【R18】初恋が実る時 ー対立する財閥令嬢と子息の密かな恋愛ストーリーー

奏音 美都

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窮地

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「だから、言っただろ。ほら、気が済んだら出るぞ」

 大和もいる......

 二人の足音がどんどんこちらに近づいてくるのを感じて、薫子の緊張感が増し、鼓動がドキドキと忙しない。

 悠が薫子の耳元に唇を寄せ、囁く。

「大丈夫、ここは気付かれることはないから」

 薫子はそれが自分を安心させるためのものだと、遼と大和に気づかれないために小声で耳元で囁かれただけなのだと分かっていながらも、その声に耳を震わせ、躰が熱くなってしまう。

 わ、たし...こんな状況、なのに......淫らな反応してしまうなんて...恥ずかしい......

「おい、見ろよー!こんなところにマネキンあんぞ。つか、俺さぁ詰襟の学生服着たことねぇから、こういうのなんかいいな」

 ど、どうしよ...遼ちゃんが、すぐ近くに......

 動揺した薫子はしゃがんでいた姿勢を崩し、後ろに倒れそうになった。

 ぁ......

 悠の腕が力強く抱き留める。

「俺の上に座って......」

 悠が胡座の姿勢になり、薫子はそこに横坐りの形で座ることになった。

 ど、どうしよう...すごく、ドキドキする......

 薫子は顔を真っ赤にし、俯いたまま悠の胸に耳を寄せた。すると、悠からも自分と同じように速く波打つ脈動を感じる。

 悠も、同じだ......

 薫子はそっと悠の胸に手を当てた。

「薫子の、匂いがする......」

 悠の低い声が耳にとろりと溶けていく。

 うん、私も...感じるよ、悠の匂い......大好きな、貴方の匂いを今、ここに......

「なぁ、この奥もなんかあんのかー?」

 突然の遼の言葉に、二人は現実に引き戻される。

 う、嘘...もしかして、この先に来ちゃうんじゃ......

 背中を汗が伝い、悠のセーターをぎゅっと握り締めると、悠が薫子を包み込むように抱き締めた。

「君は、俺が守るから......」

 悠の視界に遼の靴の爪先が見える。

「おい、その先はなんもねぇーよ。こっち行くぞー」

 大和の声が遠くから響いた。

「ちょ、おい、待てよ。俺、まだここの地理分かってねぇんだから、置いてくなって」

 遼が焦った声を上げ、バタバタと足音を鳴らしながら去って行った。

 足音が完全に遠退いたのを確認すると、二人は同時に大きな安堵の息を吐いた。

「行ったね...」
「だね...」
 
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