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《19》
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ジャロリーノは、ユーサリー・グロウ卿を思いだしていた。
グラファイト出身の性奴隷。ジョーヌに言っておいてやる。
あの体の大きな奴隷は、父がわざわざサーリピーチに言って連れてきた奴隷だろうか。
ジャロリーノの心臓が不穏なリズムで鼓動し始めた。
もしや、自分の汚い部分を父に知られてしまったのだろうか。
だがジャロリーノは声を大きくして主張したい。自分は、グラファイトやラブラドラ出身の性奴隷を欲しいとは言っていないのだ。勝手にユーサリー・グロウ卿が勘違いしているだけだ。
そう主張したい。したいのだが、完全に否定できないのも事実だった。
「……。あの年齢で主のない性奴隷だと、……」
「はい、陛下。娼館行きになりますね」
「え?」
ジャロリーノは驚いて声を上げた。
「娼館? っていうと、……あの娼館ですか」
「どの娼館かは分からんが、性的奉仕を生業とする館だな。高級娼館は貴族もよく使うし、そこで新しい奴隷を品定めすることもある。奴隷にとっては就職斡旋所みたいなものだ。……ただし、黒鳥にまできて娼館行きになるというのは不名誉だな」
「味見ばかりされています」
「……味見とは、なんなのですか」
父に聞いたつもりだったが、それを遮るように奴隷によってジャロリーノの目の前にお茶が置かれた。その際、こそりと耳打ちされた。
「一度寝てみることです」
「あ……」
「味見されて、それで捨てられるのか?」
今度聞いたのは父だった。先ほどの耳打ちは父にも届いていたのか、それとも察していたのかは不明だが、奴隷は菓子を取り分け乍ら答えた。
「ポラリスカノンを指名する貴族は、すべてが味見目的です。味見されすぎていて、誰も欲しいとは思わないのでしょう。それに、ポラリスカノン自身が、性奴隷として奉仕することを拒んでいますので」
「もともとはグラファイト領の奴隷宮にいたはずだが」
「はい陛下。そちらで性奴隷としての技術を積み、評価されて、黒鳥宮にやってまいりました」
「性奴隷として、評価……ね」
「あのように、男らしい肉体で、また綺麗な顔をした奴隷というのは貴重です。そのタイプの奴隷の二大産地のうち、ラブラドラからは新しい奴隷を望めないので、需要は高いのです。が、ポラリスカノンは……奴隷王の子というプライドもあるのでしょう。性奴隷として体が変化してゆくことが受け入れられなかったようですね」
「それで、味見ばかりされて娼館送りというのは、更にプライドが傷つくだろうにな……」
「血統的にも、能力的にも、容姿的にも、位の高い貴族の側近となるには最適なのですが……」
「使われ過ぎたか」
「はい、陛下。多くの貴族の方は、ポラリスカノンを使用済みだと思われます。汚れた使い古しは、味見はすれど、所有物にはしたくないでしょうね」
それを聞いたとき、ジャロリーノはなぜか自分のことを言われたように感じだ。
「しかしポラリスカノンは、性奴隷とは思えぬくらい武術に秀でていますし、暗殺奴隷としても近衛奴隷としてもトップレベルです。農耕奴隷を望んで体と鍛えておりましたので体力もありますし、知識もあります。ゆくゆくは総合奴隷と言うだけあり、家庭教師としての資格も持っていますよ」
「努力はしているのだな」
「はい」
「その努力が報われずに、娼館送りか」
「サーリピーチ様もそれは惜しいと言っておりました」
「……よっぽど、性奴隷としての才能があるのだな」
「……イイ声で鳴くのだそうです」
ジャロリーノは、自身の下半身が熱を持ったことを自覚した。性器の根元にじゅわりと熱がこもってゆく。息が止まった。気を抜いたら勃ってしまいそうだ。いや、自分でコントロールをすることなどできないのだが。
イイ声で鳴く。
ネコ気質だ、そう言ったユーサリー・グロウ卿の声がまたも頭の中に響き渡る。
先ほどの奴隷が、男に組み敷かれてヨがっているっている姿を想像してしまった。
性器がひくりと動いた。
「んっ」
まずい。
半分勃ってしまった。熱はまだまだ増してゆく。
やはり自分は男に欲情するのか。そして、あの奴隷にも。
どうしよう。しかも父の目の前で性器を半勃ちにさせている。
「冷めないうちに、どうぞ?」
奴隷に言われて、ジャロリーノは焦ってティーカップを持った。手が震えている。
そして父の視線に気が付いた。
ジャロリーノの目に涙が浮かんだ。それを見られないようにカップを口に近づける。
「陛下。あの者のことばかりではなく、私のことも聞いてはくださいませんか?」
そう、奴隷が言って、父の視線がそちらにそれた。ジャロリーノはほっとした。
奴隷の顔を見れば、目があう。濃い緑色の目だった。その目がほんのり笑い、すぐに父向けられる。
そしてはっと気が付いた。奴隷からは、ジャロリーノの股間の位置が見えるのだ。
「すまなかったな。君の名は?」
ジャロリーノは空いているほうの手で股間を強く押した。
おさまれ、おさまれ。
けれど、自分でかけているその圧力が変な刺激となってしまい、手の下で性器はどんどん固くなり、上を向いてくる。
「私の名はシンフォニー。十六歳です、陛下。ジャロリーの殿下より、一つ年上になります」
「騎士奴隷にしては、なめらかな手をしているな」
「はい。それが自慢です。近衛ですと、王族の方の伽も務めることがあるということで、身だしなみには気を使ておりますし、指は主の肌に一番触れる場所ですので」
あの親指。
ジャロリーノは、シンフォニーの親指を想像した。
あの親指の腹が、するっと竿の裏側を撫でる。
完全に勃起してしまった。
ああ、死にたい。
「これまでに主はいないと言ったな。近衛志望で……どうして……、ここにいる?」
こことは、この部屋のことだ。
「……お忘れでしょうか。私は、数年前に、……ジャロリーノ殿下の奴隷候補に挙がったのですよ?」
「……そうだったのか」
「はい。同じく候補に挙がった数名は、この数年のうちに貰い手が決まってしまいました。私も、ジャロリーノ殿下の元に行くことを諦め、王宮に就職をと進路を決めていたのですが、突然のこの機会に、サーリピーチ様からお声をいただいたのです。もう一度、ジャロリーノ殿下とお話をしてみてはどうか、と……」
自分の奴隷候補だった。
そう思い顔を見つめると、なぜだか胸の奥がじんわりと熱くなったのだ。
ジャロリーノの視線に気が付いたのか、シンフォニーが振り返る。慌てて視線をカップに戻した。
「そうだったか。では、私は席を外そう。他の奴隷たちの様子でも見てくるから、二人で少し話すと良い」
「え、父上……、行ってしまうのですか。待ってください、あの、サーリピーチが戻ってきたら、どうすれば」
「しばらく戻ってこないだろうな。ではシンフォニー、ジャロリーノを頼んだ」
「はい、陛下」
父は出て行ってしまった。
一人にされたことの不安と、安堵がないまぜになっている。
シンフォニーが振り返り、小さく会釈をした。
「ジャロリーノ殿下、覚えていらっしゃらないかもしれませんね。私はシンフォニー。かつて、あなた様のお付きの奴隷候補の一人でした。以後、お見知りおきを」
そしてジャロリーノの手を取り、片膝をついて、手の甲にキスをした。
兄ライアの手に、シェパイがキスをしたように。
「あ……」
手が、あのなめらかな手に包まれている。
そしてシンフォニーはいつの間にか間合いを詰めていた。
足の間に、シンフォニーのハンサムな顔がある。その顔の前には、大きく張り詰めたテントがあった。
「み、見るな!」
「最初に味見をなさいませんんか」
ジャロリーノの左手に、いくつもの小さなキスをしながら、シンフォニーの深緑の目が見上げてくる。
「あ、……味見……?」
「お話はそのあとで」
腿の内側をシンフォニーの手が撫でた。
「は……」
体が震えた。
ぞわりとして気持ちが悪いはずなのに、気持ちいいと感じる。不思議な快感。
尻の穴がひくりと動いたのが分かった。
「や、」
「陛下がお戻りになるまでに、ここを落ち着けたいでしょう?」
内腿から、足の間に膨らみに手が移動し、中心をやんわりを揉んだ。
「あ、……、あ、」
ゆっくりと、その指がパンツの留め具を外してゆく。
弾かれたように中身が飛び出した。濡れた下着が、シンフォニーの顔の前にある。
「や、……」
「思ったよりもご立派ですね」
「だ、駄目だ……」
シンフォニーの指が下着の上から鈴口を撫でた。ドクンと脈打ち、奥から熱いものがこみ上げた。
「うあっ! や!」
嫌ではない。
気持ちが良い。
嫌ではないのだ。
初対面の男に触られて、性器が期待している。それがイヤダ。
「やぁ、」
「大丈夫です。ね? 私を味見するのだと思ってください」
ジャロリーノは涙を流していた。
したい。この先に進みたい。触ってほしい。扱いてほしい。その手で、その親指でイかせてほしい。
「やだ。やだ、やだやだやだ、やだ!」
シンフォニーがジャロリーノの下着をわずかに下げて、中身に触れた。
「やめ……、あ、ぁ…」
「ジャロリーノ様」
竿をあの手が握ってる。
「ああっ」
誰かに触られている。男の手に握られているのだ。妄想ではなくて、夢ではなくて。
あの大きくて、太くて長くて、綺麗な指がジャロリーノのものを握り、扱き始めた。
「あっ、あ、ああ。やだ、」
「気持ちよくないですか」
ジャロリーノは頭を振った。
「そ、じゃなくて、いあっ、だめ」
自分で扱くのとはまるで違う。全然違う。気持ちが良い。
親指が裏筋を撫でた。
溢れる。
「でる、……あ、でる!」
その時だ、ペニスの先端が温かく、柔らかでぬるりとしたものに包まれた。
「え」
シンフォニーが、ペニスを、咥えている。
「あ。あ、」
ぢゅぷ、と音がする。
「ひあ! ああ、ああ! ああ!」
シンフォニーの頭が上下に動き、そのたびにジャロリーノはビクビク痙攣して、声を上げた。
「イくぅ……」
ジャロリーノは、シンフォニーの口の中に精液を放った。
そして、ペニスのまわりが奥へ奥へと送り込むように動く。
その動きで、ジャロリーノはもう一度、絞り出されるように射精した。
「ん! ……っはぁっ!……、……はぁ、ぁ、あ。うそ……」
ちゅくり、と音を出して、シンフォニーかペニスを放した。鬼頭から、唾液と精液が混じった糸がひいている。鬼頭は真っ赤だった。
「ん……ぁ」
「気持ちよかったですか?」
「……あ」
ジャロリーノは、はっきりしない頭でうなずいた。
しかし、シンフォニーはせっかく力を失ったペニスに、ちゅっとキスをしたのだ。
その瞬間、ペニスがビンと反り返った。
「あ! うそ、そんなっ」
「ふふ。……凄い」
そう言って、シンフォニーがそのきれいな手でペニスを撫で、頬ずりする。
そしていくつものキスを落とす。
ちゅ、ちゅう、ちゅ……
「あ! あ! あ!」
ペニスはビクビクと震えていた。
キスの後、ねっとりと舌が這う。シンフォニーの興奮した鼻息が当たると腰が砕けそうになる。
「あ……あ……あぁん、シンフォニぃ……」
ジャロリーノはシンフォニーの髪をすくように、頭を撫でた。
「はあぅ、ぅん、あぁ……」
いつの間にか、腰かけていた椅子からずり落ちそうになっている。
そんなジャロリーノの両足を肩に乗せるようにして、シンフォニーはペニスを舐め、時折きつくキスをし、咥え込んで吸い込む。
「んんんん」
「苦しいですか?」
「ううん、ちが、それ、すごい、から、」
腰がグンと上に動いた。
「あ、」
一度動くと止まらない。
シンフォニーはジャロリーノのグン、グンと突き上げるような腰振りに合わせて、頭を上下させた。
「いい、ふう、んん、ああ、もってかれるぅ、ああぁ、」
「ん、はあ、ジャロリーノ様、……気持ちいいですか」
「きもちいい、すごい、きもちいぃシンフォニー」
「他に、どうされたいですか、言ってください」
「親指で裏筋撫でて? あ、先っぽ強く吸われるのすきぃ」
「はい」
あのきれいな親指が、ペニスの裏側、付け根から先っぽまでをヌヌヌとなぞり上げた。
ジャロリーノは腰をグンと掲げて嬌声を上げた。
「ふ、ああああん! そこイイぃい!」
「ジャロリーノ様っ」
シンフォニーが先っぽにしゃぶりついた。
「あっ、あ、あん! や、シンフォニ、ん、んん、んん!」
シンフォニーの頭を掴み、ジャロリーノは無我夢中で腰を振りたくった。
「ああ、あああ! ああ!」
「ん、ぁむ、ふ、あ……、はぁ、んぐ、」
シンフォニーの口の中を、ジャロリーノのペニスが激しく出入りしていた。
綺麗な顔に汗や精液が唾液が跳ねているが、シンフォニーもジャロリーノの反り返った性器に夢中のようだった。その舌が、もっと咥え込みたいと絡みついて来て、ジャロリーノは涙を流しながら腰を回した。
「シンフォニ、出したい、中、出したいぃ」
「ん、ん、ふ、あ、ん、」
ぢゅううう、と吸われた、いや、飲まれた。
「ひあああ! 凄い! 凄いい!」
その強烈は吸い込みと、上下の動きに、ジャロリーノは我を忘れた。
シンフォニーの頭を抱きしめて、ガツンと奥までペニスを突き、腰を激しく痙攣させながら、シンフォニーの喉に性器を注ぎ込んだ。
「んんん、くう、ああっ」
その精液を、シンフォニーは全て飲んだ。
「んは、あ、……ジャロリーノ様……」
素肌があらわになっていた内腿に、シンフォニーがこてんと顔を付けた。
目元が赤く染まっている。
「ジャロリーノ様……、夢のようです……」
「……シンフォニー……?」
とろんとした気持ちよさの中、ジャロリーノはシンフォニーの髪をすいた。
「……気持ちよくなってしまいました。すみません」
「……気持ちよかった?」
「……口の中が感じるので」
それを聞いて、ヒクリとペニスが動いた。
「ジャロリーノ様はお元気なのですね」
ひくひくしているペニスに、シンフォニーの指が絡まる。
「……、僕は…………変態だから」
人差し指の先端が、ペニスの先っぽをくりくりしてきて、ジャロリーノは身もだえた。
「あ、あん! いやあん!」
「ジャロリーノ様。殿下。私の部屋においでくださいませんか」
「へ、や?」
「ジャロリーノ様、……もっと、気持ちよいことをしませんか? したくないですか?」
シンフォニーがペニスを握り、先っぽをくりくりする。
「うん、うん! したいっ、もっとして! もっと、あ! もっと!」
「もっと、しましょう。ね? もっと。もっとちゃんと」
「気持ちよくしてぇ、お尻ムズムズするぅ!」
ああ、初めての男の人。
初対面だというのに、なんてことだろう。
けれど、ジャロリーノのペニスは期待でそそり立ち、すでに先端方が汁が漏れ出ている。
早くそこにキスをしてほしい。
早くしゃぶりついてほしい。
お尻の穴もぐりぐりしてほしい。
たまらずジャロリーノは自分で肛門をまさぐった。
下着の上から後ろの性器をグリグリしてしまった。
「ジャロリーノ様、ジャロリーノ様」
シンフォニーも、熱に浮かされたような声を出していた。そして、ジャロリーノの指にその指を這わせ、肛門をグリグリしてくれた。
「あああん! いい!」
続く。
グラファイト出身の性奴隷。ジョーヌに言っておいてやる。
あの体の大きな奴隷は、父がわざわざサーリピーチに言って連れてきた奴隷だろうか。
ジャロリーノの心臓が不穏なリズムで鼓動し始めた。
もしや、自分の汚い部分を父に知られてしまったのだろうか。
だがジャロリーノは声を大きくして主張したい。自分は、グラファイトやラブラドラ出身の性奴隷を欲しいとは言っていないのだ。勝手にユーサリー・グロウ卿が勘違いしているだけだ。
そう主張したい。したいのだが、完全に否定できないのも事実だった。
「……。あの年齢で主のない性奴隷だと、……」
「はい、陛下。娼館行きになりますね」
「え?」
ジャロリーノは驚いて声を上げた。
「娼館? っていうと、……あの娼館ですか」
「どの娼館かは分からんが、性的奉仕を生業とする館だな。高級娼館は貴族もよく使うし、そこで新しい奴隷を品定めすることもある。奴隷にとっては就職斡旋所みたいなものだ。……ただし、黒鳥にまできて娼館行きになるというのは不名誉だな」
「味見ばかりされています」
「……味見とは、なんなのですか」
父に聞いたつもりだったが、それを遮るように奴隷によってジャロリーノの目の前にお茶が置かれた。その際、こそりと耳打ちされた。
「一度寝てみることです」
「あ……」
「味見されて、それで捨てられるのか?」
今度聞いたのは父だった。先ほどの耳打ちは父にも届いていたのか、それとも察していたのかは不明だが、奴隷は菓子を取り分け乍ら答えた。
「ポラリスカノンを指名する貴族は、すべてが味見目的です。味見されすぎていて、誰も欲しいとは思わないのでしょう。それに、ポラリスカノン自身が、性奴隷として奉仕することを拒んでいますので」
「もともとはグラファイト領の奴隷宮にいたはずだが」
「はい陛下。そちらで性奴隷としての技術を積み、評価されて、黒鳥宮にやってまいりました」
「性奴隷として、評価……ね」
「あのように、男らしい肉体で、また綺麗な顔をした奴隷というのは貴重です。そのタイプの奴隷の二大産地のうち、ラブラドラからは新しい奴隷を望めないので、需要は高いのです。が、ポラリスカノンは……奴隷王の子というプライドもあるのでしょう。性奴隷として体が変化してゆくことが受け入れられなかったようですね」
「それで、味見ばかりされて娼館送りというのは、更にプライドが傷つくだろうにな……」
「血統的にも、能力的にも、容姿的にも、位の高い貴族の側近となるには最適なのですが……」
「使われ過ぎたか」
「はい、陛下。多くの貴族の方は、ポラリスカノンを使用済みだと思われます。汚れた使い古しは、味見はすれど、所有物にはしたくないでしょうね」
それを聞いたとき、ジャロリーノはなぜか自分のことを言われたように感じだ。
「しかしポラリスカノンは、性奴隷とは思えぬくらい武術に秀でていますし、暗殺奴隷としても近衛奴隷としてもトップレベルです。農耕奴隷を望んで体と鍛えておりましたので体力もありますし、知識もあります。ゆくゆくは総合奴隷と言うだけあり、家庭教師としての資格も持っていますよ」
「努力はしているのだな」
「はい」
「その努力が報われずに、娼館送りか」
「サーリピーチ様もそれは惜しいと言っておりました」
「……よっぽど、性奴隷としての才能があるのだな」
「……イイ声で鳴くのだそうです」
ジャロリーノは、自身の下半身が熱を持ったことを自覚した。性器の根元にじゅわりと熱がこもってゆく。息が止まった。気を抜いたら勃ってしまいそうだ。いや、自分でコントロールをすることなどできないのだが。
イイ声で鳴く。
ネコ気質だ、そう言ったユーサリー・グロウ卿の声がまたも頭の中に響き渡る。
先ほどの奴隷が、男に組み敷かれてヨがっているっている姿を想像してしまった。
性器がひくりと動いた。
「んっ」
まずい。
半分勃ってしまった。熱はまだまだ増してゆく。
やはり自分は男に欲情するのか。そして、あの奴隷にも。
どうしよう。しかも父の目の前で性器を半勃ちにさせている。
「冷めないうちに、どうぞ?」
奴隷に言われて、ジャロリーノは焦ってティーカップを持った。手が震えている。
そして父の視線に気が付いた。
ジャロリーノの目に涙が浮かんだ。それを見られないようにカップを口に近づける。
「陛下。あの者のことばかりではなく、私のことも聞いてはくださいませんか?」
そう、奴隷が言って、父の視線がそちらにそれた。ジャロリーノはほっとした。
奴隷の顔を見れば、目があう。濃い緑色の目だった。その目がほんのり笑い、すぐに父向けられる。
そしてはっと気が付いた。奴隷からは、ジャロリーノの股間の位置が見えるのだ。
「すまなかったな。君の名は?」
ジャロリーノは空いているほうの手で股間を強く押した。
おさまれ、おさまれ。
けれど、自分でかけているその圧力が変な刺激となってしまい、手の下で性器はどんどん固くなり、上を向いてくる。
「私の名はシンフォニー。十六歳です、陛下。ジャロリーの殿下より、一つ年上になります」
「騎士奴隷にしては、なめらかな手をしているな」
「はい。それが自慢です。近衛ですと、王族の方の伽も務めることがあるということで、身だしなみには気を使ておりますし、指は主の肌に一番触れる場所ですので」
あの親指。
ジャロリーノは、シンフォニーの親指を想像した。
あの親指の腹が、するっと竿の裏側を撫でる。
完全に勃起してしまった。
ああ、死にたい。
「これまでに主はいないと言ったな。近衛志望で……どうして……、ここにいる?」
こことは、この部屋のことだ。
「……お忘れでしょうか。私は、数年前に、……ジャロリーノ殿下の奴隷候補に挙がったのですよ?」
「……そうだったのか」
「はい。同じく候補に挙がった数名は、この数年のうちに貰い手が決まってしまいました。私も、ジャロリーノ殿下の元に行くことを諦め、王宮に就職をと進路を決めていたのですが、突然のこの機会に、サーリピーチ様からお声をいただいたのです。もう一度、ジャロリーノ殿下とお話をしてみてはどうか、と……」
自分の奴隷候補だった。
そう思い顔を見つめると、なぜだか胸の奥がじんわりと熱くなったのだ。
ジャロリーノの視線に気が付いたのか、シンフォニーが振り返る。慌てて視線をカップに戻した。
「そうだったか。では、私は席を外そう。他の奴隷たちの様子でも見てくるから、二人で少し話すと良い」
「え、父上……、行ってしまうのですか。待ってください、あの、サーリピーチが戻ってきたら、どうすれば」
「しばらく戻ってこないだろうな。ではシンフォニー、ジャロリーノを頼んだ」
「はい、陛下」
父は出て行ってしまった。
一人にされたことの不安と、安堵がないまぜになっている。
シンフォニーが振り返り、小さく会釈をした。
「ジャロリーノ殿下、覚えていらっしゃらないかもしれませんね。私はシンフォニー。かつて、あなた様のお付きの奴隷候補の一人でした。以後、お見知りおきを」
そしてジャロリーノの手を取り、片膝をついて、手の甲にキスをした。
兄ライアの手に、シェパイがキスをしたように。
「あ……」
手が、あのなめらかな手に包まれている。
そしてシンフォニーはいつの間にか間合いを詰めていた。
足の間に、シンフォニーのハンサムな顔がある。その顔の前には、大きく張り詰めたテントがあった。
「み、見るな!」
「最初に味見をなさいませんんか」
ジャロリーノの左手に、いくつもの小さなキスをしながら、シンフォニーの深緑の目が見上げてくる。
「あ、……味見……?」
「お話はそのあとで」
腿の内側をシンフォニーの手が撫でた。
「は……」
体が震えた。
ぞわりとして気持ちが悪いはずなのに、気持ちいいと感じる。不思議な快感。
尻の穴がひくりと動いたのが分かった。
「や、」
「陛下がお戻りになるまでに、ここを落ち着けたいでしょう?」
内腿から、足の間に膨らみに手が移動し、中心をやんわりを揉んだ。
「あ、……、あ、」
ゆっくりと、その指がパンツの留め具を外してゆく。
弾かれたように中身が飛び出した。濡れた下着が、シンフォニーの顔の前にある。
「や、……」
「思ったよりもご立派ですね」
「だ、駄目だ……」
シンフォニーの指が下着の上から鈴口を撫でた。ドクンと脈打ち、奥から熱いものがこみ上げた。
「うあっ! や!」
嫌ではない。
気持ちが良い。
嫌ではないのだ。
初対面の男に触られて、性器が期待している。それがイヤダ。
「やぁ、」
「大丈夫です。ね? 私を味見するのだと思ってください」
ジャロリーノは涙を流していた。
したい。この先に進みたい。触ってほしい。扱いてほしい。その手で、その親指でイかせてほしい。
「やだ。やだ、やだやだやだ、やだ!」
シンフォニーがジャロリーノの下着をわずかに下げて、中身に触れた。
「やめ……、あ、ぁ…」
「ジャロリーノ様」
竿をあの手が握ってる。
「ああっ」
誰かに触られている。男の手に握られているのだ。妄想ではなくて、夢ではなくて。
あの大きくて、太くて長くて、綺麗な指がジャロリーノのものを握り、扱き始めた。
「あっ、あ、ああ。やだ、」
「気持ちよくないですか」
ジャロリーノは頭を振った。
「そ、じゃなくて、いあっ、だめ」
自分で扱くのとはまるで違う。全然違う。気持ちが良い。
親指が裏筋を撫でた。
溢れる。
「でる、……あ、でる!」
その時だ、ペニスの先端が温かく、柔らかでぬるりとしたものに包まれた。
「え」
シンフォニーが、ペニスを、咥えている。
「あ。あ、」
ぢゅぷ、と音がする。
「ひあ! ああ、ああ! ああ!」
シンフォニーの頭が上下に動き、そのたびにジャロリーノはビクビク痙攣して、声を上げた。
「イくぅ……」
ジャロリーノは、シンフォニーの口の中に精液を放った。
そして、ペニスのまわりが奥へ奥へと送り込むように動く。
その動きで、ジャロリーノはもう一度、絞り出されるように射精した。
「ん! ……っはぁっ!……、……はぁ、ぁ、あ。うそ……」
ちゅくり、と音を出して、シンフォニーかペニスを放した。鬼頭から、唾液と精液が混じった糸がひいている。鬼頭は真っ赤だった。
「ん……ぁ」
「気持ちよかったですか?」
「……あ」
ジャロリーノは、はっきりしない頭でうなずいた。
しかし、シンフォニーはせっかく力を失ったペニスに、ちゅっとキスをしたのだ。
その瞬間、ペニスがビンと反り返った。
「あ! うそ、そんなっ」
「ふふ。……凄い」
そう言って、シンフォニーがそのきれいな手でペニスを撫で、頬ずりする。
そしていくつものキスを落とす。
ちゅ、ちゅう、ちゅ……
「あ! あ! あ!」
ペニスはビクビクと震えていた。
キスの後、ねっとりと舌が這う。シンフォニーの興奮した鼻息が当たると腰が砕けそうになる。
「あ……あ……あぁん、シンフォニぃ……」
ジャロリーノはシンフォニーの髪をすくように、頭を撫でた。
「はあぅ、ぅん、あぁ……」
いつの間にか、腰かけていた椅子からずり落ちそうになっている。
そんなジャロリーノの両足を肩に乗せるようにして、シンフォニーはペニスを舐め、時折きつくキスをし、咥え込んで吸い込む。
「んんんん」
「苦しいですか?」
「ううん、ちが、それ、すごい、から、」
腰がグンと上に動いた。
「あ、」
一度動くと止まらない。
シンフォニーはジャロリーノのグン、グンと突き上げるような腰振りに合わせて、頭を上下させた。
「いい、ふう、んん、ああ、もってかれるぅ、ああぁ、」
「ん、はあ、ジャロリーノ様、……気持ちいいですか」
「きもちいい、すごい、きもちいぃシンフォニー」
「他に、どうされたいですか、言ってください」
「親指で裏筋撫でて? あ、先っぽ強く吸われるのすきぃ」
「はい」
あのきれいな親指が、ペニスの裏側、付け根から先っぽまでをヌヌヌとなぞり上げた。
ジャロリーノは腰をグンと掲げて嬌声を上げた。
「ふ、ああああん! そこイイぃい!」
「ジャロリーノ様っ」
シンフォニーが先っぽにしゃぶりついた。
「あっ、あ、あん! や、シンフォニ、ん、んん、んん!」
シンフォニーの頭を掴み、ジャロリーノは無我夢中で腰を振りたくった。
「ああ、あああ! ああ!」
「ん、ぁむ、ふ、あ……、はぁ、んぐ、」
シンフォニーの口の中を、ジャロリーノのペニスが激しく出入りしていた。
綺麗な顔に汗や精液が唾液が跳ねているが、シンフォニーもジャロリーノの反り返った性器に夢中のようだった。その舌が、もっと咥え込みたいと絡みついて来て、ジャロリーノは涙を流しながら腰を回した。
「シンフォニ、出したい、中、出したいぃ」
「ん、ん、ふ、あ、ん、」
ぢゅううう、と吸われた、いや、飲まれた。
「ひあああ! 凄い! 凄いい!」
その強烈は吸い込みと、上下の動きに、ジャロリーノは我を忘れた。
シンフォニーの頭を抱きしめて、ガツンと奥までペニスを突き、腰を激しく痙攣させながら、シンフォニーの喉に性器を注ぎ込んだ。
「んんん、くう、ああっ」
その精液を、シンフォニーは全て飲んだ。
「んは、あ、……ジャロリーノ様……」
素肌があらわになっていた内腿に、シンフォニーがこてんと顔を付けた。
目元が赤く染まっている。
「ジャロリーノ様……、夢のようです……」
「……シンフォニー……?」
とろんとした気持ちよさの中、ジャロリーノはシンフォニーの髪をすいた。
「……気持ちよくなってしまいました。すみません」
「……気持ちよかった?」
「……口の中が感じるので」
それを聞いて、ヒクリとペニスが動いた。
「ジャロリーノ様はお元気なのですね」
ひくひくしているペニスに、シンフォニーの指が絡まる。
「……、僕は…………変態だから」
人差し指の先端が、ペニスの先っぽをくりくりしてきて、ジャロリーノは身もだえた。
「あ、あん! いやあん!」
「ジャロリーノ様。殿下。私の部屋においでくださいませんか」
「へ、や?」
「ジャロリーノ様、……もっと、気持ちよいことをしませんか? したくないですか?」
シンフォニーがペニスを握り、先っぽをくりくりする。
「うん、うん! したいっ、もっとして! もっと、あ! もっと!」
「もっと、しましょう。ね? もっと。もっとちゃんと」
「気持ちよくしてぇ、お尻ムズムズするぅ!」
ああ、初めての男の人。
初対面だというのに、なんてことだろう。
けれど、ジャロリーノのペニスは期待でそそり立ち、すでに先端方が汁が漏れ出ている。
早くそこにキスをしてほしい。
早くしゃぶりついてほしい。
お尻の穴もぐりぐりしてほしい。
たまらずジャロリーノは自分で肛門をまさぐった。
下着の上から後ろの性器をグリグリしてしまった。
「ジャロリーノ様、ジャロリーノ様」
シンフォニーも、熱に浮かされたような声を出していた。そして、ジャロリーノの指にその指を這わせ、肛門をグリグリしてくれた。
「あああん! いい!」
続く。
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