【R18】初恋が実る時 ー対立する財閥令嬢と子息の密かな恋愛ストーリーー

奏音 美都

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鉢合わせ

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 パリのカフェをイメージしてデザインされたお洒落なカフェテリアへと入ると、遼の大きな声が響いた。

「だーっっ、薫子、おせぇよ!!!」

 雰囲気ぶち壊しの遼の声に、遼、そして声をかけられた薫子に皆の視線が一気に集まる。薫子は顔を真っ赤にして俯いた。

 りょ、遼ちゃんっっ。あんな大きな声で...恥ずかしいっ!

 遼は大股で薫子の元へと来ると、ムニと頬を摘んだ。

「腹へってんだっつーの。早く来いよ」

 だったら、ひとりで先に食べてればいいのに......

 遼は薫子の頬から手を離すと「ほら、行くぞ」と促した。

 ここのカフェテリアはビュッフェ形式のため、メニューはない。専属のシェフが和食、中華、フレンチなどに分かれて数人働いており、用意されたものを自由に選んで食べられる。置かれているものもあるが、寿司やローストビーフなどその場で調理してもらい、渡してもらえるものもある。

 食事をトレーに載せたら、給仕係に渡す。そこで学生証を渡すとバーコードを読み取り、そこから学食の金額が加算されるシステムになっているため、財布を持ち歩く必要もない。

 その後は給仕係がトレーを持って席へと案内し、テーブルセッティングをしてくれる。そこで飲み物のオーダーをすると、給仕係が持ってきてくれる。

「アメリカの大学なんて、学食なんてものすらなかったんだぜ。ファーストフードの店が幾つか並んでるだけ。ピザとかハンバーガーとかタコスとか。そりゃ、太るよな」

 そう、なんだ。

 以前、美姫の大学の食堂に行った時も驚いたが、遼のアメリカの大学はそれを更に上回る。

「それにしても...遼ちゃん、食べ過ぎじゃない?」

 テーブルの上には幾つもの皿が所狭しと置かれ、寿司やカレー、ローストビーフに唐揚げなど、料理の種類もごちゃ混ぜで混沌としていた。サラダ、パン、スープ、メインのローストビーフとコース料理のように美しく並べられた薫子の側のテーブルとは全く別物だった。

「っせーな。旨そうなもんいっぱい置いてあっから、食べたくなんだろ。いいんだよ、育ち盛りなんだから!」
「ふふっ」

 育ち盛りって...もう、20歳なのに......

 薫子は遼の言葉に、思わず笑った。

「んだよ、笑うなっつーの!」

 遼が頬を赤くし、片手で薫子のほっぺをむぎゅぅっとすると、アヒル口にした。

「ごめんなしゃい......」

 食べ始めようとした遼が、ふと何かに気づいたように顔を上げた。向かい合わせに座っているため、薫子にはそれが何なのかわからなかった。

 遼は手を大きく振ると、カフェテリア中に響く声で呼びかけた。

「おーい、大和! 一緒に食べようぜ!!」

 あ、大和。大学に来たんだ......

 薫子は結局あのパーティー以来、大和に顔を合わせることはなかった。そして、未だ美姫とも連絡が取れていない。

 出来たら、大和に美姫のことを聞いてみたい......

 そんな思いで振り返った薫子の視線の先には、

 大和だけでなく...

 悠が、隣に立っていた。
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