【R18】初恋が実る時 ー対立する財閥令嬢と子息の密かな恋愛ストーリーー

奏音 美都

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嵐の予感

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 陽子がそれを聞き、うーんと唸った。

「まぁ確かに風間くんってイケメンだけど、近寄りがたくて苦手かも。どっちかっていうと私は羽鳥くんの方がいいなぁ。もっと気さくそうな感じするし」
「そ、そうなんだ......それにしても、陽子が大和と悠を知ってるなんて、知らなかった」

 薫子は陽子が悠目当てでないことを知って安堵しつつも、別学部でほとんど顔を合わせることはないであろうはずの大和と悠を知っていたことに驚いた。先ほどの輪の中で悠の話題が上がった時も、陽子はきっと周りの友人たちの話をただ聞いているだけだと薫子は思っていたのだった。

「何言ってんのぉ、この大学にいて『無口でクールな王子』風間くんと『爽やかイケメン男子』羽鳥くんを知らない女子はいないでしょ。もっとも私は学部違うし、遠目にしか見たことないから、人の噂とか聞いて判断してるだけなんだけど。でも、ぶっちゃけあの二人はセレブすぎてなんかもう別世界の人間って感じだから、リアルに恋愛とか考えられないわ。
 あ、言っても薫子だってそっちの世界の人間なんだよね......そんな人と友達だなんて、考えてみたら凄いなぁ」

 大学受験を経て青海学園大学に入学してきた陽子にとって、幼稚舎からのストレート組であり、その中でも最上層にいる薫子、悠、大和とはまず関わることがないだろうと思っていた。それが遼の一言により薫子と友達になり、親しくなるとはそれまでの陽子には考えられないことだった。

 決して悪気があったわけではなく、それが陽子の素直な感想だった。

『そっちの人間』、か...
 陽子も、私の元から離れていった人たちと同じように、住む世界が違うとか考え方が違うとか感じているのかな......そしていつか...見限られて、離れてしまうのかな......

 陽子の言葉に寂しさを覚えていると、近くに座っていた学生の一人が立ち上がってこちらに向かって歩いてきた。かと思ったら、薫子たちの座席のテーブルに手をつき、身を乗り出すようにして薫子に迫った。

「ねぇ、今...大和って言った? 大和って、羽鳥大和のことだよね?」

 薫子の目と鼻の先まで迫っている彼女は、大きな瞳と長い睫毛が印象的な華やかな顔立ちで、どことなく美姫に似ていた。

「ね、言ったよね!?」

 で、でも...美姫は、こんなに強引じゃないけど...

「あ、あの......」

 たじろいでいると、相手はハッとしたようにテーブルから手を離した。

「ご、ごめんなさいっ。自己紹介もせずにっ。私、国際政治経済学部2年の綾瀬 真奈美です!」

 そう言って、真奈美はお辞儀をした。

 アイメイクに重点を置いた隙のない化粧、肩までの髪を綺麗に太く巻き、誰もが知っているフランスの有名ブランドのワンピースを着ており、お嬢様系のファッションであるものの、清楚というよりは豪華で華やかな印象は薫子とは対をなしていた。

 悠と、同じ学部なんだ......

  それを聞いた途端、羨ましく思う気持ちが湧いてくる。

「で、綾瀬さんは羽鳥くん狙いなんだ?」

 陽子は突然の真奈美の行動に驚きながらも、面白がるように彼女に話しかけた。

「そう、大和が好きなの!
 いきなり話しかけて、失礼だとは分かってるんだけど...大和って名前聞いたらいてもたってもいられなくなって......ほんと、ゴメンなさい!」

 そう言って、真奈美は今までの積極的な態度とは打って変わって恥ずかしそうにしながら巻き髪を指に絡ませた。

 そんな風に自分の気持ちをストレートに言えるなんて、いいな...

 悠に対してだけでなく、いつも自分の感情を隠してしまう薫子は、そんな真奈美を眩しく感じた。

「ねぇ、そのクリスマスパーティー、私も...行っちゃダメかな? 図々しいお願いだって自分でも思うけど、クリスマスイブの日に大和が他の女の子に会うんだって考えただけで、もうどうにかなりそうなぐらい気になっちゃって......」

 私も、そうだ...悠が、先日の大和のお父様のパーティーで他の女性と話しているのを見ただけで、苦しくて仕方なかった。

 薫子はその時の気持ちを思い出し、胸の前で両手を握り締めた。

「お願いします!!!」

 そんな薫子に、真奈美は両手を合わせて頼み込んだ。
 
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