眩しさを感じ目を細めた。

(・・・ふぅ~、よっし!行くぞ!)

春雷達&精霊達『『『『『頑張ってー!』』』』』

 光に慣れてきたぐらいで気合を一つ入れて精霊達に声援をもらい一歩足を踏み出したのだった・・・・
















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。 前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。 外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。 もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。 そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは… どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。 カクヨムでも同時連載してます。 よろしくお願いします。

過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~

黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。 待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金! チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。 「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない! 輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる! 元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!

私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです

天宮有
恋愛
 子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。  数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。  そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。  どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。  家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。

平民の娘だから婚約者を譲れって? 別にいいですけど本当によろしいのですか?

和泉 凪紗
恋愛
「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」  腹違いの妹のマリアは私の婚約者と結婚したいそうだ。私は平民の娘だから譲るのが当然らしい。  マリアと義母は私のことを『平民の娘』だといつも見下し、嫌がらせばかり。  婚約者には何の思い入れもないので別にいいですけど、本当によろしいのですか?    

悪役令息(冤罪)が婿に来た

花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー 結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!? 王女が婚約破棄した相手は公爵令息? 王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした? あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。 その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。 彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。 そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。 彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。 その数日後王家から正式な手紙がくる。 ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」 イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。 「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」 心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ! ※ざまぁ要素はあると思います。 ※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

「魔法を使わない魔術師を切り捨てた国は、取り返しのつかない後悔をする

藤原遊
ファンタジー
魔法を使わない魔術師は、役に立たない。 そう判断した王国は、彼女を「不要」と切り捨てた。 派手な魔法も、奇跡も起こさない。 彼女がしていたのは、魔力の流れを整え、結界を維持し、 魔法事故が起きないよう“何も起こらない状態”を保つことだけだった。 代わりはいくらでもいる。 そう思われていた仕事は、彼女がいなくなった途端に破綻する。 魔法は暴走し、結界は歪み、 国は自分たちが何に守られていたのかを知る。 これは、 魔法を使わなかった魔術師が、 最後まで何もせずに証明した話。 ※主人公は一切振り返りません。

処理中です...