虹の向こうの少年たち

 北限の大国、アウロラ王国。
 氷と雪と星の神々が輝く、美しくも冷徹な超大国。
 それを統べるのは、四つの王家だった。

 ビスマス王家。
 グロウ王家。
 ダン王家。
 ネイプルス王家。


 ジャロリーノは、四王家の一つ、ネイプルス家の末の王子である。
 歳は十五。
 黒金の艶をもつ金髪と、オリーブのような緑の目をした少年だった。

 アウロラ王国は隣国との戦争が終結したばかり。
 その戦争は、ジャロリーノの兄たちの死から始まっていた。
 兄たちの『非業の死』は、戦争と共に終結をした。
 けれど、ジャロリーノの苦しみは終わらなかった。
 毎夜、おぞましい夢を見て、はしたない欲望を抱き、そんな自分を嫌悪して生きていた。
 ジャロリーノは、兄たちの死の場にいた。
 その時の記憶は、無い。

 人々はジャロリーノを悲劇の王子と呼んだ。
 不憫な王子とも揶揄した。
 そんなジャロリーノを取り巻く少年たちの苦しみも、終わらなかった。


 生まれてはならない恋、認めてはならない愛。
 氷のような現実のその下で、少年たちの幾つもの恋が絡み合い、苛み、氷解を待つ。

 季節は冬。
 もうすぐ、悲劇の星祭りがやってくる……。


近親相姦・残酷表現有り

苦手な方はご注意を
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