NightMare

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3・赤い魔女と嘘つきオオカミ

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 鳥のさえずりとカーテンの隙間から溢れた光に起こされた。昨日と同じ柄の服(あまりおしゃれはわからないもん。)を着て、廊下に出た。朝日と同じぐらい眩しいねーこの廊下は。皮肉っているとトタトタと走る音がして「あっ!」って声が聞こえたかと思うとバタッとこける音が。まさに一瞬の出来事。音の方へ行くと、どっかのチェシャ猫みたいに猫の耳と尻尾を生やした少年がこけてた。
「えっと…大丈夫……じゃないか。」
「あっごめんなしゃっ!?………ううぅ………」
 焦って噛んじゃったその子。お城の子供?
「レン!何やってるんだ?」
 神出鬼没のとけいうさぎさんが来た。レンと言う名前のようだ。んー…兄弟なのかな……
「…!メア様………これはとんだご無礼を…申し訳ありません!」
「えっと…頭を下げられても……じゃあ、どこで朝ごはん食べればいいかだけ教えてください」
「はい……レン、ここで待ってなさい。」
「はい………」
 あらら…涙目になってる………。
 その後、少年と別れて、朝食の場所に案内してもらった。
「お恥ずかしいところを見られてしまいましたね……」
「いえいえ…あの、あの子って兄弟さんですか?」
「いえ。彼はこの城の召使いです。まだ見習いで手に負えません。」
 相当手を焼いているみたい…。

 朝食も豪華で、そのうちバチが当たるんじゃないかと思ったぐらいだった。でも美味しくいただいた。
 アリスから、せっかくだからこの世界の住人に挨拶をしてきてと言われ、バスケットに入った小分けのクッキーを持たされた。そういえば、来た時に最初森が、見えたよね………


 というわけで森に来たけど…やっぱり全然地形とかわからない。
まあ、なんとかなるよね。そう思っているとガサッと物音がした。
「!?」
 思わず、身構えていると人が木々の間から現れた。………狼の耳としっぽが生えた人が…。
「お!こんなとこにかわいいお嬢さんがいるなんて!いやあ、俺もついてるね!」
 そんなこと言われながら手を取られキスをする仕草をされた。
「!!!??;;」
「あ、それうまそうだなぁ~…ねえねえ、一個ちょーだいっ!!」
 それとは多分、クッキーのことを言っているんだろう。まあ、挨拶だし…
「やったあ!ありがとう!じゃあじゃあ、今度は俺がお菓子あげるから、ついてきてよ!」

「………はぁ…」
 言われるがままについて行くと、小さなお家が建っていた。
「ここにねーお菓子を作ってる女の子がいるんだよー」
「お菓子…」
「パイとかー、クッキーみたいに焼き菓子とか作ってるの。おいしんだよ~!おーい、あーかずきんちゃーん!!」
 狼男さんがノリノリでドアを開けると、ヒュンッと風を切るようにナイフが飛んできて、狼男さんの頬をかすめて壁に突き刺さった。…え、赤ずきん………?
「ノックをしろ。あと、人前でその名前で呼ぶなと何回言ったらわかるの。」
「いやwあとねー、100回とか?wwおっと危ないw」
 茶化すように言うからまた飛んできた。が、慣れているのか優雅にかわした。
「ふざけないで。その耳はただの飾りかしら?」
「んーいやいや、ちゃーんと聞こえてるよー!君の声がよーく聞こえるようにねー!」
 すると、赤ずきんが狼男さんのことを思いっきり睨んだ。まあ…恒例というか公式というか…セリフは童話でも有名だけど、その言い方は怒るよ、うん…。
「…その子は……?」
「みてみて!クッキー貰っちゃった!!すっごい美味しいんだよー!」
「あ…あなたにも、どうぞ!」
 思い出して挨拶にと、渡したらなんだか寂しそうな顔をした。
「あ、えっとね、私ここに初めて来たの。アリスが、挨拶代わりに持って行きなさいって……」
「そう……アリスが………いただくわ。よろしく。わたしは……シャナよ。ここでお菓子作ってる。こっちのうるさいのが、ライ。」
「えっ俺の紹介短くない!?てゆうか、うるさいのって…」
「…だいぶ減ってきちゃった…わたし木の実取りに行ってくる。ライ、余計なことしゃべらないでよ。お客さん、ごゆっくり」
 やがてドアが閉まり、シャナ…赤ずきんは外に出て行った。お家を見回すと、本がたくさんあって、…木の実は、足りないとは思えないほどたくさんあった。
「あの子はね…魔女っ子なんだよぉ…」
「……魔女っ子?」
「んー…この森にはね、呪術を使う魔女と薬を使う魔女がいるの。シャナは薬を使う魔女なんだけど。赤い頭巾が、魔法をグレードアップ?するんだって。その赤ずきんを引き継いでいるらしいんだけど。でも、昔むかしあの子のご先祖様が薬の扱いを間違えて森を枯らしちゃったり、人を薬の実験体にしたことがあったんだって」
 実験体…その言葉を聞いた時、なんだか心がチクっと痛いような気がした。
「彼女はもちろんそんなことしないけど、今もそのことを引きずっているんだって。だから「赤ずきん」って言葉がその過去を反映するようにとらえられちゃうの。でもね、僕はあの子の実験体でいたいんだ。」
「……;」
「ちょ、僕をそんな痛みが気持ちいいとか言う人みたいに見ないでっ!!あ、シャナ!助けてっ!」
「ライ………最後に言うことはないかなぁ?」
 シャナが笑顔でナイフを握りしめている。いや、その位置だとわたしにも当たるよね!?

 狼男さんは追い出され、森の奥に首輪をつけられ木につなげられた。キューンと鳴いたけど2人でお家に戻ってきました。大丈夫かな…
「あの子、絶対余計なこと言ったわね……ま、言われたならしょうがないかしら………。あなたは?」
「メアです。あの…クッキー、美味しくなかった……?」
「!違うの、わたしももうちょっと美味しく作りたいなあって……」
 と、顔を背けた。多分、狼男さんが美味しいって言ったからヤキモチやいてるのかな。
「あの子が嘘つきっていう話はしていた?」
「嘘つき?(嘘つきでオオカミの童話は……)」
 羊飼いの少年……?
「彼、もとは羊飼いの少年だったの。ある日、オオカミに出会ったの。オオカミは言ったわ。「君は嘘つきだ。嘘をつかなくては君がいる意味はないんだよ。」って言ったらしいの。でもそれは、きっと彼の思い込み。彼の心にある好奇心よ。」
 好奇心をどうやって嘘に結びつけることができるのだろうか。退屈や刺激なんてものなのだろうか。
「またある日、森で私たちは出会ったの。わたしが、彼の嘘つきを治してあげるって約束したの。だから、こうやって今も一緒にいるの。
 考えればわからないことが沢山。赤ずきんの童話とも羊飼いの少年の童話とも少しずれているような気がする。

 お茶とお菓子をいただいて、帰ることにした。そうだ、今度お菓子作り教えてもらおう。
そう考えて、挨拶をしてしばらく森の中を歩いていると、話し声が聞こえてきた。
「あれ?また行き止まりだ!」
「早く見つけなきゃ。泉の水はすぐに乾いちゃうよ。」
 女の子と男の子の声が聞こえる。一歩踏み出そうとして、わたしは気付いた。

 

 さっきまでなかったパンの切れ端が森の奥にずっと続いていた。
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