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鉢合わせ
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薫子と遼は教会へ向かっていた。
1限が終わったため、これから礼拝が始まる。
大学構内の教会と言ってもその歴史は古く、大正時代にまで遡る。戦争の影響で一度は取り壊されたが、終戦後にまた再興された。
白亜の高い尖塔の上に立つ十字架は構内のどこからでも見えるため、学生たちはそれを構内を歩く際の目印にしていた。
通常は大きな古い木の扉は閉めきっているが、礼拝が始まる時間のみ開けられる。
一般にも公開しているため、僅かではあるが、近隣の熱心な信者も通っている。
「わぁー、小等部ん時の教会もでけぇって思ってたけど、比じゃねぇな」
遼が感嘆の声を上げる。
天まで吸い込まれそうな高い天井に描かれた天使の天井画。
切り取られた窓に嵌め込まれたステンドグラスからの眩い光。
真正面に慈しみの瞳で見つめる純白のマリア像。
教会内に響き渡るパイプオルガンの奏で。
一気に別世界へと入り込んだような気持ちになる。
薫子は気分が沈み込む時は、この教会に足を向けていた。
何もせず、ただ座っているだけで気持ちが落ち着いてくる気がしたからだ。
「...なぁ、俺たちここで結婚式挙げんのもいいかもな。
俺らが出会ったのはこの学園なんだし。お前、そういうロマンチックなの、好きだろ?」
そう言って、遼がニヤッと笑った。
薫子は今まで遼に何も言えず仕舞いだったが、気持ちを奮い立たせ、決意を胸に遼に告げた。
「りょ...遼ちゃん。
私、遼ちゃんとは結婚出来ないって...前にも話したよね」
「ッハ。んなもん、俺がその気にさせるっつったろーが」
「だ、だって、私...好きな人が...」
そこまで言って、ハッとして口を噤んだ。
悠が遼と同じ学部だというのに、お見合いの日に好きな人がおり、しかも付き合っているとまで言ってしまった。
なんて、浅はかなことを私はしてしまったのだろう......
遼の見合いでの掴みかかるような物言いに煽られ、思わず口が滑ってしまった自分の愚かさに今になって後悔の気持ちが押し寄せてくる。
「ってか、お前の好きなやつってどんな奴だよ。
俺がそいつに話して、ケリつけてやる」
そ、そんなことされたら......
本当に、終わるから...やめて......
パイプオルガンの音が止み、礼拝が始まったため二人の話はそこで終わりとなったが、薫子の不安は募るばかりだった。
いつもなら熱心に耳を傾ける司祭の話も上の空で、賛美歌すら歌うタイミングを間違えたりした。
すごく...疲れちゃった。
礼拝が終わり、皆の後について歩いていると、遼は呑気な声をあげた。
「なんか、腹減ってきたな。
カフェテリア行こうぜ」
私、もし遼ちゃんと万が一にでも結婚したら、こうして毎日遼ちゃんのペースに付き合わされる生活になるのかな。
ふとそんな思いが過ぎり、薫子は慌てて首を振った。
...ううん、そんなことにはならない。
私は、悠とずっと一緒にいるって誓ったんだもの。
どんな困難が起こっても、悠となら乗り越えられるって信じてる......
1限が終わったため、これから礼拝が始まる。
大学構内の教会と言ってもその歴史は古く、大正時代にまで遡る。戦争の影響で一度は取り壊されたが、終戦後にまた再興された。
白亜の高い尖塔の上に立つ十字架は構内のどこからでも見えるため、学生たちはそれを構内を歩く際の目印にしていた。
通常は大きな古い木の扉は閉めきっているが、礼拝が始まる時間のみ開けられる。
一般にも公開しているため、僅かではあるが、近隣の熱心な信者も通っている。
「わぁー、小等部ん時の教会もでけぇって思ってたけど、比じゃねぇな」
遼が感嘆の声を上げる。
天まで吸い込まれそうな高い天井に描かれた天使の天井画。
切り取られた窓に嵌め込まれたステンドグラスからの眩い光。
真正面に慈しみの瞳で見つめる純白のマリア像。
教会内に響き渡るパイプオルガンの奏で。
一気に別世界へと入り込んだような気持ちになる。
薫子は気分が沈み込む時は、この教会に足を向けていた。
何もせず、ただ座っているだけで気持ちが落ち着いてくる気がしたからだ。
「...なぁ、俺たちここで結婚式挙げんのもいいかもな。
俺らが出会ったのはこの学園なんだし。お前、そういうロマンチックなの、好きだろ?」
そう言って、遼がニヤッと笑った。
薫子は今まで遼に何も言えず仕舞いだったが、気持ちを奮い立たせ、決意を胸に遼に告げた。
「りょ...遼ちゃん。
私、遼ちゃんとは結婚出来ないって...前にも話したよね」
「ッハ。んなもん、俺がその気にさせるっつったろーが」
「だ、だって、私...好きな人が...」
そこまで言って、ハッとして口を噤んだ。
悠が遼と同じ学部だというのに、お見合いの日に好きな人がおり、しかも付き合っているとまで言ってしまった。
なんて、浅はかなことを私はしてしまったのだろう......
遼の見合いでの掴みかかるような物言いに煽られ、思わず口が滑ってしまった自分の愚かさに今になって後悔の気持ちが押し寄せてくる。
「ってか、お前の好きなやつってどんな奴だよ。
俺がそいつに話して、ケリつけてやる」
そ、そんなことされたら......
本当に、終わるから...やめて......
パイプオルガンの音が止み、礼拝が始まったため二人の話はそこで終わりとなったが、薫子の不安は募るばかりだった。
いつもなら熱心に耳を傾ける司祭の話も上の空で、賛美歌すら歌うタイミングを間違えたりした。
すごく...疲れちゃった。
礼拝が終わり、皆の後について歩いていると、遼は呑気な声をあげた。
「なんか、腹減ってきたな。
カフェテリア行こうぜ」
私、もし遼ちゃんと万が一にでも結婚したら、こうして毎日遼ちゃんのペースに付き合わされる生活になるのかな。
ふとそんな思いが過ぎり、薫子は慌てて首を振った。
...ううん、そんなことにはならない。
私は、悠とずっと一緒にいるって誓ったんだもの。
どんな困難が起こっても、悠となら乗り越えられるって信じてる......
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