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俺の全てを君に ー悠sideー
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真四角に仕切られた、現実から切り離された空間。
人の温かみの感じられない檜とい草の匂いが冷んやりとした空気に仄かに混じりあって布団に染み込んでいく。清潔感漂う、肌馴染みの良い木綿布団がただ二組並んでいるだけで満たされてしまう程の狭さが、ここを……より、秘密めいた背徳感で埋め尽くしている。
障子の手漉き和紙から薄明かりが溢れ、彼女の美しく艶かしい躰を映し出す。薄桜色の肌襦袢が俺の指先によって開けられ、上気してそれと同じ色に染められた柔肌の、慎ましやかな膨らみが露わになっている。その膨らみの先端の可愛い桃色の蕾は、指と舌の愛撫により、紅く色付き誘うように濡れていた。
そこからゆっくりと視線を下ろしていく……
薄い絹地を通して細長い形の臍、なだらかな丘を超えたその先に薄く柔らかな茂みが透けて見える。
その茂みの奥に眠る媚唇に触れてみたい……
静かで淫らな欲が、俺の中に沸き起こる。
『初恋は実らない』とは、誰が言ったのだろう。今、まさに俺の初恋は成熟し、実りの果実をもぎとろうとしている。
敷布団の上には、薫子の艶のある黒髪が色香を漂わせながらバラバラと舞っている。
薫子と初めて出逢ったあの日。
悪戯な春の突風と桜に乱された艶のある黒髪に心がさざめいた。上履きに書かれた名前を、本を拾う仕草で横目で確認した。髪についた桜はまるで春の妖精の髪飾りのようで、取り去ってしまうのが忍びない程綺麗だった。俺を見上げた彼女の頬は上気して、林檎のように染まっていた。
彼女の胸元に収められた詩集の一片、『初恋』。
何かが始まる、予感がした。
あれから……
「僕」の一人称が「俺」に変わり、声変わりで安定感のなかった声が落ち着き、幼さの残る少年から大人の顔立ちへと変化するに従って……予感は、確信となった。
人の温かみの感じられない檜とい草の匂いが冷んやりとした空気に仄かに混じりあって布団に染み込んでいく。清潔感漂う、肌馴染みの良い木綿布団がただ二組並んでいるだけで満たされてしまう程の狭さが、ここを……より、秘密めいた背徳感で埋め尽くしている。
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そこからゆっくりと視線を下ろしていく……
薄い絹地を通して細長い形の臍、なだらかな丘を超えたその先に薄く柔らかな茂みが透けて見える。
その茂みの奥に眠る媚唇に触れてみたい……
静かで淫らな欲が、俺の中に沸き起こる。
『初恋は実らない』とは、誰が言ったのだろう。今、まさに俺の初恋は成熟し、実りの果実をもぎとろうとしている。
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何かが始まる、予感がした。
あれから……
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