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第4章 少年期〜青年期 学園3学年編
87話 野外実習8 脱出!! Fクラス担任教師 ザック・ウチーチリ視点
しおりを挟む森に隠れている犯人達の対応を決め終わった僕達は、再び脱出に向けて入念に準備を進めていた。・・・・
・・・・脱出の準備も終わろうとしていた時の事・・・・
?「伝令ーっ!!結界に関しての報告です!!」
1人の軍人が急いで僕達の所もまでやって来た。どうやら結界の調査を任命された軍人達からの調査結果を持って来たようだ、その言葉を聞いた教員達が集まって来て、軍人の報告に注目した・・・
副学園長「!急いで報告をお願いします!」
軍人「はっ!この施設を取り囲む結界は予想通り、我々の力では破壊する事が出来ないと判断されました。物理、魔法、両方で最も実力のある者達に最大力の攻撃を加えさせてみたのですが、物理、戦鎚で結界を砕こうとしたところ、結界が衝撃を吸収、緩和するかのように手応えがなく、魔法は結界にあたると魔力を吸収されているようで、全く意味をなしませんでした。それどころか、魔力を吸収した結界はより強固になっているようだとの事です」
「「「「「っ・・・」」」」」
(やはりダメだったか・・・もしかして、と思っていたのだけど・・・」
デューキス君の予想通り、結界は何の攻撃すら通用せず、むしろ受けた魔法攻撃で強度が増す事になってしまった。そして、もしかしたら何処か弱点があって僕達大人でも、解決できる方法があるのでは?、と言う淡い期待も見事に打ち壊す調査報告だった・・・・
副学園長「・・・そうですか・・・やはり予想通り、これでは私達では解決できないですね・・・結界の破壊はデューキス君にお任せするとして、他に気づいた事はありませんでしたか?」
軍人「!・・・そうですね。自分が検証中に結界を見ていた時に少し気になる事があったのです。どうもこの結界は結界の向こう側の気配や魔力を一切感じさせないどころか、音さえ聞こえなくなっているようなのです。それと、もしかしたら外側から内側の我々の姿が見えてないよう思えます」
副学園長「!、それは、外側には内側に対して認識阻害の効果まであるかもしれないと?・・・」
軍人「はい、それに気づいたのは外側にいた警戒心の強い魔物が、内側で結界に攻撃を加えていた我々の前を気にする様子もなく素通りしていたのを目撃したのです。その様子から我々の存在が外側から全て認識されていないのでは?と思いました・・・」
(!そんなに偽装力と強度の高い結界なんて聞いた事がない!)
副学園長「そう、ですか・・・それは少し厄介な事になりましたね、そうなると、外に救援に誰かが駆けつけても、内側にいる私達とは意思疎通をはかる事が出来ないと言う事ですね・・・」
「「「「「!!」」」」」
「っ!それじゃあ、私たちがここにいるのも気づいて貰えないって事!?」 「もし、結界の破壊に失敗して、このままデューキス君が張ってくれた結界で“ダンジョン“の生成の余波を耐え切ったとしても、脱出できなくて数日経ったら最悪、死亡したと思われるって事ですよね?」 「いや、脱出はできるはずだ、彼はそれだけの力も加護もある、それに聖獣様方いらっしゃる、だから大丈夫だ!」 「何故そんなに楽観視できるのですか!?“ダンジョン“の生成とは未知のものなのですよ?なのに何故そこまで信用できるのです!?何の保証もないではないですか!」
(そ、そうだよね。この施設の管理しているベテラン軍人達の全力の攻撃でさえ破ることのできなかったこの結界を、まだこんな未成年の子供が本当に打ち破ることなんてできるのか!?それに、聖獣様方がいたってこれはどうにかなる問題なのか!?どうにかできるって言うならもうすでに解決しているはずじゃなか!?)
軍の精鋭部隊の隊員と言っても差し支えない軍人からの、結界の詳しい検証結果の報告の内容を聞いて、それまでは生徒達の手前、平静を装っていた自分自身の不安の気持ちが一気に吹き出し、動揺し取り乱す教員達。僕も不安だった気持ちが再燃し始め、落ち着きがなくなってきた。
現状が最悪の状態だと分かった僕達は、彼が簡単に脱出すると言った言葉を信じ過ぎているのではないかと、“ダンジョン“の生成と言う稀な現象に巻き込まれて、それを打開できると言ったその彼の言葉は本当に実現できるのもなのか?と、彼の実力が高いのは周知の事実ではあるが、こんな未知の現象化でその力は通じる程のものなのか?と、そう思い始めた頃・・・
軍人「・・・副学園長殿、脱出の成功率はどのぐらいあると思いますか?いくら“神々の加護“を受けたデューキス公爵家のご子息と言えど、流石に厳しい状況だと自分は思うのですが・・・」
副学園長「それは・・・」
同じ疑問を持った軍人の質問に、副学園長が答えようとした時・・・・
ソンブラ君「用意が整いました。先生方ももう馬車の方にお入りなられてください。軍の方々も危険ですので早急に撤収なさるようお願いします」
「「「「「っ!!」」」」」
副学園長「ソンブラ君、あのお方は・・・」
ソンブラ君「・・・アトリー様でしたら、あちらでいつでも結界を破壊できるように待機なさってます」
準備できたと知らせに来たソンブラ君、そのソンブラ君に副学園長はデューキス君の様子を聞くと、彼は森に入るための入り口付近で聖獣様方に囲まれながら、たったまま冥想しているデューキス君の方向を指した。
ブゥォ!!
「「「「「ぐっ!?」」」」」 「な、何!?この濃密な魔力の気配!?」 「魔力の圧で、押しつぶされそうだ、っ・・・」 「い、息が・・・」
ソンブラ君の指差す報告にいたデューキス君を視界に入れた瞬間、今まで一切感じていなかった膨大な魔力の気配にその場にいた全員が肺を潰されるような息苦しい感覚に襲われた・・・
(なんて魔力圧だ・・・さっきの魔法を使った時より強力な魔力だ。あんな魔力の塊に何故今まで気づかなかったんだ!?い、息が、く、苦しい・・・)
「うぅ、ぜぇ、ぜぇ」
ソンブラ君「アトリー様、魔力が少し漏れていますよ」
デューキス君「ん?あ、あれ?あぁ、ごめん、まだ外にいる人がいたんだ」
ヒュッ!
息をする事すら困難な圧力の中で平然とした様子で、デューキス君に話しかけるソンブラ君、そして、全てを押し潰すような規格外で膨大な量の魔力を、一瞬で何もなかったかの如く抑え込み正確な魔力操作をしたデューキス君達に僕達、大人は、先程までの話で、僕達はどこかで彼らを無意識に子供扱いしていて、余計な心配をしていたのだと、この時、やっと理解した。
(・・・今まで、色んな噂を聞いてきて、彼が“神々の愛し子“だと言うことは知っていたが、その意味を私達はちゃんと理解できていなかったのか…デューキス君は今までに感じたことのない、規格外の膨大な魔力を保有し当たり前のように使いこなしているなんて・・・それにその魔力に怯むこともないソンブラ君は彼もまた規格外の実力を持っているってことか、僕達は彼らの実力を自分の尺度で押し計れると思ってたとは、なんて愚かで傲慢なことをしてたんだ・・・)
ソンブラ君「もう少々お待ちください、すぐに全員が馬車に入りますので」
デューキス君「うん、よろしく、全員が入ったらすぐに始めるから、ソルも確認が取れ次第、馬車に入ってね」
ソンブラ君「いえ、僕はアトリー様のお側におります」
デューキス君「・・・そう、無理しないでね?」
そう言ってデューキス君は森の方の上空を見上げ、ソンブラ君は僕達を急かして長馬車に乗せて、報告に来ていた軍人には結界の調査をしている同僚達を呼びに行かせた。
そして、その後は戻ってきた軍人達が全員、長馬車に乗り全ての準備ができているのを確認すると、ソンブラ君は再びデューキス君の元まで戻り、声をかけているのを角度的にギリギリ見える長馬車の窓から見ていると、それは始まった・・・・
(結界を破壊するって言っても、具体的にどうするかは全然話してくれなかったが、どうやって破壊する気だろうか?先程の膨大な魔力で強力な攻撃魔法を撃つのか?それとも・・・!??なっ、なんだあの空間の揺らぎは!?)
長馬車の窓から見えたのはデューキス君の周囲の空間が歪み、カゲロウのように揺らめいている光景だった。その揺らめきが膨大な魔力の圧縮で起こった現象だったのだと気づいたのは随分後になってからだったが、この時、デューキス君は先程までずっと練り込んでいた魔力に上乗せする形で、どんどん魔力を練り上げていっていたのだ、デューキス君の張った結界に包まれた上に空間拡張されて、外の空間と切り離されている長馬車の中にいた僕達にでさえ、その膨大な魔力を感じさせる程の魔力がどんどんデューキス君の周りに蓄積していっているのに気づいた時、僕達は今まで見たことも感じたこともない光景と感覚に襲われていた・・・
(っ・・・・こんな、濃密な魔力の嵐のような中に立っていることなんてできるわけない・・・彼が僕らの手助けを拒否したのは正しかった、確かに僕達にできることなど何一つなかった・・・)
容姿も魔力量も平凡なただのいち教師には元からできることなんて少なかったが、こんな状況下では何かできることをしなければと思っていた…、だが、この光景を見ると、ただただ自分は教師だからといって生徒の前では強がっていただけ、劣等感を抱く事すら烏滸がましいほど、小さな人間だったんだと思い知らされた・・・
こうして、見ている間にデューキス君の練り上げていく魔力は増えていき、その魔力の圧力で長馬車にいる生徒達が息苦しさを感じ始めた頃、魔力の増量が止まった…
(この魔力で次はどうするんだ??)
「「「「「う、浮いた!?」」」」」
一定の量で魔力の増量が止まったことでギリギリ気を失うものは出なかったが、その魔力の増量が止まったことを不思議に思い、デューキス君を見つめていた全員が同じ言葉を同時に呟いた…
そう、次はデューキス君が中に浮き出したのだった。そして次の瞬間・・・・・
ブワァッ!!ゴロゴロゴロゴロッ! カッ!! ドォンッ!! バリバリバリッ!!
「「「「「ぅわっ!!」」」」」 「「「「「きゃーーっ!!!」」」」」
一瞬で結界内に黒い雨雲ができたと思ったら、次の瞬間に特大の雷が森の中心に向かって落ちた。光と轟音は長馬車内にも届き、生徒達はその轟音で驚き叫び声をあげていた。強烈な光と音の驚きで目をつぶった僕の耳に、どこからか僅かにヒビの入るような音が聞こえてきた。
ピシッ!ピキッ!ピキピキッ!!
そして、そのヒビ割れの音は次第に大きくなり、
ビキビキビキッ!! ドッコンッ!!! バキンッ!! ガラガラガラッ・・・・
何かがトドメのようにぶつかった音がし、その衝撃で結界が崩れていく音も聞こえた・・・
「い、今のは一体・・・えっ!?」
ビキビキビキッ! ガラガラガラ!! スゥーー・・・・
「「「「「・・・えぇ~~~~っ!??」」」」」
やっと眩しさがなくなって目を開け、デューキス君のいる方向を見てみた、そしたら、デューキス君が結界の上部に拳を突き立てている姿を目にしたのだ。突き立てられた拳の先の結界には大きな穴があき、そこを中心にヒビが広がっていって、最終的には結界全体にヒビが行き渡り穴の端から崩れていって、僕達の乗る長馬車の目の前に立ちはだかっていた結界の壁も、崩れて空気に溶け込むように消えてしまった・・・・
ソンブラ君「今ですっ!!動いてください!!」
「はっ!馭者さん!出発してください!!」
馭者さん「は、はい!!」
あまりの光景に呆けていると、デューキス君の近くにいたソンブラ君が大きな声で出発を促した。その言葉に慌てて馭者さんにお願いすると、長馬車はゆっくりと動き出し、次第に速度を上げて走り出し、見事、軍施設の敷地から抜け出していったのだった・・・・
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