間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜

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第4章 少年期〜青年期 学園3学年編

65話 初めてのお泊まり冒険者活動32〈最深部、大空洞、そして、閉まり行くゲート〉

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「“神器召喚“」

 僕は“神力“を制御する神器の腕輪を付けた左腕を仰ぎ見るように高くあげて、呟いたその言葉、その瞬間、周囲を明るく照らしその光が僕の全身をパァーッと包み込んだ・・・・


 そして、暫くして、光がおさまっていくと・・・・

皆んな「「「「「えっ!?」」」」」

 眩しさで閉じていた目を開くとそこには、先程とは全く違う衣装を纏った僕を見て、この場にいた全員がものすごく驚いていた。

「ふふっ!サプラーイズ!!」

 驚きで固まっている全員にイタズラが成功した時のような、気分でこう言った。それでも皆んなまだ状況がちゃんと掴めてないのか、ポカンッとした表情のままだ。

(まぁ、この反応も仕方ないか・・・(*´Д`*))

 今皆んなが驚いているのは、僕の服装に驚いているのだ、その服装というのが、3年前の“勇者送還の儀“でも着たことがある“祭事服“、これを今、僕が来ているからだ。さっきまで、冒険者風の軽装備の格好をしていたのに、急に光ったと思ったら、この様な華美な“祭事服“を纏って現れたのだからそれは驚くというものだ・・・

(しかし、この“衣装チェンジ“機能、以前から僕が魔道具として作れないかと研究していたものだけど、魔道具で完成させる前に“神器“でいつの間にか作れちゃった・・・(・∀・)ふふっ、某、変身特撮やアニメのような決めポーズは存在しないがな・・・)

 この、突然の“衣装チェンジ“は僕が先月、カイ兄様の結婚式前に作った“神力制御の腕輪“に、いつの間にかついていた機能だ。
 この機能は特定の条件に当てはまる衣服や物を記憶、登録することで、キーワード一つで腕輪の装備者の服装を任意に変更する事のできる物だ。だが、登録できる衣服や物は“神器“ではないと登録できない、もっと正確に言えば、腕輪の製作者の僕と相性のいい“神器“では無いとダメだった・・・
 なので、今着ている“祭事服“は3年前に制作して、いつの間にか“神器“になっていた物を着ている。ついでに、手に持っている杖も3年前、神殿から貸し出しと言う体で、僕に預けられた物、と言うか、のちにリトス教の総本山の聖教国にある中央神殿に、この世界の主神であるティーナちゃん直々に信託が降りて、この“神器“は正式に僕の物という事になった。それと登録と言ったが、腕輪を“祭事服の神器“に近づけたら勝手に腕輪の中に吸い込まれて行った…“杖の神器“も同じ・・・

 そんな“神器“だらけの格好で急に現れたのだから、それは驚くという物だ・・・

*ついでに言うと前回着用した“サークレット型の神器“はここにはありません!代わりに僕が“神力“で作った“サークレットの神器“をつけてるよ!(指輪物語風でWWW完全に趣味に走った結果だ!)

「急に変わり過ぎでしょう・・・」 「前、映像で見たやつだ・・・」 「うわぁ、何度見ても凄いなぁ・・・」 「あ、サークレット前のと違う・・・」

「てかさ、衣装も急に変わって驚いたけど、性別も急に変わったとか無いよね?・・・」

皆んな「「「「「ごくっ・・・あり得そう・・・・」」」」」

(んな事ないわっ!!( ゚д゚))

 そんな、僕の格好を見てブツブツと何か言っていたが、心の中で突っ込むだけに留め、気にしない事にした・・・

「ゴホンッ!・・・えー、では、これより、魔法陣の破壊に取り掛かります。皆様、突然の発光などにこ注意ください」

 気を取り直し、ちょっとお澄まし顔で言って、背を向け、大空洞の中央にある石舞台の真ん中にまで来た。

「じゃあ、ぶっ壊しますかっ!」

 衣装に似合わない元気な声で気合を入れて、手に持っていた“杖の神器“、正確な名称は“千変万化の神器《センペンバンカノジンギ》“と言って、通常は“儀式用の杖“としての姿をとり、使用者の求めに応じ自由自在に姿を変える“神器“と言う意味がある、らしい・・・以前、ティーナちゃんがそう言っていた・・・、その、“千変万化の神器“の先端に手を置き、“神力“を込めようとした、その時・・・・

 カッ!!

?『ふははっ!また捕まえたぞ!』

「「「「「!?」」」」」 「「「「アトリー様!?」」」」 「「「「「な、何!?」」」」」

 僕が中央にある玉座の前まで来た時、視界外でジュール達が僕の邪魔にならないようにと、石畳から降りたと同時に、真下にあった魔法陣から強烈な真っ赤な光が放たれた。その光は魔法陣をぐるっと囲み真っ赤な光の壁を作り出していた、それは魔力とも自然エネルギーとも違った、別の力を使った結界だった・・・
 その赤い結界の力の供給源はどうやら、僕の目の前にあるこの玉座から流れてきている、そして、その玉座から、赤黒いオーラが滲み出て、ゆっくりと人の形を形成し、まだ不形成な人型から、聞き覚えのある声がした・・・

「やっぱり、出てくると思ったよ。・・・」

 心底嫌そうな表情でそういった。

「“原初の蛇神、フィズィ“・・・」

フィズィ「ほう・・・、そのように着飾って殊勝にも私を待ちかねていたとはな、お前もやっと私の元に来る覚悟が決まったのだな」

「はぁ?誰がそんなこと、一言でも言ったか?お前の思考まじでキモ過ぎ、てか、喋らないでくれない?僕の耳が汚れるからさ」

 徐々に出来始めていて、最初に出来てきたのは顔で、どこかで見た事がある特徴的な吊り目を細め、悦に入った表情でこちらを見てきたので、僕は顔に堂々とキモいと書いてあるのでは無いかと思うほど、あからさま態度でそう言うと・・・・

フィズィ「っ!!き、貴様ぁ!!上位神である我に対して!そのような態度を取るとはっ!!やはり貴様には以前の様にジワジワと絶望を感じさせてから殺すしかなさそうだなぁっ!!その覚悟があってのその態度なんだろう!?もう、懇願しても遅いぞ!!」

 と、顔を真っ赤にして怒り出した、僕はその怒りに油を注ぐように、

「へぇ、優しくするつもりがあったよう言い方だけど、お前は僕を殺すつもりなのは変わらないのなら、お前にどの様な態度を取ってもいいだろ?結局、僕が痛い思いをするのは同じなんだからさ・・・大体、普通、殺されるって分かってて、好意的に出迎えてもらえてる、なんて思うとか、馬鹿なの?少し考えればそこら辺の子供でも嫌われるって分かるよ?馬鹿なの?死ぬの?むしろ、僕の前から死んで消えてくれる?」

 と、今までの楽しい時間を台無しにされた気分で苛立ちを隠そうともせず、こう早口で言い放った。

フィズィ「っ!?っ!!っ!?」


 そしてフィズィは僕に矢継ぎ早に辛辣な言葉を浴びせられて、言葉が出なくなるほどの怒りで震え出した・・・そんな、やり取りを見ていたゲートの向こう側の人達は・・・・

彩&夢香「「うわぁ・・・、アトリー君が静かにブチギレてる・・・」」

仁「やべぇ、アトリー君の辛辣な言葉が止まらない・・・しかし、神様達から聞いてはいたけど、アイツが、アトリー君のストーカーしてる神か・・・てか、殺そうとしたって・・・」

「「「「「っ!?」」」」」

亜実子「仁!どう言うこと!?あの“ストーカー神“って、アトリー君のことを殺そうとしたって!どう言うことよ!?」

仁「あ、いや・・・それは・・・アトリー君がストーカーされてるのは僕も知ってたんだけど、殺そうとしてたことは知らなかったんだ・・・」

 僕とフィズィはこちらの言語で会話していたのだが、スキルのおかげでこの会話を聞き取ってしまった仁が、迂闊にも会話の内容を軽く口走ってしまったことで、亜実子姉さん初め、親戚全員に詰め寄られていた・・・

 そして、大空洞入口側では・・・・

第3王子「な、なぁ、なんかアイツ、口悪くなってないか?・・・」

 アトリーがいる前では終始無言だった第3王子が、今のアトリーを見てドン引きしながら言うと・・・

ソル「そうですね。苛立ちで素が出てきている様です・・・」

王太子「アトリー君の素・・・あれが・・・」

 いつも礼儀正しく可愛らしい顔で“スタフお兄様“と呼んでくるアトリーが、この様に不愉快さを全面に出している姿を見て、今まで自分の前でどれだけ猫を被っていたのかと思い絶句していた・・・

ソル「あ、アトリー様が皆様を欺いていたとかではなく、皆さんに敬意を払っていたからこそ、いつもはあの様な言葉遣いをしてらっしゃるんですよ。なのでアトリー様の事を誤解なさらないでくださいね?」

 そんな絶句する人達にソルがすかさずアトリーの名誉のためにフォローを入れた。


 この時、あちらこちらでされている会話は僕の所まで届いてはいなかったが、この魔力と自然エネルギーを遮断する赤い結界の外が、少し騒がしいとは感じていて、僕は心配させるのは良くないなと思って、さらにフィズィを煽った。

「で?わざわざ、ここまで来て、また、僕にボコボコにされたいの?」

フィズィ「もういい、お前は、今すぐ、殺す!!」

 僕の煽り言葉で完璧に怒りが限界に達したのか、完全に身体が形作られたフィズィは以前自分が乗っ取ったズューウス王国の元第5王子に似た身体の全身から、負の感情を詰め込んだような形容し難い色をした霧を吹き出した。すると周囲に散らばっていたゴブリン達が落とした武器達が、その霧に触れるとその色に染まり動き出した・・・

(はぁ、こうなると思った・・・(*´Д`*))

天華『まぁ、ドロップ品にしてみると少々趣味の悪いデザインばかりでしたもんね・・・』

夜月『あからさま過ぎる・・・』

 動き出した武器達は、フィズィの背後に集まり、切先が全て僕の方に向いた。そんな光景を見ながら僕らは普通に念話していた。

「馬鹿の一つ覚えのように、呪詛を用いた“呪物の武器“を量産して、また僕の魂を汚そうとしてるの?ほんと、ワンパターンでつまらない奴・・・」

フィズィ「っ!!死ねぇっ!!!」

「「「「「危ないっ!!」」」」」 「「「「「きゃーーっ!!避けてぇっ!!」」」」」

 僕の言葉がお気に召さなかったのか、僕が戦闘体制に入る間も与えることもなく、操った武器達を全て僕に向かって飛ばしてきた。僕を心配する声が届いていたが僕は冷静にその光景を見ながら自分の取るべき行動を実行に移した・・・

「僕が何の対策も無しにお前の罠にハマったとは思わない方がいい・・・」


 ・・・“神器解放“・・・ リィーーーーーンッ!! ブワァッ!!


フィズィ「なっ!!?」

 僕が“千変万化の神器“の頭に手を置き、“神力“を注ぎながらそう呟くと、高く澄んだ鈴の音と共に強い白銀色の光が津波の様に溢れだした、その溢れ出した“神力“に向かってくる武器は全て弾き飛ばされた。そして、その光は急速に反転して僕の手に持っている“千変万化の神器“と“祭事服“に吸い込まれて行き、その姿を変えた。杖型の神器だった物の頭はゆっくりと形を変え、日本刀の柄の様に細く長くなり、鍔まで出来てきて、その意匠は繊細で優美な桜が咲き誇る模様になっていた、杖の持ち手の棒の方も緩やかなカーブができて、どう見ても完璧に日本刀の太刀の形になった。
 それと同時に、“祭事服“に集まって行った光は、僕の全身を包み込み、“祭事服“が光に溶け込んでいった。そして、“祭事服“だった物は形をなくし、僕の全身を包み込んだまま光の集合体となってふわふわと浮き上がり、僕を浮き上がらせたまま周囲を漂いつつも徐々に形を変え始め、僕の体に優しくくっつき、肌触りが良く滑らかな真っ白の布地へと変換されていく。その布地は次々形を成し、最初の“祭事服“の面影を残しつつも動きやすい、軍服のような形へと変貌していった・・・

「!?これはどう言うこと!?」

天華『これは・・・“神装《シンソウ》“、これが出来るほどアトリーの“神力“が強まっているとは・・・』

夜月『天華!その話は後だ!アトリー!結界を壊し私達を中へ!!』

「!っ、分かった!はぁっ!!」 ブワァーーーッ!!

 バキンッ! バァーーンッ!!!

 先程は自分がサプライズ仕掛けた側だが今度は逆に自分がサプライズされた気分で、今起こった事に困惑しながらも夜月の指示に従い、気合を入れて自分の“神力“を一瞬だけ高め、結界を内側から膨張させて壊し、粉々にした。

 それこそ、“ドラゴ○ボール“の“孫悟空“が“スーパーサ○ヤ人“に変身した時みたいに・・・

フィズィ「な、何!?“神力“っ!?何故お前が今、神力を持っているんだ!!また、あの小娘神達から貸し与えられたのか!?」

「さぁ?どうだろうね?」

フィズィ「くっ、生意気な口を聞くなっ!!・・・もしや、お前、・・・それは自分の“神力“か!?・・・」

「お前に教えてやる義理はない」

 僕の“神器“に起こった現象に疑問は尽きないが、今は目の前にいるコイツの対処を優先させる事にした。最初はまたティーナちゃんからの借りた“神力“だと思っていたフィズィも、流石にさっき結界を壊すために僕が放った膨大な“神力“の気配を感じ、その考えを変えて、僕が“神力“を生み出していると言う事を疑い始めた。だが、そんなアイツの問いかけに僕は、僕のもとにやって来たジュール達を撫で回していて、わざと視線すら向けずに全てそっけない返事を返した・・・(まぁ、ただ、視線を合わせるのすら不快という事もある・・・)

フィズィ「ギリッ!我を馬鹿にするとはいい度胸だなっ!!」

「いや、最初から馬鹿にはしてるよ?」

フィズィ「このっ!!!」

 僕の今の返答が1番気に食わなかったのか、吹き飛ばされていた武器を再び操り僕に向けて勢いよくぶつけてくる。だが僕の右側にいた夜月がひと吠えすると、一瞬で強固な結界が展開されて、僕にアイツの操る武器は届く事はなかった・・・そんな光景を見ていると、夜月が念話で話しかけてきた。

夜月『アトリー、あいつはやはり、分身体で本体ではない、以前に感じたアイツの“神力“を微塵も感じないことから本体は全く別の場所にいる様だ。それに、近くにもいないのも確かだ・・・』

(やっぱりね、あいつ、最初僕が放つ“神力“の質の違いにもすぐに気づかなかったし、会話中にも“神器“に“神力“を込めているのにすら気づいてなかった。しかし、またコソコソと隠れるのはうまいなアイツ・・・(*´ー`*)・・・あぁ、やばいな、石舞台までさっきの“神力放出“でヒビが入っちゃった・・・)

天華『そうですね。徐々にゲートの穴が小さくなっていってる見たいです・・・』

(・・・本当だ。・・・こんな形で母さん達とお別れになるなんて・・・嫌だなぁ・・・)

ジュール達『『『『『アトリー』』』様』』

ジュール『アトリー、ティーナ様が伝言なら伝えれるよって・・・』

(えっ・・・そうだね、お願いできるかな?)

ジュール『うん!任せて!!』

天華『アトリー、ゲートは徐々に閉じていってますがスピードが遅いので、アイツの分身体を早く倒して、ゲートに駆けつけることができれば、わずかな時間ですがお話しできるかも知れませんよ』

(そうか、そうだね。アイツを早く倒して残りの時間を少しでも多く取ろう!!あ、でも一応伝言もお願いできるかな?ジュール)

ジュール『いいよ!アトリーがアイツを倒すまでゲートは私がちゃんと見張ってる!!』

(ありがとうジュール!!お願いね!!( ^∀^))

 アイツが何か喚きながら、操る武器を色々とパターンを変えぶつけて来てはいたが、そんな武器達も夜月が展開した結界を破る事はできず、ただ虚しく、ぶつかっては弾き返されると言ったことを繰り返していた。その間、僕達は念話での会話を終了させ、ジュールと天華の提案通り動き始めた。ジュールに僕からの伝言とゲートの見張りを頼み、僕は天華と夜月と一緒にアイツの分身体を倒すことに集中した。

「鬱陶しいなぁ、いい加減消えてくれる?こっちはお前と違って忙しんだよ」

フィズィ「っ!!我をどこまで侮辱するとはっ!!」

 再び同じように武器を差し向けてきたフィズィに、僕は今度こそ自分の武器を抜き放ち構えた。今まで、アイツを煽るだけ煽って、怒るアイツがぽろっと自分の正体などの情報を出さないかと待ってみたが、意外と自分の正体の事になると口は堅かった。それに今ここにいるアイツが分身体で本体の場所が分からないことが判明したので、もう、この分身体には用がなくなってしまったのと、ゲートの縮小が始まったことで、時間が惜しくなったので、本気でアイツの分身体を倒す事にしたのだった。

「侮辱はしてない、ただ本当に思っている事を言っただけ。それにお前は本体でこの場にないくせに無駄に偉そうなんだよ、臆病者のくせに、偉そうにしないでくれるかな?」

フィズィ「っ!!!」

 僕の武器は日本刀の形を取っていたのだが、抜き放った刀は手に持っている鞘より何故か刀身がかなり長くなっていた。それこそ、自分の身長と同じぐらいの・・・僕はそれを見て・・・

(あ、無意識にリクエストにあった“セフィ○ス“の“政宗“をイメージしちゃったか・・・)

 とか思いつつも、僕の発言で怒り狂ったフィズィの飛んでくる武器達をその長い刀身でスパスパと斬り、武器に込められた“呪い“を浄化しながら使用不可にしていく。

フィズィ「このっ!!!」 バッ! 

 次々切り落とされる武器達に焦ったフィズィは、とうとう最終手段にでた、僕の周囲、360度、残った全ての武器を使い、避けきれない間隔で包囲した。

「これで逃げられまいっ!“邪術解放“っ!呪い殺せっ!!“邪剣狂乱乱舞《ジャケンキョウランランブ》“っ!!!」

 そう言うと僕を包囲している全ての武器から、人々の怨念の塊である粘着質なドス黒い“思念体“が、アイツの濁った“邪気“共に溢れ出し、蜘蛛の巣状に広がって、武器と武器を繋げていく。その怨さを放つ武器と“邪気を纏った思念体“はすぐに縮まっていき、僕を物理的にも精神的にも呪い殺そうとしてくる。
 大きな鳥籠のようになったそれの中で僕は軽いため息と共にこう呟いた。

「はぁ、そろそろ、いいかな?」

 複数の呪いを放つ武器達に周囲を取り囲まれた僕は少々呆れ気味に行動した。その間も武器の“呪いの籠“は縮まって行き、僕の視界は完全に思念体と武器だけになった・・・

「“邪気浄滅“・・・」

 パァーーーーッ!! ブワァーーッ!パンッ!!

 先程、アイツが展開した真っ赤な結界を壊した要領で、“呪いの籠“の内側から膨大な“神力“を使った“浄化“の技を使用すると、多少粘り気が強かった“邪気を纏った思念体“が膨張したが、膨張にもすぐに限界がきて、風船が割れるように弾け破れた。

「お前は本当に上位の神だったのか?学習能力が無さすぎるだろう?」 ヒュッ!

 シャキィンッ!! ドッコンッ!!

フィズィ「な、なんだ、その“しん・・・・」 ザァーーーッ・・・・ コツンッ、コロコロコロッ・・・・

 “呪いの籠“と言う障害物がなくなった瞬間、浮いたままだった僕は素早く飛び出し、瞬時にアイツの目の前に行き、アイツの立っている場所から後ろにある玉座ごと、手に持っていた“神器“でバッテンに切り捨てた。するとアイツと玉座は石舞台と共に砂のように崩れさり、その中から何かが落ちて転がった。

「だから、お前に教えてやる義理はない」

 聞こえているかどうかは分からなかったが、そうキッパリ言い捨てた・・・

 そして、邪魔者を排除した僕はすぐに、縮まっていく速度がましたゲートの前に移動した。この時すでに僕の身長ほどまでに縮まっていたが、まだ全員の顔は見る事ができた。

「皆んな!こんなお別れの仕方だけど、皆んなに会えて凄く嬉しかった!」

「私達も、あなたに会えて嬉しかったわ!」 「お姉ちゃん、怪我してない!?」 「無茶ばかりして、こっちのご家族に心配かけ過ぎないようにね!!」 「姉ちゃん、最後、まじ、かっこよかった!!」 

 様々な感情が複雑に混じり合い、どんな表情をしていいか分からなくなったいたけど、これだけは約束だからと、口の端はしっかり上げて、笑顔を一生懸命作る、不格好で今世1番のブサイクな笑顔、そんな僕に、ゲートの向こう側の皆んなも、同じような表情で、僕に数々の優しく気遣う言葉をかけてくれていた。正直、ゲートが閉まって行くに連れ、音が聞き辛くなっていて、よく聞き取れていなかったのだが、なんとなく言っていることが理解できたから・・・

「うん、うん、大丈夫!僕は平気だよ!!ちゃんと心配かけないようにする!僕は最強だからねっ!!」

「オバマ!いつまでも元気でね!!」 「皆んな、アンタの事忘れないからね!!」

皆んな「「「「「忘れないから!だからいつも、そばにいた事!!忘れないでね!!大好きだよ!!アトリー君!!」」」」

・・・・・だから、皆んなの最後の言葉もちゃんと分かった・・・・

「っ!忘れないよ!!僕も、皆んな事、大好き!!・・・元気でねっ!!・・・・」

 こうして、ゲートの穴は小さくなって行き、その穴が最後、完全に無くなるまで、僕達は互いに笑顔で手を振り見送り続けた・・・・














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